日本銀行券の肖像

お札、正式には“日本銀行券”っていうらしいです。

これの肖像を誰にするかというのは、エライ人が話し合って決めてるんだと思うんですけど、どういう基準で決めているんでしょう?、


ちきりんが思いつく基準としては、

(1)日本人であること
(2)もう死んでること
(3)単純な顔でないこと
(4)国際的に問題を引きおこさない人
(5)民間企業の役職だけが業績ではない人
って感じでしょうか。


(1)はまあ、日本のお札なんだからあたりまえですよね。

(2)は大事。だって生きている人だと、お札になった後に隠されていた罪で逮捕されたら大変です。それにお札になったことにより儲けることもできちゃうし。


(3)は偽造防止です。「ひげ」とか「結い上げ髪」の人が多いのはこのためだと思います。

ただこの点はこれからは変わるでしょう。最近の偽造は“デジタルコピー”なので、線の細さや複雑さは偽造の困難さに関係なくなりつつあるんです。

絵の細かさではなく、3D(突起やくぼみ)、光り物、赤外線で浮かび上がるすかし図などの技術で偽造を防止するようになってきたので、今後はシンプルなお顔の方にもチャンスがでてくるでしょう。

(4)は最近特に意識されていると思います。

伊藤博文は長くお札に使われていましたが、韓国の人が日本に旅行にこれるようになってから消えました。彼は韓国統監府の初代統監で、韓国にとっては侵略者以外の何者でもありません。同じ理由で豊臣秀吉なども使えないんでしょう。

中国人の海外旅行も解禁されつつありますから、今後、近代日本の政治家系の人はまず使えないんだろうと思います。昔は天皇など皇族もお札に載っていましたが、これも今後は相当ありえないんじゃないでしょうか。

あと、高橋是清も載ってましたね。この人は「軍縮問題でもめて、席を蹴って中座し、国際連盟を脱退。その後、戦争へまっしぐら」時代の蔵相です。もうお札に復活することは考えられないでしょう。

聖徳太子ぐらい古くなると、まあ、よくわかんないし、いーか、って感じでしょうか。


海外だと国家元首とか大統領とかがお札の肖像というケースが多いわけですが(アメリカのリンカーンとか、イギリスの女王とか)、日本では今は文学者を含む学者が多いです。これは、政治家や皇室が使えないから多くなってるんですよね。

(5)はまあ、慶應大学の創始者、福沢諭吉が微妙なところでありますが、これが大学じゃなくて企業だったら難しかったでしょう。

松下幸之助が肖像、ってのはあり得ない気がする。あと福沢諭吉は、大学創業というより西洋思想の導入者とか、一般化できる功績もありますから、そのあたりでOKだったんでしょう。


★★★


ありそうだけど、実際は関係ない基準としては、「有名であること」

これは必要はないみたい→お札に載れば誰でも有名になりますからね。載る時点で有名である必要はないみたいです。

女性が初めて現れたりするのは、時代の流れを意識したんだと思うけど、5千円札への起用ってのが中途半端ですね。「まだまだ、女は一万円、千円には使えないぞ」って感じかしら。


最近は偽造問題が多いから、お札の変更が頻繁に起るようになっています。でも技術はいたちごっこなんで、究極の偽造防止法は「キャッシュをなくす」ことです。

実際、1万円札(なんていう高額紙幣)がこんなに流通しているなんて先進国ではめずらしい。

イギリスでは一般でよく見るのは20ポンド札。50ポンド札を使うのは観光客くらいでしょう。

アメリカも100ドル札なんて、日常生活ではほとんど見ません。50ドル札だって珍しい。これは偽造防止ではなく、ひったくりや強盗防止の観点ですけど。額が小さいと偽造して大きく儲けるのが大変ですから、インセンティブにはなります。

(ただし、米国では「闇世界では常に100ドル札が使われる」というのがあり、ある種の“棲み分け”になってるみたいです。)


★★★


どこだかすごい人口が少ない北欧の国では、すでにほぼキャッシュレスが実現しているらしいです。

でかい国では難しいでしょうが、キャッシュレスを実現すれば一気にいろんな問題が解決できることも確かです。

・政府は、アングラマネーをすべて把握できるようになる。脱税も難しくなります。
・個人は、ひったくり、泥棒などの被害に遭いにくくなる。紛失も少なくなる。
・企業は余分な手間暇=コストが少なくなる。レジも混まなくなるし、スーパーとかが毎日、お札を数えて確認してって、あのための人件費も今はかなりかかってると思います。銀行だって相当人が減らせるはず。
・ATMをブルドーザーで壊して持って行くみたいな犯罪も減ります。


日本人はすごく現金好きな国民です。

現ナマしか信じないぞ、という人が多いのかな。だからキャッシュレスになるのは相当先かもしれません。

個人的には、キャッシュが必要とはあまり思いませんけどね。携帯電話で支払いするとか、いろいろ試みがでてきていますが、まあ、先行きを見守りませう。

お年玉もらう時期にキャッシュが存在してたってのは、ラッキーだったな。「お年玉、振り込んでおいたからね」とか言われて、おばあちゃんから「振込記録」を正月にもらう、ってちょっと味気ないっす。


というわけで、本日はお札の話でありました。

ではまた明日〜