偽造される社会論争

社会派とかいいつつ、全く書く気になれないトピックもあります。あまりにも「作られた社会論争」には、触る気になれません。

なれないんだけど、それがどういうもので、なんで触る気になれないのか、については説明しときます。


昨年あたりかな、朝日新聞の投書欄で火がつけられた(「火がついた」では、ありません)論争で、とても馬鹿げた論争があります。

曰く「給食の時、子供に“いただきます”と言わせる学校の指導はおかしい。給食費を払っているのだから、感謝の言葉を言う必要はない」という投書がある母親から寄せられたとのこと。

で、論争が起こりました。

「何を馬鹿げたことを。カネ払おうが払ってなかろうが、食べ物に感謝して“いただきます”というのは、当たり前だ」という意見と、いや、最初の意見が正しいという意見が錯綜し、テレビのワイドショーにまで取り上げられて、盛り上がりました。

そして朝日新聞はこの論争をひっぱりまくったんです。


こういう論争・・・あほらしくてブログに書く気になれません。なぜなら、これってすんごい人為的に「作られた論争」だから。

新聞の部数を伸ばすために作られた議論にすぎない、から。

そして朝日新聞が最後に「やっぱり食べ物に感謝しなくては。最近の若いモンはなっとらん」という結論にもって行きたいがためにとりあげてる論争だから。


日本には1億人以上の人がいるんだから、そのうち数人が「金払ったものに、感謝の言葉は不要」と思っても不思議なことではありません。

いろんな意見の人がいるんです。「一人残らず、全員が同じ意見」などということはありえない。モンスターなんとかみたいな人はどこにでもいる。

そういう「ちょっとおかしい人」の意見を、わざわざ採り上げて大論争に仕掛けていくというのがいやらしい。

★★★


「金を払っているのだから、“いただきます”と言わせるのはおかしい」という意見が 5通あったとします。そして「そんなもん、言うのが当たり前」という意見が 200万通あったとする。

加えて、ちきりんみたいに「あほらし」と思ってわざわざ投書なんてしない人が 2000万人いるとします。これじゃあ、本当は論争になんてならない。


ところが朝日新聞は、毎日「一通の反対意見」と「一通の賛成意見」を、並べて投書欄に載せます。

それを 5日続けて、最後の日に、「自分の意見」を書いたりする。

そーすると、社会論争になるわけ。まるで、意見は 5:5 の割合であるように見える。


私自身はあほらしくて「いただきますって、言うべきでしょ!」っていうブログを書く気になれない。だってそれ自体が、あほらしい話を「論争」に高めることに貢献してしまうから。

でもこの論争を「大事なことだ!」とか言い出して、「キ〜」とかなる人がいる。


ややこしいなあ、と思う。

んなアホみたいなことに、まともに取り合うなよと思います。

取り合うと「議論」になっちゃうやん、くだらんことが・・・


相手は「しかけている」んです。

それなのに案の定・・・・「ぜったい言うべきですっ!」「なぜならば、子供のしつけとは!」って、つばを飛ばして叫び出す人が出てくる。


全くもってあああ、です。



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