会社辞めて1年をQ&A形式で振り返る

ちきりんが会社員を辞めて約一年たちました。“振り返りエントリ”を書くべきかしらと思いつつ、何書けばいいのかわからなかったので、ツイッターで質問を募集してみました。



そしたら、たくさん質問をいただいたので、以下それに答えることにします。



関西に生まれ育ったことは私の誇りです。“おちゃらけ”なのも「笑かしてナンボ」の世界で育ったからです。でも、住む場所としては圧倒的に東京が好きです。東京の多様性は関西を含め他都市とは比べ物になりません。



(1) 十年以上 (2) 「働かない生活」をやってみたかったから。 (3) 貯蓄+執筆活動の対価(広告含む)



「辞めた直後」&「今」で比べれば、あまり変わりません。



日々のワクワクはあまり変わらない、というか、どっちもそんなにありません。ワクワクするのは旅行など非日常の時が多いです。その意味では今のほうがその機会は多いです。



よかったこと=圧倒的な自由度を得たことです。拘束時間が大幅に減ったこと。特に平日昼間に遊べるようになったこと(どこもメチャすいてる)、日程の決まっているイベントに行けるようになったこと(長年の夢だった雪祭りやB1グランプリに行けました)など。

さらに、意思決定が自分だけでできるようになったことも大きいです。たとえば会社員の間は“ちきりん”として本は出せなかったと思います。ブログを書いているのが誰か、ということがバレたらどうしよう、という不安感からも解放されました。精神的に超自由です。


後悔していること、残念なこと=あまりないですが、働いていた時は「私のチーム」「私のプロジェクト」が持てていたというのは、幸せなことだったのだと(懐かしく)思います。

今は、「誰かのプロジェクト」に参加はしますが、「私の・・」はありません。別の言い方をすれば「リーダーシップを発揮する場」が皆無になったということです。それはとても気楽であると同時に、残念なことかもしれません。



会社での拘束時間10時間×5日として、週に50時間、月に200時間の自由時間が手に入りました。その200時間が、(1) 睡眠時間、(2) 趣味時間(料理、韓国ドラマ、美術館めぐり、飲み会など)、(3) 家族との時間、(4)ちきりん活動の時間(人と会うとか執筆など)、(5) 旅行時間にそれぞれ40時間ずつ(40×5=200)配分されているという感じです。



ないです。



合います、というか、“昔の同僚”以上に話が合う人がいる(に出会える)とは思えません。それくらい“昔の同僚”と話すのは楽しいです。



起きるのは9時くらいです。睡眠時間は平均で1時間は増えました。変化は上記をご覧ください。



収支は非公開です。生活スタイルについては上記をご覧ください。



うれしいです。ヒマではありません。忙しすぎます。仕事をしたいとは全く思いません。本は書いてますが、文筆業を職業にしたいとも思いません。



会社ってのは「コミット=お互いに拘束しあうという合意」だと思います。(「家庭」も同じですね。)

「働く」については・・・(全部持つ必要はないと思いますが)「仕事(働く)」「家庭」「個人の趣味」は人生の基本的な構成要素だと思ってます。私は働くこともすごく楽しかったのですが、働かないこともとても楽しいので、幸運だなって思います。

ただし、いずれも「辞めて初めてわかった」ことではありません。前からわかってました。



怖い顔をしなくなったと思います。



収入源は既出。将来やりたいこと=将来というより“これから”ですが、もっと旅行したいです。アジアのあちこちに短期間住みたい、日本中を旅行したい、世界でもまだ行きたいところがたくさん。



既出です。



わかりません・・・



“ちきりん活動”が忙しいので、社会との関わりは(分野は変わりましたが)大きくは減っていません。



貯金で食べてます。誰にでも有用なアドバイスは『ゆるく考えよう』に書きました。すなわち、35年ローンとか組まず、不要な保険に入らず、広告に煽られて無駄なものを買わず、分をわきまえて生活すればお金はたまります。



その二つが境界を接してると思ってません。



ないです。



何割かわかりませんが、貯金はまだたくさん残ってます。



無関係です。



忙しさ・・



すべて既出ですね。



自分の老後のために、若者には国民年金をきちんと払うよう勧めてます。



既出です。基本はだらだらしてます。



学生(二十歳くらい)の頃から「独立してもやっていける」=「何やってでも生きていける」と思ってました。「独立してやっていけないから、会社員をやっていた」わけでもないです。



なにかあるかな。。。特にないような気がします。



既出です。



もっとヒマで(したがって、もっとやりたいことができるのかと)思ってました。“ちきりん活動”が予想以上に忙しいです。まあ、コントロールすればいいだけですが。

気分は予想通りです。退職後は緊張感がなくなり穏やかに楽しくすごせています。ストレス総量が相当減ったと思います。「全力をださないと乗り切れないこと」が以前はたくさんありましたが、今は皆無です。



どちらも既出です。



会社に辞める意思を伝えた時点では、どちらの本の出版も決まっていませんでした。
ただ、「会社を辞めたらあんなことしたい、こんなこともしたい」という予定はいろいろ考えていました。

どっちかというと「計画なんてなくてもなんとかなるのよ、おほほほほ」って感じです。



既出ですね。後悔したことはないですねー。



余り変わりません。仕事だけの関係だった人とは会わなくなり、個人としてもつきあっていた人とは今までどおりです。



通勤。服装の縛り。型式的なイベントでも断れないことがあること。



貯金が無くなったら働けばいいだけなんで、特に不安はないです。



自分がどんな生活がしたいか、どう生きていきたいのか、わかっていることです。



働いていたときは、「やりたいこと」と「やらなくちゃいけないこと」が5:5くらいだったと思います。今は8割が「やりたいこと」です。

「やりたいこと」を「見出す」のに努力や方法論は必要なかったです。常に「あれもやりたい、これもやりたい」状態です。

「辞めようの境地」というほど深刻な感じではありませんでした。「働く人生」と「働かない人生」の両方を(一生の間に)経験したかったので、「そろそろもうひとつの方をやろう」という感じです。具体的な辞めるタイミングは、自分が雇った部下がみんな一人前になり、これでやっていけるよね、という感じになったところで決めました。



時間の変化は既出。バーチャートは面倒なので略。(一日の時間の使い方が複数パターンあり、バーチャート一つで表せません)



両方既出ですね。どちらもNOです。



質問が理解できてるかどうか不安ですが、「働く人生」については、やりきった感が100%を超えたのでもう辞めました。「働かない人生」については、一年たった今でもまだ全く達成感がなく、当面はこれをやっていきたいです。



詳細は非公開ですが、収入も支出も減ってます。私はほぼ自炊なのでエンゲル係数は高くないと思います。支出のうち比率が高いのは旅費です。



(1) 視野は確実に広がりました。多くの仕事は「狭く深く」の世界です。私もすごく狭い世界で仕事をしていました。たとえば会社を辞めるまで「文学部」の人とか「メディアの人」にほとんど会ったことがなかったのですが、辞めてからそういう人に会うようになり、すごく新鮮です。それ以外にも、働いていたらまず会わなかったであろう多くの人に会えるようになりました。

(2) 元の会社とめぐり合ったことは私の人生を変えました。本当に幸運だったし、心から感謝しています。だからといって今から戻りたいわけでもないので、元の職場を思い出して浮かぶのは「感謝の念」と「楽しかった思い出」です。



冷たいと思います。私が「ちきりん」であることを知っている人はいいのですが、それを知らない人に「会社辞めて遊んでる」と言うと、露骨に「なにそれ?」な顔をされます。イベントなどに申し込んでも、参加を(やんわりと)断られることもあります。無職って大変だな、って思います。



「組織で仕事をすることの面白さ」、「グローバルに競争力のある組織のやり方」などについては、勤めていたことで学んだことです。独立して働くより組織で働くほうが圧倒的に成長が簡単だと思います。


以上です!


そんじゃーね。