生活保護以外、すべての福祉を廃止したらどう?

人気芸人さんの母親が生活保護を受給していたことが問題視されて以来、生活保護に関するメディアの報道が目立ちます。

生活保護は受給人数や支給総額も増える一方で、制度的に“もうモタない感”もあり、

様々な人が現行制度の問題を指摘、様々な制度改革案も噴出し、まさに国民的議論の様相を呈しています。


直近の発表では、受給人数は 210万人らしいので、人口の 1.65%、だいたい国民の 60人に一人が生活保護を受けている計算です。

総額は 2012年の支給総額予想が約 3兆 7千億円。現在の消費税収入が約 10兆円なので、その 4割弱にあたる規模です。


で、この件に関してのちきりんの提案は、ずばり 
  「生活保護以外の社会福祉制度は全廃すべし!」  です。

読み間違えないようにね。生活保護制度の全廃ではなく、生活保護制度以外、全廃です。


生活保護制度以外の社会福祉って何だよ? というと・・・、
・公的年金
・医療保険
・障害者福祉
・雇用対策
・その他の福祉 があります。


それら社会保障支給費の総額は、厚生労働省の資料によると、下記のような感じ。


日本の社会福祉予算の中では年金と医療保険が圧倒的に大きく、生活保護は「最近、ソコソコ目立つ規模になってきた」というレベルです。



で、生活保護以外の制度を全部廃止するというのは、
・年金廃止
・医療保険廃止
・その他の福祉、たとえば障害者福祉や雇用保険なども全部廃止して、
・生活保護だけ残す、という案です。



(1) 年金について

年金なんて廃止して、みんな自分の貯めたお金で生きていけばいいじゃん?
そうすりゃ高齢者の大金持ちが抱え込んでる貯蓄も流動化して一石二鳥。
んで、長生きしてお金がなくなったら、その時点で生活保護をもらえばいいんです。


(2) 医療保険について
医療保険なんか廃止して、みんな自分で民間の医療保険に入るなり、貯金から医療費を払えばいいじゃん?
んで、無保険の人が大病してお金がなくなったら、その時点で生活保護をもらえばいいんです。生活保護世帯は医療費が無料なんだから。


(3) 雇用保険について
失業保険なんか廃止して、失業した人は自分の貯金で暮らせばいいじゃん?
んで、貯金がなくなったら、その時点で生活保護をもらえばいいんです。


(4) その他の福祉について
家族に障害者がいたり、自分に障害ができたら、民間の傷害保険金や貯金で食べていけばいいじゃん?
んで、お金がなくなったら、その時点で生活保護をもらえばいいんです。


以上。



生活保護支給費はすごく増えると思うけど、さきほどのグラフからもわかるように、年金や医療関係の支給総額はめっちゃデカいので、

それらを廃止すれば、少々生活保護が増えても財源には困りません。

ざっくり計算してみると、他の福祉をすべて廃止すれば生活保護が今の 25倍に増えても大丈夫なわけで、

それって国民の 4割が生活保護を受けられるってことを意味します。しかも年金は積立金も別にあるしね。


★★★


次に、なぜこの方法のほうが今の制度よりいいのか。その理由が下記です。


現在の制度の場合は、2回天下りして、合計 1億円近い退職金を貰ったような高級官僚まで年金をもらってるし、

オレオレ詐欺に数千万円もダマされるほど余裕のある高齢者も、医療費の大半を税金から補助されています。


高齢者って医療費くらいしか大きな出費がないのに、医療保険のおかげで病院に行ってもほとんどお金がかからないから、70才の時に数千万円の貯金を持ってる人は、 80才でも 90才でも数千万円もってます。

だから詐欺の電話がいっぱいかかってくるんです。


他にも、今の制度ではダンナが外資系投資銀行の一億円プレーヤーでも、共働きの奥さんがリストラに遭えば失業保険がもらえるし

大成功した起業家で、何十億円もの資産を持っていても(フォーブスの“世界長者番付”に載ってるような大資産家でも!)

息子に障害があれば(息子は)障害者年金が受取れ、親が認知症になれば、その介護費用の大半が介護保険によって補助されます。


でも、「生活保護以外の福祉を全廃」すれば、大金持ちやその家族は補助を受けられません。自分の資産で払う必要がでてくるんです。


その上、


日本年金機構とか、医療費のレセプトをチェックしてる組織、それに雇用促進関係の山ほどある天下り団体も全部、廃止できるから、

生活保護関係の役所人員を少々増やしても、全体としては相当数の人員削減、コスト削減が可能になります。

みなさんの給与から引かれている年金、健康保険、雇用保険の保険料は統合され、「総合社会福祉保険料」に名前が変わります。合計負担額も相当、減ると思います。


超いー案じゃない?


左な人ってすぐに「大企業や資産家への課税を強化すべきだ!」みたいなこと言うけど、他人にたいして「お前の資産を国に差し出せ!」と言う前にまず

「別にお金に困ってない人」にお金を配るの、止めたほうがいいでしょ。


言い換えれば、バケツの中の水が足りなくて困ってるなら、(税金や保険料を上げて)上から注ぐ水の量を増やす前に、バケツの底に開いてるドでかい穴をまず防ぎ、無駄に流れ出てる水を先に止めたほうがいいんじゃないの? ってことです。

そうしないと、いくら上から水を注いでも足りるようになったりしないでしょ?


多額の年金を受け取ってる人、たっぷりの資産や貯金を持ってる人にまで気前よくお金を配ってるから、ホントに困ってる人に配るお金が足りなくなるんです。

わざわざ多大な事務コストを掛け、生活に余裕のない若い人から高い税金や保険料を徴収してまで、お金持ってる人を援助し続ける必要は全くありません。



そんじゃーねー!



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