ちきりんの「宗教の定義」は下記です。
(1) 教祖や神など、絶対的立場のシンボルが存在する。
(2) 現実の世の中を否定している。
(3) 現在の科学レベルでは不可能なことを信じている。
(4) 集客と集金のシステムがある。
(1) は不可欠です。「神」無しに、あることないことを人に信じさせることはできません。
(2) も重要です。
宗教は「この世に不満を持つ人」向けのものです。だから、「こんな世の中には意味がありません」「今の世の中はおかしいのです」と現世を否定することが、そのまま信者の存在を肯定します。
「世間に否定されているように思える自分」を肯定してくれるからこそ、人はそれを信じたいのです。
(3) そしてこれが「救い」を与えます。
たとえば、現実の医療では治らない病気も、信心があれば治せる!と言い切ります。キリストだって難病の人の体に手をかざして治してる姿が宗教画によくでてきますよね。
宗教以外の世界はいまやとても科学的です。解明され証明されていることだけが真実だと言われます。
しかし、それでは救われない人がいます。自分を救わない真実は信じたくない。そんな彼らにとっての“真実”を提供してくれるのが宗教なのです。
(4) 布教や維持にはコストがかかりますから、集金システムがないと団体は継続できません。また、継続的な集金のためにも集客が必須です。
これは宗教の目的なのか、それとも結果なのか、という問題もありますが、ちきりんに言わせれば“目的”です。
京都の宗教総本山のお寺の巨大さ、欧米の有名教会の巨大さをみれば、いかにこのシステムがよくできたものであったか、わかるでしょう。宗教とは富を集める権力機構そのものです。
★★★
世の中にはたくさんの問題があります。その問題の多くは、人間や社会が解決できないでいる問題です。
どこの国も様々な制度で国民の幸福度を上げようとしていますが、完全に成功することはありえません。
そして、社会が解決できない問題の多くは、悪徳業者もしくは宗教が救うという構図になっています。
反対に、公的な制度が社会の問題を解決できればできるほど、宗教は居場所がなくなります。
先進国において皆がもはや昔ほど信心深くないのは、全体として皆、しあわせになったからです。
しかし世の中の問題を現実の制度が解決できなくなれば、悪徳業者もですが、宗教もどんどんその勢力を伸ばしていくでしょう。
あなたを救ってくれるように見えるものの名称が「セミナー」や「○○道場」であっても、「○○会」や「○○の集い」であっても、上記の4つの条件が揃っていれば、それは宗教です。