私が過去に、最も長い時間を費やしたゲームがシムシティです。
- 出版社/メーカー: エレクトロニック・アーツ
- 発売日: 2011/03/17
- メディア: CD-ROM
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これは、自分が市長となって市の運営を行うゲームです。地形(平地、山、川、海など)から成型し、土地用途(住居、商業、工業地帯)を決め、水道や電気などインフラを整えて、街を発展させます。
市長として様々な予算を決裁するのですが、交通予算を削減すると道がでこぼこになるし、文教予算を削ると(教育レベルが落ちて)IT産業が落ち込むし、高密度の開発を続けてると治安が悪くなる上、空気も悪くなって病気の人が増えて、医療予算が圧迫されます。
せっかく街を作り上げても地震や台風であっというまに壊れてしまったり、発展を続けてるのに渋滞が激しくなって市民の不満が高まったり(デモも起こります)、だけど地下鉄を作るには財政が厳しすぎるし・・・
街が発展すると「原発を誘致するか」「国が軍事基地を移転したいといってきている。補助金は○○円だが許可するか」など、いろんな判断を迫られます。
本当によく作り込まれており、マジで市の運営をやっている気分になれ、全く飽きません。
様々な指標とともに市長の支持率も常に示されていて、(本当の政治家のように)胃がキリキリするし、発行されている新聞は毎回毎回、無責任なことをかき立ててくれます。
このゲームの特徴は「決められたゴールがない」ことです。「勝つ」という定義がありません。
街を巨大にして人口を増やすことを目的にしてもいいし、財政を豊かにして住民税をゼロにする!が目的でもいいです。公害や犯罪ゼロの街を目指す、市長の支持率 100%を目指すなど、多彩なゴールがありえます。
原発をバンバン造って街を発展させてもいいし、風車だけで運営してもいいです。(んなもんで街を大きくするのは無理だとヨク分かります。)
このように「目指すべきものを、ゲームのプレーヤーが決められる」のも、このゲームのすばらしいところです。実際の市長だったら「仕事はここから始まるのだ」とわかります。
あまりによくできたゲームなので、私は「政治家を目指す人は、シムシティを 500時間以上プレイすること」を条件にしたらいいんじゃないかと(真剣に)思ってます。
たぶん、ちょっとした政治塾なんかより役立つかも。地形も実際の市と同じ条件に成型できるから、臨場感もたっぷりですし。(どうですかね?大阪の新区長のみなさん!?)
私はシムシティに余りにのめり込みすぎ、それ以来、「世の中がシムシティに見える」という病気に罹っています。
たとえば現在の国際世界は、「中国をいかに暴発させないまま、国際社会に組み込んでいくか」ということを目的としたロールプレイングゲームのようなものです。日本はこのゲームのイチプレーヤーにすぎません。
WTOからTPP交渉、さらには米軍のアジア再編成など、すべてはその目的のための施策なんです。
ところが、この長期的な「地球ミッション」にみんなで取り組んでいる時に、資源や食料が足りなくなったり、中東では海峡封鎖だのなんだのいいだしたり、さらにヨーロッパで通貨危機が起こったりします。
次々と続く災難に「うぎゃー!」とかいって対応してると、足下の自分の国でも大きな災害が起こり、その上、原発事故まで・・・
現実がシムシティと違うところは、(それがまさにゲームではない、という点以外に)、プレイヤーが複数だということです。
シムシティではプレーヤーは一人(自分だけ)ですが、世界にはプレーヤーが複数いて、相手がどうでてくるか、わかりません。まさに“ロール・プレイング”なんです。
ギリシャがああ出てくるなんて、ドイツには分からないし、北朝鮮がどうでるか、イラクがどうでるか、シリアがどうなんのか、全くわかりません。そのうえ、世界のあちこちで災害は起こり続けます。
いったいどーすればいいのか!?
メタな視線を持ちたい人、権力を振り回してみたい人、人生をムダにしたい人にお勧めです。
そんじゃーね。