夢が見たいよ!

最近の映画とかドラマって、「過去を懐かしむ系」のものが目につく。

直感的に「あんまりよくない感じ」がするよね。未来が明るければ、人は過去なんて振り返らない。昭和30年代に、そのまた過去について懐かしく振り返るなんていうドラマは流行らなかっただろう。

漫画は未来型ロボットや夢の21世紀を描き、山口百恵ドラマでは「パリのおばさま」が登場して、庶民がまだ見ぬ豊かで華やかな暮らしを提示していた。

最近、そういう「明るい未来」を描いたドラマとか見たことないよ。なんで私たちは未来に夢が見えなくなってしまっているんだろうね。

インターネットによって様々なことがこれだけ便利になり、新たな億万長者が若者の中から続々と生まれているのに、なーんで、私たちは「まばゆいほど明るい未来像」というのを持てないのだろう。


理由のひとつは政治が示すビジョンの欠如だと思う。戦後ずっと政治は「日本の進むべき道」「これから国民が手に入れられる生活」というのを、提示してきた。「所得倍増」であり「列島改造」でありという言葉は、超高速の乗り物で日本はもちろん世界を飛び回り、豊かな購買力を背景に、ほしいモノが総て手に入る生活を私たちに夢見させてくれたと思う。

振り返って今の政治が提示する姿は、高齢化とか財政破綻とか、なんとも暗い。エコとか環境というキーワードでさえ、毎年めんどーになるゴミの分別とか有料化とか、使わない家電の電源を切りましょう的な「地味でせちがらい」生活しか思い浮かばせない。

ボランティアだ国際貢献だというけれど、テロと感染症のはこびる地域で活動する若者は誘拐されたり殺されたりするし、テレビが特集するのは、働くエネルギーを失ってしまった若者たちと働く気はあるけれど仕事のない若者達の二種類・・。

やっぱさすがにそろそろ、何らかの「明るいビジョン」をリーダーが示してくれないとあかんのでは??と思う。

実際にはまだまだ「痛みを伴う改革」はこれからが本番だ。次の10年くらいは少なくとも「痛みの10年」になるのである。それはわかってる。わかっているからこそ、その後にどんな夢がやってくるのか見させてほしい、と思う。それがないとやっていけないよ、と思う。腐ってしまう、と思う。暗すぎるでしょ。


★★★

じゃあ、どんな「夢」が選択肢としてあり得るのか。ちょっと考えてみたい。


(1)“ヒルズ経済”世界席巻モデル

ライブドアや楽天、そして次々に現れた新企業が、マイクロソフトやインテルなどのような世界の優良企業になっている。トヨタ、キャノン、シャープなどに加え、新規優良企業も併せ、世界の国々に日本企業の商品、広告、現地社員が溢れ、これらの企業が生み出す雇用によって日本は長期の好景気を迎えている。彼らの納める法人税によって年金や福祉も破綻せずに持続する。日本人には子供が少ないが、これらの企業へ憧れる留学生が続々と来日し、若者が溢れる街が再来する。この流れについて行けない人も、彼らの納める税金によって、豊かな老後と社会保障を約束される。


(2)ユニークジャパンモデル

日本は世界まれに見る“現代文化発祥地”となっている。オタク文化が世界に認められ、メイド喫茶やパーツフェチや2チャンネル文化は、第二のカラオケ、第二のカップラーメンとして「世界市民権」を得て花開き、毎年開催の「アキバ・フェスティバル」は、アカデミー賞やカンヌ国際映画祭と並ぶ国際的なイベントとなっている。

ポップカルチャーがソフトの、(アニメ)フィギア製造業がハードの、日本の代表的な産業となる。日本人学者がイニシアティブをとる「ヒッキー学会」や「職場鬱学会」は世界の研究活動の中心を担い、「いまや新社会学は常にトーキョーから生まれる」と世界が注目。様々なユニークな研究が日本を中心に行われ、世界に発信する。


(3)“ツーフェース社会”モデル

日本人は二つの生き方のいずれかを選べるようになる。ひとつが「頑張るグループ」、もうひとつは「またーりグループ」。頑張るグループは、起業や外資系で馬車馬のように働き、高報酬とグローバルウイナーを目指した競争社会に生きる。これはシニアも同様。60才から起業、70才まで現役、もしくは、定年後、地域社会のリーダー、NPO法人のリーダーとして第二の黄金期を迎える層が現れる。

一方で、若い人もシニアな人も含む多年層の「まったりグループ」は、最初から最後まで頑張らない。そこそこの人生、そこそこの報酬、そこそこの楽しみを追求。趣味的にエコ、趣味的に大学院留学、趣味的にボランティアしながら、「オレ様の人生」を生きていく。これらの生き方は、今のニートなどとは違い、社会問題として捉えられるのではなく、「まったりコースを選ぶ権利」として、すべての国民に保証される。

日本は世界で初の、二つの生き方を選択できる国として世界に認知される。


(4)文化国家ジャパーンモデル

日本経済は、少子高齢化と財政破綻により優良企業の海外流出を招き、停滞状態が常態といえる状態となった。一方で、企業戦士文化、競争社会も終焉を迎え、子供は「勉強よりも、好きなことをして生きればよい」という思想の中で育てられる。

そのため、ピアニスト、小説家、画家から、様々なスポーツ選手、哲学、思想家など、多くの文化・芸術分野で才能を開花させる子供が誕生。芸術祭が数多く開催される日本は、観光立国となり、そのためのサービス業は、様々な国から芸術家を目指して集まる将来の芸術家達がアルバイトで担われるようになる。



(5)・・・力尽きました・・・他にもあるかな。



というわけで、なんでもいいし、現実味が少々低くてもいいので、ちょっとは「グレーよりはバラ色に近い未来」を語ってほしい。公的金融の整理と、年金の一元化と、地方分権の向こうに何があるのか、教えてくれないとがんばれないよ〜ポスト小泉のリーダーの方、よろしくお願いします〜

また明日!