次回の目標は「はい」を減らすこと!

今年の春から月に 2回ほど(隔週水曜日の夕方 7時から 8時まで)、東京 FM のラジオ番組でコメンテーターをしています。“タイムライン”という“時事ニュース+”みたいな番組です。



(↑スタジオ)


「今年は何か新しいことやってみたいなー」と思っていたし、「ちきりんさんならバッチシですよ!」とおだてられ、「あっそう?」って感じで軽く引き受けたのですが、やってみたら・・・

なにこれ、難しいやん!!!  

と、四苦八苦。


特に最初のオンエア日だった 4月 1日は、“あまりにあまりなデキ”で、関係者のみなさんに大きなショックを与えてしまいました。


てかね。私自身は自分が上手く出来ないことにチャレンジして、失敗して、学んで、ちょっとずつ上達するっていうプロセスは嫌いではありません。

日頃から読者の方に「できないことにチャレンジしよう!」とか「失敗から学ぼう!」とか言ってるわけで、自分自身が得意なコトしかやらないようではお話しになりません。


でもそのとき反省したのは、私はそれでよくても、この日は数年ぶりに番組をリニューアルした初日で、その番組をずっと作ってきたスタッフの方にとっては、とっても大事な日だったんだと(番組が終わってから)理解したからです。

しかも(たぶん)あたしはそれなりに期待してもらってた。

だから番組が終わって、関係者の方がみんな集まってきて、なんとも言えない空気がその場を漂ったとき、私は心から反省しました。

みんながとっても大事にしているものを、私の怠慢で台無しにしてしまった気がしたからです。


しかも前に働いてた外資系企業だと、こういうとき、ものすごく率直なフィードバックが飛んでくるんです。俗に言う「ボコボコにされる」ってやつですね。

それはそれでつらいのだけど、この時は別の大変さを感じました。


だって番組関係者の方が、私をボコボコにできたりするはずがありません。

「もうちょっとゆっくり話していただけたら、それだけでかなりよくなると思います」とか、


「 CNN みたいですよね。夕方の番組なんでもうちょっとリラックスできる感じがあったほうが・・・」とか、


「せっかくの生放送なので、こんにちはではなく、こんばんはと言って頂けると・・」


「もうちょっと会話のキャッチボールがあれば・・・」


「できればラジオの世界をもうちょっと知っていただいて・・・」


みたいな、ほんとーに気を遣った形で(それでもたっぷりの)アドバイスを貰い、あたしは帰り道、久々に本気で反省しました。


★★★


私は、作文は子供の頃から得意だったけど、話をするのが得意だったわけではありません。

加えて長い間、少々話し方が適当でも、聞き手側がずば抜けて高い文脈理解力でそれをカバーし、こちらの言いたいことを完璧に理解してくれるという環境で働いてきたので、「順を追って、誰が聞いてもわかりやすくしゃべる」というスキルが身についていません。

そしてその拙さを“言葉の数”で補うため早口で話し、それが続くと声がキンキンしてしまうんです。


唯一プレゼンテーション能力については、仕事に必須のスキルだったため、あれこれトレーニングも受けたし、何度も練習することで、かなりマシになりました。

だから講演で話をするだけなら、何百人のホールでも緊張しないし、自分なりの及第点レベルで話すことができます。


でも、それ以外の「話す」は今でも不得意です。

たとえば講演なら聴衆の反応のみに集中すればいいのですが、「観客が入ってる会場での対談やトークショー」だと、気にすべき相手が複数になり、一気に難易度が増します。

「対談相手」と「聞きにきているお客さん」という、全く異なるふたつの相手に向けて上手く話すのは、私にはまだかなり難しいんです。


ましてラジオの場合、聞き手の表情も見えないし、そもそも私はそれがどんな人達なのか、想像もできてない。

だから、

あきらかに「得意じゃないことだ」とわかっていたのに、たいした準備もせずに初日に臨んで玉砕し、ほんとーに申し訳なかったわけです。


★★★


んで、それ以来、他の方の番組を聞いて勉強したり、オンエア後に自分の出演した回を聞き直して直すべき点を挙げたりしてるのですが、

今日はそのプロセス自体をみなさんに公開することにしました。


私の出ている番組は、東京 FM なので、ラジオとしては関東圏の方しか聞けません。ただし、放映後何日かは、こちらのサイトで(たぶん全国どこからでも)聞くことができます。(ただし PC からのみかな)
→ 東京 FM Time Line 番組サイト

※ 6月 24日 追記)番組の保存期間が過ぎたため、既に下記の方法で当該放送分をお聞きになることはできません。ご了承ください。

そのページの右上にある、下記の部分で、

・下の白い○の中にある日付の矢印を、上部の赤枠の中に“6月 17日”と表示されるまでクリックして動かし、
・再び、下の白丸の中、矢印の先にある 1 をクリック

すれば先日の放送のうち、音楽や交通情報などを除いた番組全体がお聞きになれます。


さっきそれを聞きながら、「自分による、自分のための、自分に向けた突っ込みメモ」を作りました(下記)
みなさんもコレを見ながら聞いて頂ければ、めっちゃくちゃ笑っていただけると思います。

・「はい」「はい」言い過ぎ。なにこれ・・・
・相づち打ったことないのか、あたし。
・語尾が「発言」っぽいんだよね。コメントしてる感じじゃなくて。「○○でーす。○○と思いまーす。終わり」みたいな
・ちょっと早口? (電話インタビューの時の)
・「なるほど」ばっかり。相づち系の語彙が少なすぎです。
・質問が途切れがち(独立しすぎ)じゃない? 相手の発言にたいして、更に聴くっていう感じになってない。(後半はちょっとそういうの出てきた タブレットの話のあたり)
・うーんみたいな、ぼんやりした声、変です。相づちになってません。
・笑うのとかはいいかも。
・すごいぼーっとした人みたいに見える(聞こえる)よね。まあ、それはいいのかな。そのほうが?
・後半のゲストとの会話のところは、自然な感じでいい感じ。
・相変わらず「はい」多い。ひどいなー
・「うん」ってどーなの?
・「はい」と「なるほど」しか言えない私です。
・あと「うーん」も変。
・「はい」って何回言ってるんだろ。40回くらい? 60回くらいかな。
・多すぎ!!! 静かに聞け! (あたし)
・低い声なのに、時々キンキンするよね。これはやめたい。
・でも最後のほうが最初のほうよりいい感じ。


そしてぜひ、どうやったら、
・よりわかりやすく、
・より親しみやすく、
・より心地よく聞ける話し方になりそうか、
アドバイスをいただけるとありがたいです。


あと、「はい」「なるほど」「うーん」以外で、もうちょっとマトモに聞こえる相づちの候補も!


★★★


このエントリ、書こうかどうか、ずっと迷っていました。

なぜなら私にとっては「あたしだって失敗しながら学んでるでごじゃるのよ!」ってアピールできるいい機会なんだけど・・・

番組スタッフの方にとっては「うぎゃあ。そんなことをアピールされても・・・」って感じだろうなと思ったからです。


でも。さっき自分がでた回の録音を聞きながらメモをとってたら、「やっぱ公開すべきでしょ」って思いました。


世の中には、成功してる人をみて、「あの人は自分なんかとは違う。なんでも上手くできるんだ」と思い込んでる人がたくさんいます。

でも、実際にはそんな人誰もいない。どんだけ成功してる経営者だって、芸術家だって、アスリートだって、みんなたくさんの失敗をして、今の場所にたどり着いてる。

ましてや私も含めごく普通の人が、失敗せずにできるようになることなんてありません。


でもそれは「成功した後」だけみると、なかなかわからないんです。見えないんだよね。

だから、「失敗してる最中にそれを見せる」ってのは、きっと意味がある。

と思ったんです。


マーケット感覚を身につけよう 』にも書きましたよね。


どうぞみなさん、私の拙い“しゃべり”を大笑いしながらお楽しみください。
そして、なにかアドバイスがあれば教えてください。


今日のエントリのタイトルは、録音放送を聞いていただいた方には、心から納得して頂けるタイトルになっていると思います。


そんじゃーね!


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