不妊(治療)問題について、全員が知っておくべき知識のリスト

一ヶ月ほど前に、不妊治療問題について、いくつかのエントリを書きました。

1)不妊治療に関する課題リストアップ
2)不妊治療に関する問題の整理
3)「赤ちゃんが欲しい人の本」を読んでみた


それらのエントリの中で、この問題に関しては大半の人が知識不足であり、そのために発生する問題も多いと書きました。(下図の一番下)


そこで今回は、
「すべての人が一般知識として、知っておくべき知識とは、どんな知識なのか?」
「どんな知識が事前にあれば、不妊(治療)問題が起こらずに済んでいた可能性があるのか?」

について考えていきたいと思います。

これがまとまれば、その内容を、高校生から大学生の間の保健の授業などに取り入れて、全員に教えればいいんじゃないか、と思ったり。


なお「すべての人」とは、不妊治療をしているすべての人ではなく、男性も女性も、子供がほしい人もそうでない人も、妊娠可能時期にある人もそうでない人も含めて、という意味です。

実は前回の一連のエントリを書いて以来、この問題に関するメールをいくつか頂きました。(ありがとうございます。) それらも参考にして、下記にたたき台のリストを作ってみました。



<すべての人が一般知識として、知っておくべき知識とは、どんな知識なのか?>


・妊娠、出産についての知識

・妊娠のメカニズム

・年齢別の不妊確率(妊娠を望んでいても、1年間、妊娠しない率)

・ありうるすべての不妊の原因(男女別)

・卵子の老化など、女性の年齢と不妊の関係(メカニズム)について


・不妊治療を始めるタイミングを決めるために参考になる知識
(たとえば、生理不順がある人は早めに受診すべき云々)

→ 日本不妊予防協会のサイトには男女別のチェックリストがありました。ちょっとtoo muchなリストのような気もしますが。
  (a) 女性用チェックリスト
  (b) 男性用チェックリスト


・高齢出産のリスクについて(生物学的、医療的な問題の他、社会的な問題についても)
 ・母子共にリスクが高まること
   →参考資料)分娩時年齢の高年齢化 現状と問題点
 ・子育ての負担(経済的、および、体力的、精神的なものなど非経済的な負担含む)
 ・子供と親の年齢関係から起こる問題(例)子育て途中で定年になる可能性、子供が成人してすぐに親の介護問題が発生する可能性←子供の妊娠年齢を遅らせる可能性、など


・妊娠タイミングが遅れる主要因
例)キャリアとの両立、結婚への精神的レディネスの低さ(男女とも)



・不妊治療に関する知識

・不妊検査の内容、費用、および

・不妊治療の内容、ステップなど


・医学の限界 (コントロールできることと、できないこと)
不妊問題に限りませんが、いくら検査をしても不妊の原因が特定できないことさえよくあります。治療すれば誰でも妊娠するわけではありません。この点に関して、いくつか頂いた意見は非常に示唆的でした。過去関連エントリ→「すれ違う前提(医療編)」もご覧ください。


・不妊治療の成功確率(年齢別、原因別、手法別など)

・必要な費用の概算と内訳(参考:2010年のアンケート調査

・不妊治療に伴う副作用リスク、女性の体への負担


・不妊治療に関わる現実的な負担の内容(経済的な負担以外)
例)治療スケジュールは排卵サイクルに沿って決められるため、会社には詳しい理由を言わずに突発的に休みをもらわねばならず、仕事との両立が難しいこと。相当数の時間、日数、期間がかかることなど。


・夫婦内の意見の相違、家族の意見の違いなどの実例(体験談)

・受精しても妊娠・出産に至らない場合の精神的ショックの大きさ(体験談)

・数年間、不妊治療を行っても成功しなかった場合の、その後の生き方に関しての悩み(体験談)


・養子縁組制度についての知識 
不妊治療が巧くいかなかった場合、養子縁組によって子供を育てるという選択肢をどう考えるか、最初から知っているのといない場合では、その実現可能性に大きな差がでてくるでしょう。妊娠同様、養子縁組にも年齢制限があるし、不妊治療同様、養子縁組にも大きな覚悟と心の準備が必要だからです。

私も含め、日本ではこの制度についてきちんとした知識を持っている人自体が、極めて少ないのではないでしょうか。



まだ粗粗なリストですが、ツイッターやメールでご意見をいただければ、それらをベースに少しずつ修正していきます。

いわば、「不妊治療に関する Social problem solving」の試みですね。もしくは(過去にも何度かやったことがあるのですが、)「読者参加型エントリ」ということでもあります。

・メールで頂いた意見は、(ご本人の希望がない限り)発信者名、メールなどは公表しません。 (メールアドレスはこちらをご覧ください。)
・Twitterで頂いた意見は、そのまま引用する場合もあります。(内容を参考にさせていただくだけ、の場合もあります。)
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そんじゃーね。



そんじゃーね。


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