経団連会長

経団連の次期会長が内定したようですね。トヨタ自動車の奥田さんから、キヤノンの御手洗さんに・・。


ちなみに、経団連歴代会長は下記です。

1948年3月16日〜1956年2月21日  初代会長 石川 一郎(日産化学工業社長)
1956年2月21日〜1968年5月24日  第2代 石坂 泰三(東京芝浦電気社長)
1968年5月24日〜1974年5月24日  第3代 植村 甲午郎(経団連事務局)
1974年5月24日〜1980年5月23日  第4代 土光 敏夫(東京芝浦電気会長)
1980年5月23日〜1986年5月28日  第5代 稲山 嘉寛(新日本製鐵会長)
1986年5月28日〜1990年12月21日  第6代 斎藤 英四郎(新日本製鐵会長)
1990年12月21日〜1994年5月27日  第7代 平岩 外四(東京電力会長)
1994年5月27日〜1998年5月26日  第8代 豊田 章一郎(トヨタ自動車会長)
1998年5月26日〜2002年5月28日  第9代 今井 敬(新日本製鐵社長)
2002年5月28日〜2005年現在   第10代 奥田 碩(トヨタ自動車会長)

んで、次期が、第11代 御手洗 冨士夫(キヤノン)の予定となるようです。


どうですかね。会社としては、日産化学、東芝、新日鐵、東京電力、トヨタ自動車だけです。そーだったのか。この5社だけだったのね!!この流れ、とてもおもしろいですよね。まずは、化学産業、そして、重電と鉄、電力。ここまでが「重厚長大の時代」ですね。そして自動車となり、いよいよ「精密」、つーか元カメラ会社の登場です。

うーん、思うのは「経団連もすこーしずつ時代に伴って変化しているが・・・・そのスピードは、すげえ遅い」ということでしょうか。これでは、楽天 三木谷・・・とかが登場するのは、ちきりんの寿命では間に合いそうにないかも、ですね。

★★★

経団連の会長会社ってのは、産業全体に睨みがきかなくちゃいけない。だから重厚長大が多かったんだと思いますが、今のトヨタ自動車もそうですね。奥田さんが打ち出した就職協定とかって、どの企業も尊重せざるを得ないんですよね。だって、新日鐵も東電も、家電メーカーも機械メーカーも・・・トヨタにたてつけないもの。その点、キヤノンはちょっと苦しいかもしれません。鉄もそんなに使わなさそうだしね。そういう意味では、会長だすのは「インフラ系」の会社が向いているんだよね。なら、そのうちIT系の会社が入れるかもしれないとは思わせますよね。


HPを見てみたら、「日本経団連の使命は、「民主導・民自律型の経済社会」の実現に向け、企業の付加価値創造力の向上、その活動を支える個人や地域の活力の向上を促し、わが国経済ならびに世界経済の発展を促進することにあります。」と書いてあります。だから公的部門のトップは選ばれない。例えば電電公社総裁とか国鉄総裁とかね。実際には、公社の時代から経済界のドンだった気はするけどね、こういうポジションの会社。


ちなみにこの「民主導」ってのをもう少しわかりやすく言うと、経団連の存在意義は、
(1)自民党政権の維持・・・共産主義・社会主義になるのを防ぐってことね。
(2)労組との戦いの勝利・・・労組=共産主義での支配層だからね。
ってことですね。大変わかりやすくてよろしい。


あと「民主導」に続けてご丁寧に「民自律的」という言葉まで入れてあります。これはどういうことか。
1)民主導=資本主義であって、共産主義・社会主義ではない。
2)民自律的=規制や官僚支配のない世界。  ってことでしょ。


つまり、経団連の敵は3つです。
・共産党と社会党
・労組
・霞ヶ関

この3つと戦うために、経営者が団結したのが経団連。まあいうと、経営者の「労組」みたいなもんですな。

★★★

あと金融も入りませんね。一時期は銀行もすごい力を持っていたと思うけど、やっぱり「経済」ってのは、「金融を除く」っていう概念なんだろうか。それとも公的部門と同様「別枠」っていう考え方なのかな。なんたって雇用の大きさが違いますからね。今でこそメーカーも工場持ってないけど、昔は、工場のあるメーカーってのは桁違いに働いている人が多い。経団連が戦わねばならなかった労組がでかい。だから基本的にはメーカー系の団体なわけですね。(東電も工場はないけど、山ほど発電所があるし。)


任期は昔は長いけど、最近は短くなってますね。時代のスピードを反映してるんだと思います。


日産化学だけは「なんだっけ?この会社?」と思うけど、当時はすごかったんですかね?いわゆる日産コンツェルンの会社かしら?今もありますよ。かなりでかい会社です。

ちなみに日産化学が初代会長をだしながら今や「それどこ?」って感じになっているように、もう今後、経団連会長職を東電や新日鐵が出すってことは無くなるんじゃないかな。「それどこ?」には成らないかもしれないが、「あっそう」っていう会社になる可能性はあるよね。時代の流れってすごいパワフルだ。


みんな年寄りですな。御手洗さんも(そうは見えないが)70才なんだって・・・すごいよね。「英雄色を好む」という言葉があるでしょう。これは、「英雄になるのは、人並みはずれた体力・気力が必要」ってことだと思うんだよね。70才でこんなバカ忙しそうな仕事に就くなんて、まじ「卓越した体力・気力」がないと無理だと思う。


あとね、会社がある程度大組織になってないと無理だよね。だって、その人が会社経営を離れて経団連活動に専念しても大丈夫、と言えるような人材の厚みがなくちゃいけない。御手洗さんが会長活動に専念したときに、キヤノンの経営をきちんと回せる人が会社側に残ってないなんて状態では困りますからね。

★★★

奥田さんが次期会長を出す会社としてこだわったのは「国際的な会社・人」って条件なんだって。これは、
「東京電力には戻しませんよ。」
「花王とか、たとえ24期連続増益会社でも、だめよ」
「金融ももちろんだめよ」
ってことね。「日本でだけエバってる会社はだめよ」ということ。


これはどういうことかと言うとさ、経団連の役目は今までは上に書いた3つと戦うことだったけど、今後はちょこっと相手が変わってきたださ、ってことだと思う。
・共産党・社会党→既に戦う必要がなくなった。
・労組→これも、そろそろ戦いが終わりつつある。
・霞ヶ関→これは、今最大の相手。小泉さんと一緒に戦う!
・米国→新たな対戦相手として登場。
ということですね。なるほど。


そのうちテロが日本で頻発するようになると「イスラム圏や中東でビジネスを展開している会社や経験のある人」とか言うのが、次期会長の条件になるかもしれない、つーことですね。

★★★

トヨタ自動車とキヤノンはホントにいい会社だよね。おもしろいのは、
・国際的に活動し、
・継続的に利益を上げている、ということ以外に、
・日本的な経営をする、というのが共通しているということ。

これも上に書いた経団連の新たなミッションを支えているように思うのさ。株主よりも雇用を重視すべき、という信念。これはね、米国が提示する価値観への挑戦ということなわけですよ。米国が「新たな対戦相手」としてでてきた。それはどういうことかというと、「あんたらの支持する過激な資本主義、金融支配主義的な考え方を、わたしらは支持しませんで」ということ。だから、株主価値を上げるためにバンバン首切りをするような会社は「経団連としてはえらびまへん」ということ。

なんか、よーく考えると、すべてがきちんとリンクされていて、とてもおもしろい。

★★★

ある意味では、トヨタ自動車やキヤノンというのは、今「米国的なるもの」に、キチンとした裏付け(儲かっている。世界でも儲かっている)をもって対抗できる、唯一の主体なのかもしれないということ。だって、国レベルでは全く対抗できてない。いいなりでしょ。後あり得るのはドイツの会社くらいかな。彼らもつらそうね。「欧州的なるもの」について、ちきりんは知識が足りないのでよくわからないのだが。




つまり、現時点において「自分たちのやり方で米国に対抗できている」のは・・・
経団連会長会社とアルカイダ。この二つだけ、ってことです。


なるほどね〜(なにが「なるほど」やねん・・)



ではまた明日