進歩?

世の中は進歩しているのでしょうか?最近、ひどい花粉症に参っているちきりんは、つくづくそー思います。

もちろん昔のように戦争の中で空襲警報にびくびくして食べるものもなくて・・・という時代よりは私たちはとても幸せな世の中に生活しています。

でも、じゃあ、戦争が終わった後の時代の60年くらいでみて、本当に世の中は進歩しているのでしょうか??


結核は治るようになったけど、同じ比率以上でガンになったり脳溢血・心筋梗塞になっているんじゃない?
交通事故で死んでしまう人だって急増しているはず。

長生きできるようにはなったけど、最期の世話をしてくれる家族がいない中で100歳までも“生きなければならなくなった”私たちの世界は、本当に60年前より幸せ?

いや、なんでこんなこと思っているかというと、そもそも昔は花粉症の人なんていなかったわけですよね。

杉の大量植林という無知なる自然へのばかげた挑戦が、人口の2割が春を楽しめないというような状況を作りだしてしまった。

ちきりんは30歳を超えてからの花粉症ですが、今なんて子供までかかっているのよ。この国はもうすぐ、春がいい季節だっていうイメージが持てない人ばかりになってしまう可能性もあるのです。

それは世の中の進歩かい?

春はマスクをつけ空気清浄機のスイッチをオン! 梅雨時は除湿器を付け、夏はエアコンをガンガンつけて足下が寒いから遠赤靴下はく。冬はエアコンかヒーターにあわせて加湿器もつけないと空気は乾燥しちゃうし。

なんでこんなに電化製品が必要になるのかというと、家が木造じゃなくなっちゃって、コンクリ密閉ボックスになったからではないの?

自宅に二部屋しかなくて家族全員がそこに住んでいた時代に、引きこもりなんてあっただろうか?オレオレ詐欺なんて存在しえません。電話とると、家族全員がそれを聞いているんだから。

コンビニができて本当に便利になったのか?新幹線や飛行機で本当に便利になった?単に夜遅くまで寝なくなっただけ、仕事の移動距離が伸びただけでは?

誰でも大学にいけることがそんなに大事なことか?べんきょーきらいな人まで勉強しなくちゃいけなくなった(しかも、10歳の時から塾に通って・・・)だけなのでは?

昨日スーパーでお刺身買ったら、どれもこれもまずくて悲しくなった。まったく歯ごたえがないのよね。おいしいお刺身は日本海側の温泉町とかいかないと食べられない。

旅行代金合わせると、すごい高いお金だして、しかも、お休みのとれない人、田舎まで移動できない人は、都会の超高級料亭にでもいかないとおいしいお魚は食べられない。

これって進歩してないでしょ。

昔は、おいしいお刺身は高くて庶民の手に届かなかった。でも、おいしいものが食べられないという意味では今も全くかわっていない。単に「昔は、まずい刺身を近くのスーパーで買うことができなかった」というだけ。

ホントに不思議に思う。

人間は科学を武器に、まるで生活をどんどん進歩・向上させているつもりで、結局のところ、世の中は全く進歩していないのではないかと。不便になりつつあるとは言わないが、プラスマイナスゼロのところで結局ぐるぐる回っている気がするだよ。

農薬付きの野菜とコンビニポリ容器で暖められた弁当を食べて育つ世代が、今の高年齢者と同じくらい長生きできるとも、ちきりんは思っていません。

世の中は本当に前にむかっているのか? 科学をやっている人は本当にもう一度考えてほしいだよ。進歩とはなんなのか。何を実現することなのか。



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