こっちの格差問題の方が・・・

「英語教育を小学校から始める」という件に関して、某新聞の読者投稿欄に載っていた意見に呆れました。

曰く「留学生(中学生)を短期間、我が家に迎えたが、英語が全然話せなくても、笑顔で交流できた」 → 「言葉ではなく心の交流が大事なのだ」 → 「だから、小学校からの英語教育は不要だ」


頭痛いな、まったく。


日本語がまだ話せない日本人の幼児を、親が出かけている間、預かって遊んであげたとしましょう。その子はまだ言葉(=日本語)が話せないけど、笑顔で心が通じ合った。そういうことはありますよね。

だとすると、この経験から導ける結論として、「したがって、小学校で日本語を教える必要はない」と言うのかしら?


わっけわかりません。


★★★


小学校からの英語教育の是非に関しては、世の中には賛否両論があり、うるさーいわけですが、いずれにせよ今回の施策は失敗するでしょう。だって、最大の問題は、いつから習うかではなく、誰から学ぶかであり、どう教えられるか、だもの。小さい時の方が、発音は覚えやすいっていうけど、小さい頃から「小学校の先生の発音」とか覚えて、意味あるのかな。

それはかなり怖い感じでない??


この問題に関して、ちきりんが最も深刻だと思っているのは、「二極化」です。

これは本当にやばいと思う。「子供をインターナショナルスクールに入れたい親」ってのも、よく報道されてますが、当然だがそういう学校に子供を通わせるのはすごいお金がいります。小中高だけでなく、大学まで海外で行かせることになるかも、という覚悟も必要です。


そこまでいかなくても、中学や高校、もしくは大学で一年休学させて語学留学とか交換留学という子供がすごい勢いで増えています。子供が行きたがる、というのは前提だと思うがけど、親が勧めているケースも非常に多い。

経済的に余裕のある家の子で、親がそれなりの問題意識を持っている場合、日本で私立の中高に通い、夏休みごとにアメリカのサマーキャンプに参加する子供も珍しくないんです。


そして、彼・彼女らが学んでくるのは、英語力だけではありません。

こういう子が、今の10代にはすんごい勢いで増えているんです。小学校からの英語教育に反対してるおじさん、おばさんの想像を超えた割合でね。


これは将来の二極化の大きな原因になるなあ・・・と思うちきりんです。

今、上海あたりでは、同じ年齢の中国人でも英語とパソコンができる人と、できない人の年収格差は多分5倍とか以上でしょ。だから子供の年収が親の年収の倍とかいう家庭が珍しくない。


日本でも

「公教育を信頼できない」親が、

「私的な教育にお金を投じる余裕のある」親が、

「何を今、身につけさせるべきか、を文部省よりよくわかっている」親が、

「その方法論として何が望ましいかを、文部省よりよくわかっている」親が、

「自分の子供だけ」「公教育の制度を離れて」育てようとしている。



これ、田舎にいると見えにくいと思う。
これ、今時の中学生あたりの親とのコミュニティにいないと見えにくいと思う。

でも、すごい変化が起こってきている。と思う。

将来の二極化の大きな原因が作られ始めている。

こっちの方が、今、現時点の経済的な格差問題なんかより大問題だと思うけどね。



「公教育が、生きていくために必要な教育をしてくれた時代」に育った幸せな世代のちきりんは、やっぱり、これが日本の社会のすばらしさのひとつでしょ、と思ってる。


深刻だと思います。