郵便局と市役所

よく言われるのが、
「おばーちゃんは、郵便局には行ったことあるけど、銀行には行ったことない」
「お母さんは、銀行には行ったことあるけど、証券会社には行ったことない」
「娘は証券会社には行くけど、ネットでは取引しない」
「孫娘は、ネットでやりとりしていて、どこの店舗にも行ったことない」


世代によって、使っている金融機関が全然違う。世代交代が進むと、それぞれの機関も栄枯盛衰で入れ替わります。ちきりんも、郵便局はおろか、銀行さえ最近はほとんど行かないです。ネットで全部済むし、そもそもちきりんは「給与振り込み銀行がコンビニ銀行」なんで。


ですが、今日は代理で郵便局にいく用があって、待ち時間があって、そしたら、郵便局のお兄さんが、「待ち時間の間に、ご説明させて頂いていいですか?」と言う。

あっ、営業ですね。どーぞどーぞ。」とちきりん。暇だったしね。

で、簡易保険の営業説明を聞いて参りました。どんな営業するのか、ちょっと関心あったし。結果としては、かなーり、おもしろかったよ。


まずは・・・「300万円最初に預けていただくと、合計348万円が返ってきます。」と。

おおっ!そこから来たか!

って感じです。保険の説明なのに、いきなり「300万円→348万円」ですって変じゃない?でも、確かにキャッチとしては、かなり効果的。

ただし、300万が48万円増えるのに、45年かかることは、もちろん説明しません。45年後ってのは・・30才で入ると75才ね。遠っ。

ちきりんの中の“意地悪ちきりん”が頭の中で、「何年で48万円増えるんですか?って聞けば?」ってささやくけど、最初から話の腰をおりたくないので、とりあえず「へえ〜」って、リアクションしときました。


その後いろいろ説明しつつ、「この商品ひとつで、貯蓄と保険と年金と葬式代の積み立てができるんです。」「ひとつで全部の役割なんです!」って。

なるほど〜。


意地悪ちきりんが心の中でつぶやく。「個別の利回りと予定利率聞いたら?」
よい子のちきりんが(同じく心の中で)答える。「一生懸命やってるんだから、んなこと、もーいいでしょ。どうせ入らないのに。」

意地悪ちきりん「厳しい客に鍛えられてこそ、営業ってのは成長するもんなんだよ!」

よい子のちきりん「どーせ、こんな客はターゲットじゃないのよ、ゆーびん局は!」

結局、実際のちきりんのリアクションは、「そうですか。すごいですね」


その後の会話は、

〒 「ちょっと試算してみましょうか?」
ち 「えっ、いや、忙しいんでいいです。」
〒 「いや、待ち時間の間に終わりますから」
ち 「えっ、どうしよう」
〒 「すぐですよ」
ち 「年の瀬のお忙しい時に、申し訳ないですから」 (←わけわかんなくなってる・・)


〒 「こちらに記入を」 (←かなり強引)
ち 「あの・・・入院保険だけとか、医療保険だけの、ないんですか?」
〒 「いや、うちはそれはないんです。」

ち 「民営化したら、そういうのも始まるのかしら?」 (←攻めに転じるちきりん!!
〒 「先のことはわからないですから・・・」 (←ちょっと暗い表情を見せる)
ち 「大変ですよねえ・・」 (←たたみかける)
〒 「ええ・・」 (←戦意消失)


というわけで、「試算」に持ち込まれずに無事帰ってきたちきりんでありました。


でもまあ、営業としてはなかなかお上手でしたよ。よく「郵便局なんて民営化しても、民間に勝てない」という人がいるけど、ちきりんとしては、そーでもないんでないかな、と思いました。だいたい日本では、お金の8割は60歳以上の人が持っているわけで、そういう人への営業なら、民間より上手なんじゃないかな。

「貯蓄と保険と年金と葬式の準備がこれひとつ!」とか言われると、ちょっとクラッとくるかもよ。

よくわかんないけど。


ただし、営業トークの合間に「これからは年金も当てになりませんからね」と言われたのには、よい子のちきりんでさえ、ちょっとつっこんでしまいました。心の中でね。「誰のせーやねん!」と。

★★★

実は、今日は市役所も行ってきた。しかも福祉課という縁薄いところに行ったので、かなりレトロな体験ができました。ああいう課の人は、基本的にお年寄り等のお相手をされているので、すんごいかみ砕いた説明をしてくださいます。あまりにも噛み下されていて意味不明な感じです。聞いててよくわかんない。まあ、ちきりんも70歳くらいになったら、ああいう説明がわかりやすくなるんだと思うけど。


となりの席に、(知らない人ですが)おばあちゃんが手続きに来ていて、それを見ているとね。


市役所 「ここに名前書いてね〜」
おばあちゃん 「ここですね」
市 「次はここに判子おしてね〜」
お 「はあ、ここね」
市 「あと、こっちにも判子ねえ」
お 「ああ、こっちもね」
お 「ええっと、ここですかね」
市 「あっ、こっちですね。押してあげますよ。」
お 「ああ、すみませんね」
市 「さあこれで、全部大丈夫ですからね〜。」
お 「ああ、終わりですね」


って感じです。まあ、客観的な言動については、悪徳リフォーム屋さんとか布団の訪問販売員と、ほぼ同じですね。


とうわけで、市役所行ってみたり、郵便局行ってみたり、ちょっと「新しい体験」を楽しんだ一日でありました。

んではまた〜