市場創造

私自身は、すでに(ごく少数の例外を除き)年賀状は出していません。

理由は「国家独占企業体によって作られた市場だから」というのが大きいです。国家詐欺とまではいいませんが、これも一種の税金みたいなもんだよね、と思えて、出す気になれません。

この「年賀状ビジネス」ってのは、お歳暮、お中元、バレンタインのチョコなどと並び立つ、巨大なる「作られた市場」です。

こういう「どーでもいいこと」を国民的慣行にまで昇華し、定着させると、毎年巨額のお金が動きます。年賀状制度を定着させた人は、郵便局の最大の功労者でしょう。


現在の年賀状の発行枚数は約 44億枚。単純割りすると、国民一人あたり 40枚となります。ただし実際には、企業が出す営業挨拶用の年賀状が相当数を占めてます。

それにしても官製葉書分だけのカウントで 44億枚 × 50円= 2200億円ですから、大きいですよねえ。民間企業(ヤマト運輸)には決して“郵便事業”を開放したくない。絶対に独占するぞ! と必死になるのもよく分かります。


「新たな慣習」を作って定着させ、大規模なマーケットを創造すると、雇用が生まれ、税金が納められます。GDPってのは、そういう「要らんだろ?」みたいな慣習によって大きくなるわけです。

ただしバブル崩壊以降、このあたりの「実は不要な市場」=年末に企業が配るカレンダーとかも、どんどん小さくはなってます。


そんな中、年賀状ビジネスがここまで人を熱狂させる鍵は、「1月1日の一斉配達」にあると思います。これがなければ、こんなに皆が夢中になることはなかったでしょう。いったい誰が考えついたのかな。

と思って調べてみたら、この制度が始まったのは明治 32年なんだって・・ただし、日中戦争の始まった年から 8年間はストップしてます。

そんな古いとは知らなかったので驚きました。ちなみに、明治 32年以前にも、細々と年賀状の制度はあったらしいです。当時は貴族とか、そういう人の慣習だったらしい。


最近は年賀状もどんどん減ってます。メールですませる人も多くなり、出さない人も増え、社内年賀状を禁止する会社もでてきたからね。それでもまだまだドデカイ市場です。

バレンタインのチョコレート販売額は 500億円ちょいらしいから、年賀状に比べたら全然です。やっぱバレンタインチョコは参加セグメントが限定的で、お年寄りが参加しないからでしょう。

お歳暮・お中元は?と思って調べようとしましたが、データは存在しますが(無料では)見つけられませんでした。


まあとにかく、GDPをのばすにはこういう「なんのためにあるの?」みたいな慣習で、日本中が熱狂するような何かを考え出して定着させればいいんだな〜ってことです。こういうのをまさに、“市場創造”と呼ぶのでしょう。


ではまた明日!