職業選択の自由

憲法に書いてあるんだよね。第二十二条です。何人も公共の福祉に反しない限り、居住、移転、および職業選択の自由を有する。

憲法に書くほど重要なことなのか?と現代に生まれたら思いますよね。

でも、「武士になる!」とか言って誰でも武士になれたら社会がもたない時代があった。

「あんたの職業は親の職業と一緒です。それ以外はだめ!」ということですね。

だから、わざわざ「今は自由よ!」と憲法に書いてあるわけです。憲法に書くべきと思われるくらい贅沢な権利である、ということ。

でね、その自由のある現代において、みんなどうやって職業選んでいるんでしょう。

★★★

今でも事実上世襲という職業はあるよね。伝統芸能に関わるものなどに多い。あと、相撲の行司とか女では不可、というものも多い。

宮大工とかは、弟子入りすればなれそうだ。

でも、○○職人とかで、中学でたらすぐに働き始めないと一人前になれないような職業は、事実上の世襲よね。

だって、サラリーマンの子どもに生まれたら、そんなに早い段階で、そもそも職業を決めようなんて思わないでしょ。大学にはいってから、俺は○○職人になりたい!と思っても、間に合わなかったりしそうだ。


そもそも世襲じゃないはずなのに、お金の理由で世襲になりつつある職業もある。

代表例が歯医者と政治家。親が歯医者やってると、とりあえず子どもは歯医者にならないと・・・私立の歯科系大学、学部なんて、半分近い学生が推薦入学です、という大学もたくさんある。

政治家もそうよね。地盤看板○バン(なんだっけ?)を引き継がないとなかなか難しい。小渕元首相が死んだら、ごくごく当然のように娘が立候補する。なんで?って感じだわ。小泉さんもだが、今の政界多すぎ。

公務員の子どもが公務員、ってのも多いよね。

あれは親が勧めるんだと思う。親が水槽でしか泳いだことないのに、息子に「海で生きろ!」ってなかなか言えないよね。海で生まれた子供は、ごく当然のように海で生きると思うけどさ。

へんでしょ?って思うのは、株式公開している会社の跡継ぎが社長の息子ってやつね。

まあ、創業者からかぞえて1,2代はわかるけど、その後は変でしょ。電力会社とかでそんなことが起こりえるなんて信じられないわ。

でかい会社の経営者の子どもなんかもチョイスないですよね。基本的には継がなくちゃいけない。娘しかいなくて女じゃ無理、だと、「次期経営者含みで婿入り」とか、今も多そうだ。

★★★

というわけですが、でも数としては、今は「完全フリーハンドの職業選択の自由がある」という人の方が多いはずですよね。

そういう人って、どうやって職業を選ぶのか。ちきりんも完全フリーハンドでした。何やってもOK。で、どうやって職業選んだのか???

正直言って、意思より環境要因が大きいと思う。だって、職業を選ぶタイミングで、「知っている職業より、知らない職業の方が圧倒的に多い」って状態でしょ。

子どもに「将来何になりたい?」と聞くアンケートがあるけど、野球選手とかパイロット、お花屋さんにパン屋さんにお嫁さん。だって子どもは、「資産運用のプロ、ファンドマネージャーになりたい」なんて思えないよ。

知らないんだもん。いくら「サラリーマンとして納税額初めて日本一!」とか言われても、子どもはそんな職業しりません。

だから憧れられない。目指せない。家族とか、住んでる地域とか、通った学校とかで、よくある職業に縛られて職業選択する、ってのが一番一般的なわけです。


★★★

ちきりんなんかは、もっと選択肢なかったです。

だって、ちきりんの就職する時期、下宿してる大学生、んで女性、っての雇ってくれる会社自体すくないんだもん。

今思えば、それでも中小企業とかこまめに研究したら雇ってくれるところあったと思う。実は外資系も女性を採用していたらしい。

でも、そもそも知らなかったもんな〜。インターネットもないし。電話帳で企業研究しろっていうんかい?

バイト先は飲み屋ですが、(しかも、2軒ほど誘われたけど)夢多き大学生のちきりんには、大学でて飲み屋かい?って感じだった。親に申し訳ないよって思った。

条件は・・・女性と男性に差を付けないこと・・・女だけ制服着ろとか、転勤なし、とかになってないこと・・・だけでした。

で、“ちきりんの知っている会社の中では”二つしか見つからなくて(何度もいいますが、二つしかなかったわけではないと理解してます。

ちきりんが知っている会社数が少なすぎってことです。)で、その二つ受けて、ひとつ内定、ひとつ不合格。はい、決まり!


★★★

いやまあ、満足してますけどね。・・小難しいこと言っても、結局人生はそんなに複雑じゃない、ってことだと思う。

偶然とその場の状況によって、なんとなく進む道って決まってしまう。まあそれでいいんじゃないの?と思う。

全部の職業を網羅的に書いた本を高校生の時に渡されて、これ読んで決めろとか言われたら、それこそ選べない。だってそこに「醤油職人」とか書いてあっても困るよ。なりたいか?わかんないよ、って感じ。

まっ偶然と環境要因に身を任せ、ふらふら生きていたら、たまにはコレ!というものに巡り会う人もいる、時もある、し、一生巡り会えない場合もある・・・ってこと。

そのうち、ホントにやりたいことが見つかる、っていう人もいるでしょう。ちきりん的には、今の職業もまあなんとなくたどり着いた感じ。

そこそこおもしろい。天職だとは思わない。その中間のどこか・・・でも、だんだん、職業が何かなんて、たいした問題じゃないんだな〜とか思い始める。

で、天職探すために、すんごい努力して悩みまくるより、まあ、楽しく毎日過ごした方が人生有意義に使えるし、みたいに思い始める。


「なんで働いているのか?」と聞かれれば、食べるためです。大半の人はそういうことです。


また明日