ネット消費時代のインフラ:物流・決済・窓口

“これから個人消費がリアルからネットに一気に移行する”云々の話を最近よく書いてますが、その絡みで今後、重要になる“社会インフラ”を、ちきりんは次の3つだと思っています。

・小口物流
・決済
・窓口拠点

「ネット消費時代の新インフラ御三家」と勝手に名付けてます。


ひとつずつ見てみましょう。一番シンプルに「アマゾンで本を買う」場合。本はなんらかの“小口物流サービス”を使って自宅に届きます。そしてお金はクレジットカード、電子マネー、ネット銀行口座などの“決済サービス”を利用して支払われます。

ネットじゃなくて本屋で本を買うと、本屋まで行った人がその場で決済し、自分で本を家に持って帰ります。しかし購買機能がリアルからネットに移行したため、「自宅までの小口物流」と「決済」の機能は、本屋というビジネスとは独立して事業化されることになったわけです。


また、あらゆる購買機能がネットに移行しはじめると、物流と決済に加え“窓口・拠点”も重要になります。リアル購買だと、売り手と顧客のアクセスポイントは店舗です。特定の場所に物理的に存在する店舗に、すべての客が行きます。一方ネット購買では、アクセスポイントはそれぞれの客側に近いところに複数個必要となります。

たとえばコンビニの窓口が今はこの機能を兼ね始めていますよね。そこでは電気代やガス代も払えるし、有料ゴミのシールも買えるし納税もできる。宅配便も頼めるし、チケットの購入もできる。これらの機能をすべて“専用端末”で行うのは余りに非効率だし、有料ゴミのシールを小口物流機能を使ってネットで購入するなんてのも馬鹿げてます。複数機能を兼ねる窓口拠点の方が圧倒的に利便性が高いです。

そのうちこの窓口拠点は、より複合的な価値も提供しはじめるでしょう。たとえば、“本人確認”や、“本人の許可の確認”などが可能になります。選挙に関しても、ネットや携帯で投票できるネット投票は理想的ですがハードルが高いです。一方、全国どこのコンビニでも投票できるようになるだけで、小学校や公民館で投票させている今とは相当大きな違いがでるはずです。

また返品、修理、洗濯に出すものを“客が店側に預ける”という機能のためにも、客側の近くにあるアクセスポイント(拠点、窓口)は便利だし、高齢者向けのお弁当の配送拠点、受け取りカウンターなどもあり得ます。考えていけばその他いくらでも“窓口・拠点”の付加価値はでてくるでしょう。


というわけでちきりんは、小口物流、決済、窓口拠点の3つは、ネットそのものと共に、これから社会インフラとなる産業だと思っています。これらの機能を担当する企業、関連する技術などは非常に高い成長ポテンシャルがあるでしょう。

で、そうなると“今後有望な会社”ってのはどこなんでしょう?小口物流ですぐに思い浮かぶのはヤマト運輸とかですよね。決済は各種銀行、カード会社、電子マネーなどに加えて、携帯やSNSも決済プラットフォームになってくるでしょう。そして窓口はコンビニがすぐに浮かびます。確かに“都市在住者”にとっては窓口と言えばコンビニですね。

でも、田舎に行くとどうでしょう?ヤマト運輸もへんぴな場所や離島だとカバーしていなかったりかなり高かったり。コンビニも集中出店なので、ないエリアには全然ありません。

でも・・・


大丈夫なんです。田舎には、ネット消費時代の新インフラとなる“3つのインフラ機能を全部併せ持つ、驚きの巨大複合組織”が存在しているからです。

その組織は、日本全国をカバーした小口物流網をもち、決済機能ももちろん備えており、加えてすごい数の窓口拠点を日本全国津々浦々に、既に持っています。しかもこの三つを全部持っている企業は日本には他に存在しません。



なんということでしょう!

そんな会社があるなら、これからの時代、めちゃくちゃ有望じゃありませんか!!!


それ、どこ??


・・・ あっ!



そんじゃーね。