やっぱ石原さん、でしたね。

石原氏、開票開始直後の圧勝。もうちょっと接戦?と思った人も多かったのではないかな。ちきりんもここまで、とは思いませんでした。

でも、石原氏だろうな、というのは、そう思ってました。周囲の人でも「石原さん以外ないでしょ」って感じの人が多かったし。

Kabaさんが、この件について書かれているので(都知事選の結果: 2001年 夢中の旅)、ちょっくら書いてみたいと思います。別にちきりんが都民を代表できるわけではないですが、少なくとも、その一人ではあるので。


まずは「いい選択肢がなかった」です。石原氏と本気で悩む対象、他の「ありうる選択肢」がなかったです。

石原氏は「いろいろ問題はある」人ですが、決定的に「悪い」「ひどい」「許せない」わけではありません。汚職をしたわけでも、明らかに変な政策を推進したわけでもない。寧ろ、彼の様々な政策は悪くなかった。

だから、「誰でもいいから別の人にしたい」という状況ではありませんでした。


ところが浅野さんは「“石原だけはもうごめんだ”という声が多く届いている」と言ってました。もちろんそういう声もあったでしょう。でもそれは、石原氏のことを「すごく嫌いな人たち」の声だったと思います。一般都民の声ではなかった。

「石原氏をすごく嫌いな人たち」ってのは、“左な人たち”です。石原氏が中国ではなく台湾を盟友とすることが「許せない」人です。

ちきりんも、あの(石原氏の中国に対する)姿勢はどうかと思いますが、でも、別に私たちは彼に外交を任せているわけではないし、実質的に変なこと(大陸からくる中国の人にいじわるするとか)しているわけでもないし、「そういう思想の人」というだけです。

というわけで、「誰でも良いから、石原さん以外を選びたい」わけではなかったです。彼には評価できる部分もたくさんあったから、「ある程度まともな選択肢」がないと話にならなかった。

★★★

別の視点から。
ちきりんが彼の何を評価しているかと言えば、集約すれば「東京は、他地域のために我慢しろ」という思想に「NO!」と言った最初の都知事だ、ということ。

東京は便利で恵まれているのだから、高い税金を我慢し、その税金が東京の改善ではなく、地方の美術館や高速道路の整備に回されていくのは当然なのだ。都民はとことん我慢しろ。東京の人はいつまでも渋滞する首都高に700円払い、ひどい地下鉄に乗っていればいいのだ。というのが、今までの東京都と国の関係なんです。

「東京は勝ち組のいるところで、勝ち組が傲慢なことを言っている」という構図にされるから、皆大きな声では言えないけど、本心では「いい加減にしてくれ」と思っています。なんで私たちが、地方を支え続けなければならないのか・・・

彼は、「国のための東京」ではなく「東京のための東京」を明確にしてきた。これは大きかったです。浅野氏はふたつの点で不安だった。ひとつに彼は地方の知事だった。地方の知事って「東京はずるい」的な感覚が強い。

東国原知事も言ってるでしょ。「東京の増収分が我が県の年間予算と同じだ。」って。ちきりんに言わせれば「それの何が問題なの??」って感じです。なんで宮崎と東京の財政規模を比べるのか、意味不明です。

「東京はずるい」的な人はヤです。少なくとも東京のリーダーになろうとするなら、です。

二番目に、結局浅野氏は官僚です。上記の「東京は国のために」は官僚の思想でもある。国にNOという東京が必要なのに、国の手先だった人はヤダ!という気がします。

例えば現在の大阪の府知事は元官僚です。「大阪まで」って感じです。基本的に「東京からお金を引っ張ってくる必要のある、地方の知事は、国とのパイプが太い官僚出身が望ましい」のです。東京は「その必要のない、唯一の都道府県」です。


「東京のための東京」を明確にし、「東京のために国にNOを言う」という点で石原さんを高く評価しているのは、ちきりんだけではないと思います。

★★★

千葉に遠慮して成田をいつまでも「たててあげる」必要なんてないよ。羽田から国際線飛ばしましょう!

都立高校にも競争原理を持ち込むべきだ。ほんとその通り。(左の人はこういうのも嫌いです。)

オリンピックも「地方の交通網整備」のためにあるものではないです。東京は上海と競争しているのだ。

2万円を超えるホテルにホテル税を課して何が悪い?地方の知事で怒ってる人がいたけど、「だったら来るな」です。もしくは、安いところに泊まればいーじゃん。

銀行は税金払えよ!その通り。法律的には負けたけれど、今の制度の方が変だ!と思う人は沢山いる。

東京を横切るトラックからお金をとるべきだ。排ガスを規制すべきだ。ほーんと、その通り!


いくつか失敗した政策もあるけど、少なくとも彼は「いろいろ実現させた」し、思想的には一貫してる。「東京が一番有利になる政策を、採るべきだ」という考えです。「国全体のために一番いい政策を」ではなくてね。そして、東京に一番有利な考え方とは「資本主義的で実利的な政策」ということです。

★★★

一方でもちろん、彼の傲慢な、いくつかの「調子に乗りすぎた態度」(家族の登用を含む)に「頭にきた」人は沢山いた。だから、「きちんとした対抗馬」がいれば、可能性はあったと思う。

でも、いい人は誰もいなかった。「地方の知事で官僚」という、上記の視点で見れば条件的に「最悪」って感じの浅野さん、老後の暇つぶしのために立候補している黒川さん、「東京ではなく、足立区のために都政を!」と言っていた吉田さん。

また、上記以外の候補者の方々は、まずはもうちょっと知名度をあげないと。仮にも東京のリーダーになりたいなら、まずは自分の分野で一流になったという成果がないと無理です。

ただ、今回まともな対抗馬がいなかったのには理由がある。だって次回はまず間違いなく「現職がいない選挙」ですからね。「でるなら次」と、まともな人なら思うでしょう。だからしゃーなかった、です。現職は強いです。地方首長選は。

★★★

ちきりん的には、本当は、74歳の人を再選したくはなかったです。いったいどうなるの?って気はします。しかしこれについては、ちきりんは最近かなり「微妙でクリアな将来」が見え始めた。その件については、また別の機会に書きます。

というわけで、わりと「当然」って感じの結果でした。それでも投票率があがったそうで、危機感もあったんでしょう。
まあ、あと一期、頑張って欲しいです。

んじゃね。