国勢調査すごすぎ

みなさん国勢調査、書きました? 5年ごとだからちきりんも既に○回は書いているはずだけど、あまり記憶にないですね。

これすごいんですよね。全数調査なのに 5年前の回答率が 98%以上なんですよ。東京都でさえ 95%を超えてる、ちょっと信じられなくらいすごい回答率ですよね・・


ただちきりんは、この回答率は今年は大幅に下がると思ってます。大きなニュースになるくらい下がるんじゃないかな。

政府は今年から、全自治体で「封筒」を用意しました。そうなんです、今までは封筒にはいらずに調査票だけが配られてたんです。封筒に入れ始めたのは個人情報保護に配慮する必要がでてきたためですね。

まあ確かに家の広さとか所有形態、勤め先まで書くわけで、んなもん調査員=近所のおばちゃん、もしくは、アルバイトのおにーちゃんに知られたくないよね。でも、5年前まではそんな状態でありながら、98%の回答率。ふむー。


★★★


なーんで今年は相当、回答率が下がるはず!という気がするのか。今年は国勢調査員が調査票を持ってきた時に「めんどー、こんなの個別宅配でやってんの〜、回答しない人たくさんいるだろーなー」と感じました。今年初めて、そう感じたんです。

なぜちきりんは、今年初めて「違和感」を感じたんでしょう。「こんな制度もうもたないでしょう?」と、なぜ今年初めて感じたのか。


考えられる理由はいくつかあります。

(1)個人情報に関する意識が高まった。
(2)今年は土日もかなり忙しい。(基本的に土日に回ってきます、東京のマンションだと。)


上のどっちもある。どっちもあるけど・・・お風呂で考えていたら、一番大きい理由は他にあると思い始めた。それは、

(3)鉛筆で記入せよ、みたいな自動読み取りシートへの回答に、すごい違和感を覚えるほど、ネット入力に慣れてしまった。
というのが、一番大きな理由ではないかと思い始めました。


前回、2000年にもネットは存在していたし、すでにウエブもメールも使っていたけど、ここまでネットは普及していなかった。特にネットに個人情報を記入することは余りなかったんです。

ところが今は、ネットショッピング、何らかの申請、会員登録云々で、個人情報をネットに入力するのもとても日常的なことになりました。

そして反対に「用紙が郵便で届く」「誰かが配りに来る」ということがすごく少なくなった。だから「紙が配られてきて」「鉛筆で塗りつぶして記入して」「封筒に入れて提出」とかいわれると「何??」という違和感が強く残るようになったんです。

5年前は思わなかったのに、今年は「これはなに?」という気がする。それを今年初めて感じた、というわけです。


★★★


電話も同じ。最近は、家の固定電話が鳴っても「でない」という人がたくさんいる。ちきりんもそうです。でる必要がある電話は、携帯にかかってくる。

家の電話にかかってくるのは、オレオレ詐欺とリフォーム屋さん、会社でさえ固定電話に外線でかけてくるのは投資マンションの営業やヘッドハンターばっかりです。だから出る気、出る必要性がなくなった。

訪問してくる人も同じ。今やマンションに訪ねてくる知らない人なんて、大半が「対応する必要のない人」ばっかりでしょ。新聞の勧誘、NHKの徴収、リフォームのセールス・・・そこに5年に一度だけ「国勢調査調査員」がやってくる。


5年前には気にならなかったけど今年はすごく違和感があります。「こういう大事なもの、公的なものが、こういう方法でやってくるんだ!」という驚きの気持ちが出るほどに。

なぜならこの 5年間で、固定電話や個別居宅の訪問という「個人へのアクセスパス」の性格が全く変わってしまったからです。

今や、そういうアクセスルートを使うのは大半が“押し売り”か“うさんくさい人”だという認識になってしまっている。だから、今年はすごく違和感があった。「ピンポーン、国勢調査です。」って言われて・・・


★★★


もちろん、誰もがネットをやっているわけではない。キーボードを使えるわけではない。だから紙でやるべきなのかもしれない。だけど・・・すでにこういうやり方にすごい違和感を感じる人の数も相当数に上っているはず。


というわけで、今年はかなり国勢調査の回答率は下がるんじゃないかなと。そして政府は、調査のやり方を根本的に変える必要に迫られるだろうと。

だってこんなやり方だと、回答しない人のプロファイルがとても似てくると思うのです。都会の若者、ひとりぐらしか共働き。昼間いない。土日もいない。もしくは、土日は誰が来ても居留守を使う。そういう人たちはたくさんいる。そして、こういう人たちが集中的に回答しない。それは、国勢調査の結果への信頼性を大きく損なう。


★★★


それにしてもね、ほぼ「全数調査」ができるってのに、「くだらないことしか訊かないのね」とも思いました。

全数調査なんてホントに貴重なんだから、もっといろいろ訊いちゃえばいいじゃん! 国民全体(少なくとも世帯主全員)の意向が直接確認できて、選挙投票率の倍の回答率があるっていうのになんだかもったいない。これだけでいいのか、訊くことは??

居住用の面積について聞き始めたのが何年前かしらんが・・・んなもん今一番大事だとは思えない。住居が「持ち家か」「賃貸か」ということが、今でも「国勢」すなわち「国の勢い」を示すのかな? こういう質問は、「持ち家比率」が国の勢いに関わる時代に作られた質問だと思える。

どっちかと言えば「ネットにつながっていますか?」くらいのことを訊いた方が役にたつ気がする。そっちの方が余程「国勢」を表す気がする。

六本木ヒルズに住んでる人たちの大半は賃貸住宅に住んでいるわけだけど、彼らが「勢いのない人」とは言えないでしょう。(ちなみに、ヒルズみたいなマンションも国勢調査員は苦労していそう・・)


★★★


5年後の国勢調査が、ネットで行われる(少なくとも「ネットでの回答を選択できる」)可能性はどれくらいでしょうね?

個人特定、識別が必要ですが。うーん、ちきりん的には「8割!」と言いたい。

つーか、5年後にまた「ピンポーン、国勢調査ですっ!」ってやってきたら・・・本当暗いよ。この国は・・・


ではまた明日!


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