アマゾン川

さて、アマゾン川について書きましょう。

どんなとこ?というと、こんなとこです。でかくて、川というより海みたいですね。

これは源流の川の合流地点で、ふたつの水の成分が異なるため、川の真ん中で水の色が変化してるでしょ?ここから20キロくらい、ふたつの水は混ざり合わずに流れるのです。不思議な感じ。自然の神秘って感じです。


この手前の黒い方の水がアマゾンの特徴でもあり、そのために川面に、周囲のものがきれいに映り入ります。下記をご覧ください。水面の境界がわからないくらいですよね。幻想的でさえあります。黒い鏡、それがアマゾンの水の特徴です。



さて、アマゾン川が予想と違ったのは「ワイルドなイメージがない」ことです。まず第一に海ではなくて川だから、基本的に穏やかです。実際にはかなり流れは速いのですが、波のような動きはありません。だから「おだやか」で「とても安心な川」に見えます。

確かにピラニアもいるし(下記の写真は黒ピラニア)、ワニもいます。巨大“なまず”もいる。シラサギもいればフクロウもいたし、なんとイルカまでいるんです。同じ川に、だよ。びっくりです。


(ピラニアです。入れ食い状態でつれます。)



なんだけど、アマゾン川は全く怖い感じがしません。野生の密林、野生動物がウロウロするおどろおどろしい大河とその流域!を想定していたちきりんは、肩すかしを食らいました。

なんでこんなに穏やかな川なのか??昼間なんて石垣島どころか「琵琶湖?」って感じです。


アマゾンがワイルドに見えない理由、それはずばり、危ないことをさせない、しないから、です。例えば、川を泳いでいる人は、観光客はもちろんですが、現地の人でも、ほぼ皆無、です。

移動する人はすべて「モーター付のボート」で動いています。ということは旅行客は常にガイドと一緒です。例えば、石垣島なら手こぎのボートにのることもありますから、旅行客でも自分で自由にあちこち行けます。それに、カヌーから降りて泳いでみたり、そういうこともよくあります。

でも、アマゾンではそれはないです。私たちは、モーター付のボートにのって、「はい、ここにピラニアがいますよ」「これがワニですよ」と見せられます。


・・・なんか、つまんないでしょ?

そう、つまんないんです。


で、なんで自由に動けないのか、なんで泳がないのか?と言えば、「危ないから」なんです。

子供がいなくなった、と思ったら、ワニに食べられていた、とかいうことが実際に起こるわけです。だから誰も泳がない。モーターのないボートではワニから逃げられないし、ガイドなしで旅行客にカヌーをこがせて迷ってしまったら、もう戻ってこれなくなります。

石垣島なら・・・自由にさせていても、そうそうワニに喰われたり、迷子になって探せなくなったりはしない、ということなのでしょう。


“ジャングルトレッキング”も同じです。ガイドがなんども観光客を案内した、ロッジの近くの森林を歩きます。皆が同じところを通るから、道はすっかり踏み固められていて、「これじゃあ、林間学校の方が密林だったよ!」と思います。

なんだけど、手抜きをしているわけでもなんでもありません。

ロッジの近くで、ガイドが知り尽くしたところでなければ、いつ毒蛇が出てきたり、チータがでてきたりするかもしれません。そんなところを観光客はもちろんガイドだって無防備に歩けません。迷ったら、帰ってこられません。

だから、大丈夫なことだけを、するわけです。

だから「なんかつまんない」のです。


そうなのですよ。気がついたわけです、ちきりんは。


「本当の野生地に行くと、旅行客は“偽物”しか体験できないってことなんだな」と。「ちょっとした野生地」に行くのがいいのです。そうしたら、“本物感”が体験できるのです。

「密林ぽいけど、毒蛇はほとんどいませんとわかっている密林」とか、「自然な大河だけどワニはほとんどいませんとわかっている大河」とかね。「本物っぽい偽物」な場所に行く方が、ワクワク体験ができるってこと。



「安全が確保されている」から「野生体験、自然体験ができる。」

「本当にワイルドな場所」では「本当にワイルドな体験はできない。」整えられた舞台で「まねごと」ができるだけになる。いや、一人で死ぬ気なら自由にやればいいけど。


ちょっとした矛盾でおもしろいでしょ?


じゃ、また!