新シリーズ)新宮市に行ってきた!

今年の4月半ば、ちきりんは和歌山県の新宮市を訪ねていました。新宮市は和歌山県の三重県寄り、紀伊半島の最南端からちょっとだけ東にある人口3万人強の市です。下記(紀伊半島の地図)でピンクのところですね。



訪問理由は後で書きますが、まずは読者の皆さんにも、この典型的な日本の地方都市のひとつともいえる新宮市がどんなところなのか、イメージをもって頂ければと思います。


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新宮市の面積は255平方キロメートル(世田谷区と大田区を合わせると117平方キロメートルなのでその倍くらい)ですが、大半は森林で、宅地は海沿いに2.1%のみ、田畑も2.3%だけです。

この付近は2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」(いわゆる熊野古道)として世界遺産に指定されており、新宮市にある熊野速玉大社を始め、熊野本宮大社、熊野那智大社(あわせて熊野三山)が近隣市にあります。

山は森深く急勾配で、まさに霊山、スピリチュアルスポットという趣。夏に川遊びに行くなら、かなり素敵そうな場所でした。


新宮市の人口は32,130人(2011年4月1日)で、5年前の34,255人からは6.2%減。65歳以上人口は30.5%、この数字、日本全体では23%、和歌山県全体で約27%なので、やっぱり高いですね。しかも山間部だと65歳以上の人が43.4% (H24.3月現在) とのこと。(ちなみに2050年には、日本全体でも65歳以上が40%になると予想されています。)

大半の市民は、海沿いで駅前の平地に住んでいます。残りは山の中に集落が点在。世帯数は15,819で、一世帯あたりの家族数は2.03人。地方の小都市って大家族のイメージがありますが、この数字は東京と変りません。高齢化で単身者世帯が増えてるってことでしょうか。

平成17年の国勢調査では、第一次産業従事者が2.1%、第二次産業が17.8%、第三次産業が79.2%ですから、「みんなが農業やってる」わけではありません。働いている人の多くは卸小売業、サービス業の従事者です。この辺も、都市部の人が地方都市についてイメージする際に間違えやすい点ですね。


ただし選挙の投票率は、直近の市長選が74.9%、市議選が73.76%だから、都会からみると、やっぱりすごい高いです。

市内にはJRの駅が3つあり、一番大きい新宮駅の一日あたりの乗客数が1112人。うち定期の利用者(車で通えない高校生?)が594人です。

観光客数は、年間122万人なので、人口3万人の市としては「すごっ!」って感じですが、温泉がでないこともあるのか宿泊率は9%と、かならずしも「観光都市」ではありません。ちきりんも今回の訪問で宿泊したのは、温泉街であるお隣の紀伊勝浦でした。


写真:ちきりんが宿泊した勝浦の旅館の部屋からの風景。海がすぐ目の前


自動車の数は、乗用車が8,184台、軽自動車が11,056台、併せて2万台弱。20歳〜74歳の人口が21,100人なので、ほぼひとり一台ですね。

小学校は7校、中学校が6校、高校が3校あります。生徒数は小学生が1600人弱、中学生が900名強、高校生が1500人くらい。“市内みんな知り合い”みたいな規模。

生活保護の保護率は1.84%。都会ほどではないけれど和歌山県の中では高い方です。平成22年の刑法犯は405件で、うち290件が窃盗犯、凶悪犯は1件(何なんだろ?)、火災件数は5件。

市の予算は、一般会計の総額が170億円弱。うち自主財源は22.8%。残りは国からの交付金と借金です。市議会議員は17名。半分の8名が60才以上。大半が無所属。市の公務員数は641名。


実はこの新宮市と隣の勝浦には、昨年9月に大型台風12号が何日も停滞し、大規模な洪水、土砂崩れが発生、那智勝浦町で25名、新宮市では13名もの死者がでています。家屋被害も、全世帯数は15,000世帯強のうち、3000世帯に上ります。

昨年は311があったため、この台風、大雨、洪水、土砂崩れは東日本ではあまり注目されませんでしたが、こちらも非常に大きな災害だったのです。

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さて、新宮市がどんなところか、少しはイメージが出来てきたでしょうか?

今回ちきりんがそこを訪れた理由は、新宮市会議員である並河哲次氏(26才)にインタビューをするためでした。「それ誰?」「なんで、その人にインタビューしにいったの?」って感じかもしれませんが、それらは、次回以降のエントリを読んでいただければと思います。

これはちきりんブログとしては、新形式エントリのトライアルです。1年ちょい前に会社を辞めたとき、「これからはいろんな人に会って話を聞き、それをブログに書いてみたい!」と思っていたのですが、それがようやく実現したということです。

私は今回、並河さんに2日間つきまとい、合計10時間に渡るインタビューをしています。その内容は想像していた以上に興味深く、学びの多いものでした。長い連載となりますが、”日本の地方と若者の政治参加を考えるための特別連作エントリー”、読者の皆様にもきっと楽しんで頂けるはずです。

では次回は、「並河哲次さんて、いったい誰?」というところからお送りします。お楽しみに!


そんじゃーね。


資料出典:新宮市市勢要覧 資料編