二重窓(内窓の追加)の効果について

最新更新年月:2021年2月

築 20年のマンションをフルリノベしてから(あっという間に!)3年が立ちました。

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全体にとても満足できるリノベとなりましたが、特に「お金をかけた価値が大きい」と感じるのは、「二重窓(内窓の追加)」なので、今日はその効果についてまとめておきます。

まず我が家の状況と断熱関連のリノベについて。

1.築 20年の鉄筋鉄骨マンションで、上下左右に家があります。


なので外気に接しているのは、大きな窓のあるベランダ側と、共用通路に面して小さい窓のある玄関側の2面だけです。

2.今回のリノベで、外気に面している壁の吹きつけ断熱をやり直し、かつ、全ての窓に内窓を付け、二重窓としました(下記の写真参照)

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3.マンションの場合、外側の窓は区分所有者の一存では変更できません。なので外側の窓は「20年前、新築時からついていた窓」です。


こちら、サッシ枠が(色はブラウンですが)アルミ、ガラスは網入りの厚いガラスです。


この「アルミサッシ」が問題で、いまや他の先進国では、アルミはサッシ枠に使っていいような素材ではありません。


これを樹脂枠(もしくは木枠)の窓に変えられるとよいのですが、残念ながら分譲マンションの場合、既存の窓は(枠も含め)変更できません。

4.そこでマンションのリノベでは、既存の窓の内側に、あらたに内窓(インナーサッシ)を取り付ける方法が一般的です。


新たに付けた内窓は、サッシ枠が樹脂、ガラスは Low-E複層ガラスと言われるもので、「2枚のガラスの間にアルゴンガスが入ったペアガラス」かつ「UVカット機能」のついた商品です。

5.二重ガラスの設置費用は、すべての窓の合計で約 70万円でした。


ただし、東京都から 8万円の助成金をいただけたほか、(床のバリアフリー化と合わせてですが)所得税や固定資産税の減免が 35万円ほど受けられ、実質的な負担は半額以下となりました。


内窓は省エネ効果が極めて高いため、多くの自治体に助成金の制度があるんです。


なお、「内窓を付けて、二重窓にする」のと「ペアガラスの窓にする」は意味が違います。

前者は窓が二重になること、後者はガラスが二枚になることです。

単板ガラスよりはペアガラスのほうがいいですが、リノベするなら窓枠を「アルミサッシではなく樹脂枠」にし、ガラスは「Low-E 複層ガラス」を付けるのがお勧めです。

なおリノベ後の我が家では「既存の窓+新しい内窓」で窓が二重、
「既存の網入りガラス」+「内窓についた二重ガラス」でガラスは合計 3枚になっています。

★★★


そして以下が、断熱リノベ数年後の感想です。
一言で言えば、冬が暖かくなったのはもちろん、夏にすごく涼しくなり、極めて快適となりました。


<冬>

驚くほど暖かくなりました。

朝方など、外気がマイナスになっても室温は暖房なしで 18度くらいです。

なので、以前はよくあった「朝起きたときに部屋が「さむっ!」と感じられ、ベッドから出たくないと思える日」は無くなりました。

以前は2月の夜中など、指が寒くて手袋をしてキーボードを打っていたことも(↓)あったのですが、そんな日も今は皆無です。

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結果、分厚いフリースの家着も要らなくなり、処分してしまいました。

通販などでは「着る毛布」といった、ものすごい暖かな家着が売られていますが、屋内であんなものが必要なこと自体、家が欠陥住宅であることを示しています。


エアコンやガスファンヒーターなど部屋全体を温める暖房器具も、12月から 2月の寒い日の夜になんどか使いましたが、1時間くらいつけると部屋が暖まり、その暖気が長時間保たれるため、付けっぱなしにする必要がありません。

多くの時間は、足下だけ温める電気膝掛けや、洗面時や仕事時=動かず座っている時のみ足元に小型のファンヒーターを置いて使うだけで充分です。


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当然ですが、暖房にかかる電気代もかなり削減されます。昨今は電気代も高騰しているので、これは嬉しいところです。


<結露>

以前はひどい結露が真冬には毎日、発生していました。これはリノベ前の冬に撮った写真です。
 ↓
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リノベ後は、内側につけた新しい窓のガラス(&枠)はまったく結露しません。

外側の(元からある)窓は、水滴の量はリノベ前(上記写真)の半分以下、かつ、結露する日も半分ほどではありますが、引き続き、一部が結露しました。

ところが!

その後、浴室乾燥機についている「24時間換気・冬モード」をオンにしてみたところ、すべての窓で結露が「ゼロ」になりました。

最新の 24時間換気の電気代は月 50円弱といわれており、年間でも600円ほど。

これでお風呂のカビが発生しなくなるほか、窓の結露までゼロになるなんてびっくり!


てか、あんなひどい結露が「二重窓+最新の 24時間換気システム」でゼロにできるなんて想像もしていませんでした。

もしそれを知ってたら、これらだけでも(本格的なリノベに先駆けて)もっと早くに=新築で買ってすぐに導入したはず。

なんで専門家の人って、こういうことをもっと早く教えてくれないの!!!? (←やや責任転嫁)


<夏>

こちらも驚くような効果がありました。

リノベ前は仕事にでかけて夜戻ってくると、玄関を開けたとたん、

家の中に充満していた もあっ!

とした蒸し暑い空気が噴き出してきていました。

外出中に窓から入る熱で室内の空気が暖められてしまい、そのまま滞留してしまうからです。

このため以前は、帰宅した直後にエアコンを最強にし、急速に部屋を冷やす必要がありました。


でもリノベ後は、めっちゃ暑い日に外出先から戻ってきても、部屋の中はすっきりした空気のままです。

もあっ!っとした空気が充満していることは一度もありませんでした。

これは、Low-E ガラスの遮熱効果のおかげです。

冷房を切っても外部の熱が部屋の中まで及ばないため、室内の空気が暑くならないのです。


これには本当に感激しました。

しかもこのことには、「帰宅時に気持ちがいい」以上の効果があります。

たとえば、家の中においている常温保存食材の傷みが圧倒的に少なくなりました。

あんな(人間だったら熱中症になりそうな温度の中に出しっぱなしにしていたら)常温保存できる食材だってすぐに痛んでしまいます。

生きた植物や小型ペットなど生き物を飼っているなら、よりその効果は大きいでしょう。

熱に弱いハードディスクが使われているパソコンや録画機についても同じ。

誰もいない時でも、部屋の中が灼熱地獄にならないというのは、家の中のいろんなものの傷みが少なくなるってことなんです。


さらにエアコンの効きもものすごくよくなりました。

リノベ後ほとんどの日は弱除湿で十分となり、こちらも電気代を大きく下げてくれています。


窓を二重にすると「冬はいいけど、夏はより暑くなるのでは?」と思っている人がいますが、それは大きな誤解です。

夏に家の中が暑くなるのは、外から断熱性の低い窓ガラスを通して、太陽の熱がガンガン入ってくるからです。

断熱性に優れた窓に変えれば、その暑い外気はシャットアウトされ、部屋に入ってこなくなります。

真夏でも寒いほどひんやりしているトンネルとか洞窟ってありますよね。

太陽の熱さえ入ってこなければ、夏でも室内は涼しく保てるんです。

結果、私の部屋もクーラーの効きがよくなった事はもちろん、外出している間に室内が「灼熱地獄」になることもなくなったのでした。


<それ以外の効果>

1.極めて高い遮音(防音)効果があります

東京で二重窓が設置されているのは、幹線道路沿いのマンションだけですが、これは防音のためです。

静かな環境を求める人の他、夜型の人など、家の中の音を外に漏らしたくない人にも二重窓はお勧めです。

2.一戸建てや低層階のマンションの部屋では、防犯効果もあります。

泥棒には玄関の鍵を破って入ってくる泥棒と、窓を割って入ってくる泥棒がいます。

窓から入る泥棒は鍵の近くのガラスを割るのですが、二重窓だとガラスをふたつ割らないと侵入できません。
当然、そんな家をわざわざ狙いたいとは思わないでしょう。


★★★


次に、友人知人、そして、講演会などで聞かれた質問に答えておきましょう。

1.内窓を設置すると、窓が内側にせり出してくるので、部屋が狭くならないか

内窓は、既存の窓から 7センチくらい内側に付けるので、たしかに部屋の中の空間はその分、狭くなります。

ただ、私の場合はリノベと同時に設置したため、リノベによって「天井が高くなったり、不要な廊下をなくした分で増えた居住空間」のほうが、「内窓をつけたことによって減った居住空間」より大きかったので、全体として部屋は狭くなっていません。

たんに「内窓を付ける」だけのリフォームをしたなら、その分、室内空間は狭くなるでしょう。

なお、一戸建てなら既存の窓を取り外して断熱窓に取り替えればいいので、部屋は狭くなりません。

2.窓と窓の間の掃除が大変ではないか?

まったく大変じゃないです。そんなとこ汚れないし、ウエットティッシュでさっと拭くくらいできれいになります。

ガラスの枚数も倍になりましたが、外部にも室内にも面していない 2面はほぼ汚れません。

だたし、その面も含めて業者に窓掃除を頼んだら、料金は倍になるかもしれません。

3.一戸建ての場合は?

一戸建てはマンションと違って上下左右に他の家がなく、全面が外気に接しているので、外気温の影響をより強く受けます。

なので「アルミ枠の単層ガラス窓」では、「冬はものすごく寒い」し、「夏はものすごく暑い」家となります。

いまどきそんな家を(35年ものローンを組んで)買うのは最悪。

新築なら床や壁には (さすがに) 断熱材が入ってると思うので、窓は樹脂枠、Low-E複層ガラスに変えましょう。

ただし昔の古い一軒屋では、壁や床の断熱さえまともになされていない場合もあります。

この場合は窓だけ取り替えても断熱性は高まりません。数十年前の古い一軒家に関しては、専門家に相談してください。。


★★★

もうひとつ、とても大切なことがあります。

断熱窓を装備して家の断熱性を高めると同時にぜひ実現すべきなのが、家の中の温度差を無くすことです。

我が家では間取りを回遊型にし、ふたつあるドアはどちらも引き戸にしました。

この引き戸を開けておくと家中の空気が循環するため、リビングだけでなく、洗面所やトイレ、キッチンや玄関も常に快適温度を保てるようになりました。

リノベ前は (夏)リビングは涼しいけど、トイレは暑い! (冬)リビングは暖かいけど洗面所はめちゃ寒! だったのですが、今はどこもかしこも「年中、快適温度」です。


下記が、リノベ後の我が家の間取り
・エンタランスホール
・パウダールーム(サニタリー)
・メインルーム
の3室構成で、引き戸ふたつをあけると全てのエリアがつながります。

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※イラストのため簡略化しています


こういう間取りで断熱性を高めると、60平米くらいのマンションならエアコンひとつで夏も冬も「家全体=玄関も廊下もトイレも洗面室も適温」に保てます。

しかも、たいして光熱費はかかりません。

「リビングだけ」「ベッドルームだけ」しか快適温度にできないのは
「家の断熱性能が悪く、そんなことしたら電気代がかかってしかたないから」であり、
「エアコンから出る暖気もしくは冷気を、家中に循環させる仕組みがないから」なのです。


以前は、真冬の洗面室が寒すぎるため、長い時間かけてしっかり歯みがきするのが億劫だったり、寒いから歯みがきしながらリビングに戻ってきて、床にしぶきが飛んだりしてました・・・

加えて夏はトイレが暑く、座っただけで汗が噴き出したり、掃除中に汗がポタポタ落ちるほどだったんですが、今はそんなこともなくなりました。


家の中の温度差をなくすことは、ヒートショックによる事故の防止効果にもつながります。

こちらも(特に高齢者にとっては)健康寿命を延ばすために極めて効果的です。

また、真冬に災害で停電しても、この室温ならなんとか過ごせそうと思えるので、断熱性を高めるリフォームは災害対策としても有効です。


繰り返します。

「家の中のあらゆるところを快適温度なんかにしたら、光熱費がかかりすぎる!」のは、「窓がアルミサッシで単層ガラスのため家の断熱性が低く、いくら室内を暖めても(or 夏には冷やしても)外気の温度と相殺されてしまうから」です。

窓や壁の断熱さえしっかりすれば、「廊下も洗面所も玄関も、あらゆる場所を適温に」が、普通の電気代で実現できるのです。


★★★

以上、内窓をつけた効果について「個人的な感想」をまとめておきました。

いま私は、内装に凝ったり、(キッチンやユニットバスなど)最新の住宅設備へ投資することに比べ、断熱リノベへの投資は圧倒的に価値があると確信しています。

現時点では、「これから家を建てたりリノベをするなら、断熱リノベの効果や手法について説明してくれないようなハウスメーカーや設計事務所、そしてリノベ会社には、そもそも工事を依頼しないほうがいい」とさえ思います。

だって素人である客側から「窓はアルミサッシではなく樹脂枠に、Low-E複層ガラスを使った窓で」などと指定しないといけないなんて、変じゃないですか?

そういうのは、(たとえ客側に知識がなくても)プロ側から進んで説明&提案すべきだよね? 

こんなに多額の助成金が出るのだという情報も(施主側が自分で調べなくても)業者側から説明すべきでは!?

と、今なら思います。


以上、これから家を建てたり、リフォームやリノベをされる方の参考になれば幸いです。



そんじゃーね

設計士やリノベ会社の方からも「お客様にぜひ読んでいただきたい一冊」とご推薦をいただきました!

リノベや一戸建ての購入、建築を予定されている方はぜひご一読を。
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また、窓の断熱性能についてはリノベ協議会の設立発起人でもある島原さんとも対談しているので、参考にしてみてください。

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