貴族の生活

「椿姫」を読んだ。著者はデュマ・フィスという1824年にフランスで生まれの作家。売れた作品は椿姫だけ。それも文芸作品としてではなく舞台化されて売れたみたい。たしかに椿姫ってオペラの定番ですよね。

この人、有名な作家の父とその愛人の間に生まれた非嫡出児です。で、椿姫を始め、社会弱者に同情的な視点をもった作品を沢山書いています。

この本を読んでいて、内容とは全く関係ないのだが、「こういう時代の貴族って、いったい何をしていたんだろ?」と思いました。

だって貴族って基本は「不労所得」で食べてるでしょ。地代とか利子とか。夫人も育児も家事もやりません。じゃあ毎日なにやってるわけ??


もし、ちきりんが「働く必要もなく」「家事も誰かがやってくれたら」毎日何やるかしら??遊ぶったって・・・人生ずうっと、何もしなくていいなんてどういう生活なんだろう??

というわけで、ちょっと想像してみました。。(相変わらず、わけわからないことに関心をもつ私・・)貴族の一週間。男性と女性で。

★★★

<貴族のおじさん>

月曜日 
 AM:貴族の会合へ出席(話題は、今年の収穫の様子(←地代のあがりに関係するので)や王室のゴシップなど。誰が勲章もらったとか、どこの息子が誰と結婚したとか。)
 PM:領地の視察(馬で廻る。各地で管理人が出迎えて説明する。)
 夜 :父親の屋敷での音楽会に馬車で出かける


火曜日
 AM:新馬の品評会へ出かける。息子と自分用の新しい狩猟用の馬を購入。
 PM:肖像画を描いてもらう(モデルとしてソファに座ってる)
 夜 :奥様と食事(親族関係の冠婚葬祭などについて相談したりもする。)


水曜日
 AM:手紙や小切手を書くなど事務仕事。羽根のついたインクペンで書く。手紙は蝋をたらして個人印を押したりするので時間かかる。
 PM:会員制クラブ(男性貴族のみが入れるクラブサロンね)で、カードゲーム、情報交換、談笑。
 夜 :奥様とオペラ観劇


木曜日
 AM:弁護士&会計士から財産管理などの報告を受ける。
 PM:乗馬。その後、狩猟用の鉄砲をチェックする。
 夜 :友人とキャバレーへ(今のキャバレーと違いますよ。レビューショーとかやってるムーランルージュみたいなところ。)


金曜日
 AM:競馬観戦
 PM:こっそり浮気相手の女性のマンションを訪ねる。ネックレスを無心される。もちろん「貴族用」の売春宿なんで、それなりに「高級な女性」がいる場所です。出がけに「わきまえた」宝石商に寄って希望のネックレスを買ってあげる。
 夜 :そのままギャンブルハウスへ。夜中まで飲み明かし、ゲームに興じる。


土曜日
 AM〜夜 友人と馬車で郊外の別荘へ。狩りを楽しみ、夜は仲間と食事&お酒。暖炉の前で、高いお酒を飲みながら、ロッキングチェアで。「いやあ、昨日は高いネックレス買わされちゃったよ」とかなんとか。


日曜日
 AM:礼拝(別荘のチャペルで)
 PM:都会の本宅へ移動。途中、売りにだされている小さなシャトーを見学。自分の領地であるワイナリーにも立ち寄り、新作のテイスティングも。
 夜 :子供を交えて家族と食事


★★★

<奥様>
月曜日
 AM:子供の勉強を見学(子供には家庭教師がやってきて教える。)
 PM:パリでショッピング(帽子と宝石など注文)
 夜 :夫と共に義理の父親の屋敷での音楽会に出かける


火曜日
 AM:新しいダンスステップの練習(講師が館にやってくる)
 PM:肖像画を描いてもらう(モデルとしてソファに座ってる)
 夜 :だんなと食事(いろいろ愚痴る)


水曜日
 AM:領地内の森を散歩&ピクニック(遊びに来たお友達と)
 PM:美容院へ(ヘアセット、お化粧、爪のお手入れなど)。その後、新しいドレスを試着。
 夜 :旦那様とオペラ観劇


木曜日
 AM:別のドレスの仮縫い(仕立屋が館にやってくる)
 PM:来週、主催する食事会の料理や準備の指示。誰を招待するとか、席順とか、音楽の演奏はどのバンド?に頼むとか、細かく執事や料理長へ指示をする。
 夜 :子供と食事


金曜日
 AM:競馬観戦
 PM:館内の模様替えの指示。玄関のお花について執事に注文をつけたりする。その後、占い師を館に呼んでいろいろ相談したりもする。
 夜 :お屋敷のプチシアターで若い男性のダンスショーを観賞。ショーの後、個別にお話(えっ?)


土曜日
 AM:お買い物(一族の娘さんの結婚祝いなど)。その後、お気に入りの画廊に寄る。
 PM:奥様仲間と紅茶パーティ(新しいチョコレートがベルギーから届いたので)
 夜 :自宅にバイオリニストや、若手画家を招いてプチパーティ。(奥様は若くて貧乏な芸術家のパトロンなの)


日曜日
 AM:礼拝
 PM:子供達をつれて、孤児院訪問。お菓子などを「めぐんで」あげる。
 夜 :子供を交えて家族と食事


★★★

こんな感じ?

忙しそう? ヒマそう?
楽しそう? 退屈そう?



1週間ならいいけど、この生活を52回やっても1年しか経たない。貴族が出てくるいろんな本を読んでいると、季節ごとに「夏の館に行って過ごす」とか「イタリアにでかける」などで一ヶ月過ごすこともあるようですが、別に「夏の館」に行ったからといって用事が増えるわけでもないし。

現代の世の中なら、もっと遊びも多彩とは思いますが、それでも「仕事も家事も不要」と言われたら、結構毎日ヒマなのかもしれませんね。憧れてはいるのだが、そーゆー生活に。


ではでは



椿姫 (新潮文庫)

椿姫 (新潮文庫)