「私は違うと思います。」

「よく考えろ」とか「考えが浅い。もっと深く考えて」と、言われたことがある人は少なくないですよね。では そのための具体的方法を教えてもらったことはありますか?

学校の先生や会社の上司などは、多くの場合、号令みたいに「もっと考えろ!」とは言うけれど、「こういうふうに考えれば思考が深まるよ」という具体的な「How ?」は示されない場合が多いですよね。

すると「もう一回よく考えろ」と言われても、やみくもに時間をかけて「ウンウンうなる」しかなく、当然だけれど全く考えは深まらない。 こーしろ、あーしろという人は、その方法論も一緒に教えてほしいと思います。


ちきりんの記憶でも大半の人はただ単に「考えろ!」というだけなのですが、何人か具体的にその方法論を教えてくれた人がいます。

そのうちのひとつの方法が「他人の意見を聞いたら、何か考える前に、“それは違うと思います”と言え」という方法です。なんだか失礼な方法論ですが、これホント役立ちます。

相手が説得力のある人とか、エライ人とか、マスコミだとするでしょ。すると「考えていると、なんとなく正しい気がしてしまう」ので、「考える前に違うと言え」というのです。

この「言う」のも大事。思ってるだけではダメです。言うと、相手から「なぜ違うと思うのですか?」と反論される。すると「ええっと、あのですね・・・」って説明しなくちゃいけなくなる。「なぜ違うと思うのか」を突き詰めざるをえなくなるので、考えることができるわけです。

誰かの意見に「ああ、本当にそうだなあ」とか「説得力あるなあ」と素直に感心していたら、思考が停止してしまいます。だから「違う!」と、まず言えと。

そういう方法論を教えてもらったのが十数年前。これはかなり役立ってます。


たとえば「日本の未来は暗い」という論調はよく聞きますよね。でも「いや、そんなことはないです。日本の未来はバラ色です」と言ってみる。すると「何が明るいのだ?人口も減るんだぞ。未来が明るいはずがない。」と言われる。すると、とりあえず(考える前に)「いや、人口が減っても未来はバラ色です。」と言い切ってしまうのです。

そうしたら・・・「本当に人口の大小と未来の明るさは関係しているのか?」と考える必要がでてきます。そして、多くの人がお手本のように語る北欧の多くの国は、イラクやイランより、もちろん、中国やインドより、圧倒的に人口の少ない国だということに思い至るでしょ。

また「そもそも未来の明るさとは何なのか?」ということを明確にしないと反論できないことにも気がつきます。そして「明るい未来」の定義こそが、この議論の根底にあることにも思い至ります。

というように、とりあえず「違う」と言ってみる。そしたら思考が進むかも?


また明日。