直接投票制度について

今日のトピックは「直接投票の意味」です。この前、岩国市が「基地増強反対」という結果を出してたでしょ。今は(憲法改正をにらんだ)国民投票に関する法整備が議論されています。(かばさんもこのトピックを書いていらっしゃったので、リンクしておきます!)   国民投票法案: 2001年 夢中の旅 & 住民投票: 2001年 夢中の旅





直接投票の目的って何さ?

(1)政策を決定する
(2)民意を問う
(3)「特定の主張」をアピールする

の3つのどれかだと思う。これが混乱してるから、ややこしい。

★★★

(1)政策を決定する・・・これは、「国民投票」か、「地方で完結することに関する、住民投票」のいずれかしかあり得ない。「地方で完結しないこと」(基地問題など)について、特定エリアで投票して政策決定するなんてあり得ない。

(2)これ、変でしょ。政治家が民意を知る方法論として、決して効率的でも効果的でもないよ、こんな方法は。まず、コスト高すぎ、という意味で効率的でない。民意を知るだけなら、ネットでもプッシュホンアンケートでも葉書でもなんでもいいけど、別にコスト掛けて「“住民投票”という形式」を整える必要はない。

効果の方をみても、「Yes/No」の二元論にしてしまうこの方法は、欠陥が多い。本来は「基地がない場合→税収と雇用が○○円、失われます。基地があることで優遇されていた交付金も○○億円なくなります。したがって、住民税は○○円あがります」とか、総合的な状況を示して「基地があるべきか」「なくすべきか」を選択しないといけないよね。基地(増強)がYesかNoか?なんていう単純化した投票をして民意を知るなんて、無理でしょ。

その上、どの単位で投票するかによって、民意は完全に逆転するでしょ。「騒音エリア」だけで投票したら「反対」。基地の従業員が飲み食いする繁華街エリアでは「賛成」。自分の行政区にあるとはいっても、基地からすごーく離れた場所に住んでいる人を入れたら「棄権」が増えるじゃん。「町・村」レベルで投票するのか、「市」なのか「県」で投票するのかによって、すごく結論がかわっちゃうよ。

(3)岩国は結局これだったと思う。「市長が官邸に陳情書を提出するだけでは、アピール度が低い」「住民の反対意思が強いことを示して、アピールしたい」でも「市長が街頭にたって署名運動をするなんて変」だから「住民投票」、ってことかと。

住民と国の中挾になった市長が「税金を使って」自分の「説得力やリーダーシップの欠如」を補った、ということだ。極めてあほらしい。今日、他のエリアで「新型原発の運転差し止め」裁判の判決がでていたけど、「本当に反対なら」訴訟を起こすべき。市長は、訴訟では勝てないとわかっているから、かつ、自分では国も市民も説得する自信がないから、「住民投票に逃げた」と思う。税金の無駄遣い以外のなんでもありません。

★★★

というわけで、直接投票は、

  • 「国会議員の多数決という、今の日本の民主主義のルール」に委ねられないと思われるほどの重要な問題について、国民投票を行う

  • 完全に地方だけで完結する問題について、住民投票を行う

のいずれかしかありえない。後者は新しくできた地方空港の名前を決めるとか、新合併市の名前を決めるとかね。前者は極めて限られたケースだけでしょう。だって、一応私たちは「国政は国会議員の多数決」っていう制度を受け入れているわけだから。

あとさ、投票しても何も効果もないようなことを「税金でやる」のやめたほうがいい。単なるアンケートに多大な税金つぎ込まない方がいい、と思う。やる前に、この結果をどう使うか、明確にすべきだよね。「結果になんの違いもおよぼさないこと」にコストかけられるほどの「豊かな地方財政」じゃないでしょ、今。

★★★

まあ、というわけで、いろいろあるわけだが・・・長くなるので、終わり。


んではまた。