どんどん稼いでがんがん使おう

ネット上でよく聞く“嫌儲”という言葉。なんと発音するのかも知りませんが、こういった新語を考え出す人のセンスにはいつも感心します。

これは文字通り“儲けることを嫌う”感情や、そういった思想、性向の人を指す言葉で、特に“ネット上で儲けることを嫌う”ことにその特徴があります。


彼らは、トヨタやソニーが自動車やテレビを売って利益を上げても嫌がらないけど、無料でウェブサービスを提供していた会社がサービスの一部有料化に踏み切ったり、人気のでた個人サイトが広告掲載を始めたりすると、批判したり嫌みを言ったりします。

それは、「自分も貢献したコンテンツなのだから、こっちにも分け前をよこせ」という主張でさえなく、単に「自分とは無関係の誰かが儲けること自体を嫌う」といった態度であり、まさに“嫌儲”です。


私には、ネット上のサービスを無料で利用し、その恩恵を享受してきた人が、広告掲載や一部有料化を批判する理屈はよくわかりません。

しかも、そのサービスがマネタイズに失敗し、経済的に立ちゆかず閉鎖することになったときには、「突然やめるなんて無責任」とまで言い出す人がおり、理解の範囲を超えています。

そしてこの“嫌儲”という言葉を聞いてつくづく感じるのは、「そういえば、私の周りの人はみんなやたらと“好儲”だよね」ってことです。


私の友人・知人は、飲みに行ってもすぐに「この店はこうやったらもっと儲かる」などと言い出すし、中には店の損益計算を始める人もいます。

金融投資をしている人も多いし、自分のブログでもないのに「ちきりんブログなら、ここをこう変えればもっと儲かる」など、おせっかいな助言を山ほどくれます。

彼らはみな喜々として「儲ける仕組み」について語るし、私自身も同じで、そういう話をするのはとても楽しいです。新しい仕組みのビジネスがでてくると、心からワクワクする。

また最近は周囲でも、起業してビジネスを始める人や、転職先としてスタートアップや伸び盛りのベンチャーを選ぶ人が増えてきました。

先日会った、長く自営業をしている友人も「益々儲かり始めた!」と福々しい笑顔で、一緒に遊んでると、こちらまでご利益がありそうです。


もちろん私自身も、何かアイデアが浮かぶたび「こんなビジネスを始めたら儲かるんじゃないか?」などと考え始めてしまう。

自分がいつからこうなのかはわかりませんが、「儲けるのが嫌い」なら、金融業界で働いたり、ビジネススクールに行くこともなかったでしょうから、かなり前から「儲けるのが大好き」だったはずです。


つい先日、「お金を払うよりお金を稼いだ方が学べるよ」と、いうエントリにも書きましたが、“稼ぐ・儲ける”ことこそ人を成長させるとも考えています。

さらに、儲けようとする人達が顧客と向き合う“市場”の仕組みは、今のところ現代社会における最も有効な問題解決の手法です。これがベストとも万能ともいわないけど、これより優れた一般則をまだ私は知りません。

規制産業が嫌いで、アタッカー企業を応援するのも同じ考えからです。

人が創意工夫で儲けようとするのを監督官庁が邪魔したり、規制の恩恵を受けている既得権益者が自由競争を拒もうとすることを忌み嫌ってもいます。

事業を大きくして巨額の資産を形成した人、経済的な成功者を尊敬しています。
それはその人のセンスや才覚や行動力、決断力が、市場で評価された証だからです。特に、長きにわたってそういった状態を保つのは本当に大変なことだと思います。


日本は不況で、就職市場では公務員や安定した大企業が人気らしいですが、「そんなに皆して“非成長セクター”を目指しててどーすんの?」と思います。

「お金を稼ぐおもしろさを体験できる授業」を早い段階で教育の中に組み入れたらどうでしょう。

「ベルマークを集めて寄付」もいいけれど、「バザーでは、クラスのみんなで稼いで寄付をしましょう。どこのクラスが一番儲けられるか競争しましょう!」みたいなことを中学校でもやればいいのです。

学校の周りに住んでいる人のニーズを分析し、「社会に求められているものを提供することがお金につながるのだ」と理解するのは大事なことです。

資金がたりなければ教師が貸すかわりに、ちゃんと利子もとって、借金の意味も教えるべきです。インターネットを使って稼ぐのもありだし、法律とか商道徳も一緒に教えられるよい機会となるでしょう。

なにより、自分がなにか価値あるものを提供して、それを評価してくれる人からお金をもらうということ、その一部を税金として国に納めて社会に貢献し、さらに、自分で稼いだお金を、自分が“価値がある”と思えるものに消費したり、投資するというお金のダイナミズムを、是非、人生の早いうちに知ってほしいと思います。

さあみなさんも、
どんどん稼いで、がんがん使いましょう!



そんじゃーね〜