「世の中を変える人」の4条件

孫正義社長の新卒採用セミナーでのスピーチ(こちらのエントリ)を思い出しながら、「世の中を変える人になるための条件って、何なんだろう?」と考えてみました。たとえば“能力”さえあれば、世の中を変えられるか?と聞けば、大半の人が“NO”と即答しますよね。

みんな直感的、経験的に“能力さえあれば世の中を変えられるほど甘くはない”と理解しています。では能力の他に何を持っていれば、“世の中を変える人”になれるのでしょう?


志高く 孫正義正伝 完全版 (実業之日本社文庫)

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まず孫社長がスピーチの中で強調していたのが“志”。「自分の人生において何を成し遂げたいのか」という具体的な目標です。

加えて「志がないと必死で頑張ってもだめ。志をもたずして頑張っても“さまよう”だけ」とおっしゃっており、その言葉の中には、もうひとつの条件も表れています。それは“必死で頑張る”こと。


確かに「能力の高い人が、早期に志を定め、必死で頑張ったら・・・」、いいところまでいけそうですね。でもスピーチを聴いているうちにもうひとつ必要に思えたのが、「正しいやり方」とでもいうべきものです。

目標を実現するために、具体的には何をやるべきか、どこから攻めるべきか、どの程度押すべきで、いつ退くべきか、みたいな方法論。これを間違うと、能力や志があって頑張っていても、既存の社会から、拒否されたり追い出されたりするんですよね。

世の中を変える可能性があった人の中で、若い時、もしくは一番働き盛りのピークのタイミングで、社会に潰されちゃう人、もしくは“自滅しちゃう人”は実際にたくさんいます。

もちろん、だからといって既存社会に迎合していては世の中を変えるなんてできないわけですが、一方であんまり無茶をすると潰されてしまう。今回あのスピーチを聞いていて、孫社長はその辺りがとても巧かったんだなと思いました。


スピーチの中で、総務省に乗り込んで「NTTに公正な商売をしろと言え」と直談判した話がでてきたのですが、これだってやり方を間違えると潰されていた可能性は十分ありますよね。

テレビ局を買おうとしたり、銀行を買った時の引き際も、ひとつ間違えてたらどうなっていただろうと思います。孫社長はそのあたりの“引き”がすごく巧いのです。


また、“宝を見つけるためには、地図を手に入れる必要がある”という発想で、コンピューター見本市自体(開催会社)を買うのは、大胆なようで実は超論理的です。

会社の規模にそぐわない大型買収など、一見無茶をやっているように見えるけれど、実はかなり考えた上で選択している。だから結果としてここまでこれているんだと思います。


孫社長が留学前に藤田田さん(元日本マクドナルド社長)に「アメリカで何を学ぶべきか?」と聞きに行った話も読みましたが、この時、藤田氏は「コンピューターを学んでこい」とアドバイスしたのだそうです。

「アメリカで何を学ぶべきかは、アメリカを代表する商品であるハンバーガーで成功している藤田氏に聞きに行くのがいいはずだ!」と考えた孫氏のセンスも、飲食業の経営者でありながら「コンピューターを学んでこい」と行った藤田氏もすごいです。



というわけで、「世の中を変える人」に必要な要素をまとめると
・能力
・志
・継続、勤勉(必死で頑張ること)
・正しい方法
の4つかなと思えたので、この4要素を組み合わせ、「どれがあって、どれが無いと、どんな人になるのか」16種類の組み合わせを考えてみました。そのうち、おもしろそうなのを抜き出したのが下記です。

こうやってみると「ああ、やっぱり志って大事だな」と分かりますよね。志の有無が“財を成す人”と“世の中を変える人”の分かれ目になるのです。



実は、能力があって、一生懸命働いてて、正しいやり方でやってる、そして“財を成している”人はそこそこ存在します。でも“世の中を変える人”は多くありません。その分かれ目が“志”の有無だから、孫社長はそれを強調されたのでしょう。


“能力と勤勉”で“出世する人”としたのは、一種の皮肉です。日本企業(社会)では、「優秀な人が一生懸命頑張る」のが高く評価されます。だけど“その人が頑張ってることって、本当に正しいことなのか?”というと、それはあまり問われてないんですよね。もちろん“志”なんて出世には無用の長物です。

「オレの場合は?」というパターンが上記に含まれてない方は、ご自身で書いてみてください。16種類の中には、「どれも持ってない場合」も含まれるので、すべての人の入るべき欄が必ず見つかるはずです!(?) 


そんじゃー!



★★★

本日のネタバレ画像。下記はこの話を考え始めた時のメモ。使いかけのポストイットにメモしてました。相変わらず字が汚い。