おいしい人生

「高いものとおいしいものは違う」・・・こういうシンプルなことに気が付くのに、思いの外時間かかったりします。

もし「おいしい→需要が大きい→高い」という仕組みで食べ物の値段が決まるなら、値段と味は相関します。でも、自然物である食べ物の価格は、需要側ではなく供給側で決まります。

食べ物の供給量や供給側のコストは、自然環境や栽培技術、捕獲技術などで決まりますが、そんなもん味には全く関係ありません。だから味と価格が相関しないんです。


アワビとか、誰かが奢ってくれる時は食べてみようかなと思うものの、そんなに美味しいもんでもない気がします。ちきりんは松茸についても、おいしいのは「土瓶蒸しのおつゆ」だけとも思ってます。きのこなら椎茸の方が美味しいし、エリンギの揚げ物やバター炒めも超美味しいですよね。

★★★

さて、ちきりんの好きな食事はずばり、「白いご飯!」です。

これが基本です。だから、ご飯をおいしくさせるおかずが“おいしいおかずの条件”です。

一番ご飯に合うのは、生たらこじゃないかと思う。デパ地下などで産地直送で売ってる生たらこの中に、驚くほどおいしいのがあります。ただしかなり高いですが。

同じカテゴリーで「とろろ」も大好きです。カリフォルニアに住んでいた時、アジア系スーパーに売ってたんだけど、高くてもったいないのでなめるようにして食べました。戦時中ってこんな感じかなーとか思いつつ。なぜか麦飯とか雑穀いれた方が合うよね、とろろ。

豚汁も大好き。豚汁は、あんまりいい部位の肉を使わないでしょ。それなのにおいしい。お好み焼きもそうですが、バラ肉の方がおいしい料理があります。値段とおいしさはホント関係ないね。


京都のおばんざい系はあんまり好きなのがないんだけど、ごま豆腐とかハモの良いのはおいしいです。昔、韓国人のお客さんを京都で接待したんだけど、「日本の食事って味がないね」と言われて、泣きたかった。返せよ、ハモ! 食うなよ!!

牡蠣もすきだけど、日本で生牡蠣食べるとよくあたります。一番好きなのは、カラ付き生牡蠣にレモン。ちょっとあぶったのも美味しいですね。でも牡蠣フライも鍋も好きです。グラタンも美味しいし。どうやって食べても美味しい不思議な食材ですね。

鍋系は何でも好きです。豚肉とほうれん草の常夜鍋は涙がでそうになるほどおいしい。水炊きや豆乳鍋も好き。

★★★

お肉は、肉の質もですが焼き方が大事です。ちきりんは焼き肉をテフロン加工のフライパンで作る人の気が知れない。ホットプレートとかいう調理器具に関しては、もうほとんど「憎んでいる」というレベルです。

誰かの家で焼き肉パーティとかいうと、よくでてくるのだよ、ホットプレート。がっかりしますね。片づけが楽になるという理由で「まずくてもいいや」と思うなんて、食べることに対する冒涜だと思う。焦げない鍋では美味しい料理は作れない、と知るべきです。

ちきりんの小さい頃はホットプレートなんてなかったから、かろうじて味が違うことを知ってるけど、今からの若い人は、あの味しか知らなくなるんじゃないかと、人ごとながら心配になります。(←大丈夫、焼き肉屋があるかあ・・)

ちなみにインスタントの餃子も、鉄の鍋で焼くと別物の味がします。是非お試しを!

あと、炭火焼きもほとんど魔法ですね。その辺で買ってきたブロイラーのチキンでさえ、炭火で焼くとまじおいしい。遠赤外線って何者?とか思うくらい違います。塩こしょうとレモンだけで、豚肉もすごく美味しくなる。イカとか魚貝も最高!ですー。


土鍋で作る鯛飯もおいしいですね。簡単ですよ。ご飯入れて、昆布入れて鯛を上にのせて20分。蒸らし時間に三つ葉を鍋に放り込んで終わり。だし汁で焚きましょう。美味しくていつも食べ過ぎちゃいます。

お刺身も好きなんだけど、スーパーのお刺身は「禁止令」を出したくなるくらいまずいものが多いですね。あんなもん食ってると、子供が刺身を美味しいと思わなくなるぞ。教育上よろしくないです。

一年に一度くらいは日本海側(北陸、新潟あたりがベスト)の温泉に行って、お刺身を食べたいもんです。歯ごたえもあるし、味わいも深い。刺身ってこういうもんなんだ、と思います。

★★★

パン系では、ベーグルが好きです。クリームチーズ&ベーグルっていう組み合わせは黄金のマッチング。アメリカの食べ物で一番おいしいのは、生牡蠣とベーグルだと思います。

最近、日本でもベーグルのお店はあるんですが、なんか違うんだよね。日本で売っているベーグルはやたらとやわらかい。NYの街角のベーグル、あれを日本でうってほしいな。

母が作る“林檎とハムのサンドイッチ”もめちゃくちゃおいしい。これは我が家のスペシャルなんで、他の人は余り知らない。ホットサンドにすると、より美味。パンを軽く焼いて、マヨネーズつけて、酢漬けにした林檎のスライスと、質のいいハムを挟むだけです。パンはできるだけ薄切りを。ハムは厚めのスライス。

お菓子系では、スコーンにクロテッドクリームにジャム。イギリスで唯一おいしい食べ物はスコーンです。あと、朝ご飯(イングリッシュ・ブレックファースト)は割とマシ。他には美味しいものはありません。


ベトナム生春巻きもおいしいよね。あれは、ニュクマヌがおいしいのよね。ちなみにベトナム料理が一番美味しいのはパリです。サイゴン(ホーチミン)より美味しいよ。ベトナムの宗主国はフランスで、たくさんいい料理人がいるからです。

最近は東京でもおいしいベトナム料理の店が増えてます。ただ、デパ地下で売ってる生春巻きは美味しくない。パクチー(香菜)をケチるから、っていうのと、ニュクマムが偽モンだからです。あと冷房ガンガン効かすのもよくない。アジア料理は、むああっとした空気の中で、汗でべとべとになりながら食べるのがよく合うと思う。


池波正太郎さんとか開高健さんとか、ちきりんの好きな作家は、グルメ本を書いている人が多い。食べるって、人間の基本的な欲望のひとつだからね。ちきりんは人間としての欲望にストレートな人が好きだ。

頭で生きてはいけない。頭で生きるとおもしろくなくなるよ。体に悪いものはいっさい食べず、紫外線にあたらないようビーチにもいかず・・・あーつまらなそうな人生!みなさん、心の赴くままに生きましょう!


ちきりんの父が言った。
「100年もの間、うまいもんが食えない、という人生と、好きなモンが50年食べ続けられるという人生と、どっちがいいんだ?」

50年も、好きなものだけを食べ続けられたら本当に幸せだ。チキリン父エライ!健康にいいものなんて食ってる場合ではありません。人生は短い。おいしいものを食べましょう。

人生楽しく、人生美味しく!

ではまた明日〜


最後の晩餐 (光文社文庫)

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食卓の情景 (新潮文庫)

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