期間限定商品の無駄をなくす方法を考えよう!

あちこちで恵方巻きの予約が始まったこの時点であえて書いておきましょう。

それは、こういう「短期間のイベントのために売り出される生鮮食品」が、毎年まいとし膨大な食料の無駄を生み出しているという事実です。

恵方巻きが売れるのは1年で節分の一日だけ。今年でいえば 2月の 3日のみです。

しかも生の魚介類が入った恵方巻きの消費期限は一日。

スーパーからコンビニからデパート、総菜屋、寿司屋まで、ものすごい数の恵方巻きが節分当日の棚に並べられ、その日の夜中には大量廃棄が始まる。

いつまでこんな文明度の低いコトやってんだと。


同じような食品イベントは他にもたくさんあります。
・土用のウナギ
・クリスマスケーキ
・おせち
・バレンタインチョコ
・正月限定ビール
などなど


なんでこんなことにと思うけど、「そうでもしないと、もはや誰も余分なお金を使わないから」でしょう。

年に一度のイベントだ、今日しか食べられないぞと盛り上げたり脅したりしないと買ってもらえない。

それくらい日本の消費市場は(よく言えば)成熟してしまっているわけです。


もちろん各所で問題意識も出てきており、いろんな対策が打たれ始めています。たとえば、

1.予約販売を促進する

おせちがよい例ですが、基本、予約しないと買えないとなれば、売れ残りは少なくできます。
でも「おせちセット」は予約率が高いけど、今でもおせちに詰める個別のお総菜(紅白蒲鉾や黒豆や卵焼きや)は大半が見込み販売です。

2.売れ残りを廃棄せず安売りする

クリスマスケーキは一部、期日後に安売りされてます。期日後っていうより、当日の夕方には2割引きとか始まってるよね。

ただ「一日待てば安くなる」とわかってしまうと、それを待つ人がでてくるから、これもなかなか拡がらない。

「恵方巻きが毎年、18時以降、半額になる」とわかれば、昼間に買う人が減ってしまうんじゃないかと(小売店は)怖れる。

家族が集まるお正月のおせちや、子供のいる家庭のクリスマスケーキのように「売り切れて手に入らなくなったら絶対に困る!」ものは、ギリギリまで待てば安くなるとわかっていても早めに買う人がたくさんいます。

でも恵方巻きなんて「食べても食べなくてもたいした問題じゃない」わけです。

そうすると、「安売りで残ってたら買う。売り切れてたら、今年は食べなくてもいいや」となってしまう。だから安売りができない。

3.冷凍や調理で賞味期限を延ばす

最初から冷凍で売る、という方法もあるし、売れ残ったら冷凍する、といった方法がとれるものもあります。

土用のウナギも廃棄が多いと言われていますが、ウナギなんて焼いてから冷凍してもそこそこ美味しく食べられるのにホントにもったいない。
                                                    
店内調理の可能なスーパーなら売れ残りの生鮮食品を加工して総菜として販売することで一日くらいは寿命が延ばせるかもしれません。
いずれも恵方巻きには使えそうにありませんが。

4.寄付する

貧しい人に食べ物を配るフードバンクや炊き出しを行っているNPO、こども食堂などに消費期限の近づいた食品を寄付する動きは日本でも始まっています。

でも、恵方巻きのように消費期限がめっちゃ短いものは寄付も難しい。売れ残ると確定した時には既に期限が迫っており、その時点からでは寄付に回す時間的余裕がありません。

また、生の魚が使われていたりするので、食中毒の恐れなどもあり、メーカーとしては「そんなコトせずちゃんと捨ててください」って感じなのでしょう。


というわけで、いろいろ考えてみたんですが、恵方巻きって一番、救えない(無駄になってしまう)食べ物なんです。

ハロウィンは食べ物よりグッズがメイン商品になってるし、お菓子もカボチャも賞味期限が長い。

ひな祭りのちらし寿司も、残ったら普通の総菜として安売りできる。

でも恵方巻きは賞味期限が極めて短いにも拘わらず、「翌日食べる」ことに意味がないイベントとして定義されてしまってるんだよね。


なんでこんな無駄を生みやすい風習が拡まっちゃったんだか、ため息がでますが、ここで諦めたら思考の敗北なので、

今日はちきりんブログ読者の皆様に「こーしたらいーんじゃないの!?」「こうすれば、少しはマシになるのでは!?」という提案を募集いたします!

ご意見をツイッターで(節分の日あたりまでに)お送りいただければ、「いい案じゃん!」と思ったものは RT するし、このエントリに引用させていただくかもしれません。

ちきりんのツイッターアカウントはこちら

お題はズバリ「どうしたら売れ残り恵方巻きの廃棄が減らせるか?」


ただし、ルールがふたつ。

私はビジネスも資本主義も好きなので「こんな無駄なイベントは全部やめてしまえ!」という方向の提案は採用しません。

そうではなく、どうすればこのイベントを楽しみながら、みんなで無駄を減らしていけるのか、という方向で考えてね。


もうひとつは、下記の本にも書いたことですが、「できれば規制ではなく、インセンティブシステムを活用する方向で考えて欲しい」ということ。

「恵方巻きを廃棄したら罰金!」みたいなルールは誰も幸せにしない。


→ Kindle 版

→ 楽天ブックス


こういうの、家族でゲーム感覚で(恵方巻き食べながら?)話合ってみるのもいいんじゃないかな。子供の思考訓練にもなるし、社会への関心も上がるはず。マーケット感覚も鍛えられますよ。

というわけで、
コンビニでもスーパーでも、「売れ残りの恵方巻きを少なくするため、我が社はこういう工夫をしています!」と積極的にアピールするところが現れたら、あたしはそこで恵方巻き、買うよ。

人生で未だかって、一度も食べたことのない恵方巻きを。



そんじゃーね!


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