年金(の記録不備)問題=「消えた年金問題」が社会問題となり、社会保険庁は夜中から休日まで問い合わせに応じているらしいけど、過労で心や体をこわす人が多くならないことを祈ります。
それにしてもこんな混んでる時にわざわざ問い合わせに行こうってのは、いったいどんな人なんだろうな。
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うちの母は、独身の時に少しだけ働いていて厚生年金を払ってました。
結婚後は名前が変わり、かつ他の市町村に引っ越し。そこからは無保険状態になってます(当時は専業主婦は無保険でした。)
その後、三号被保険者の制度ができ、母もその対象に。
今回 60歳になる前年に社保庁に行って確認したところ結婚前の記録は“自動的には”でて来ませんでした。
世の中の人はこれを「消えた年金」と呼んでるんですが、当時その話を聞いたちきりんは、それを「ひどいミスだ!」とは思いませんでした。
パソコンもない時代の住所も名前も違う(旧姓の)記録なんて、リンクされてなくて当たり前では?
で、その場で「いや、○年頃、○○という旧姓で数年払っているはず」と言って記録を探してもらった。
母は会社の名前も覚えてなかったし、小さな会社だから今も存在しているとは思えなかった。なので、会社があった地名(県と市)だけ伝えた。
待つこと15分、データが見つかりました!
めでたしめでたし。すばらしいね、社保庁!って感じです。
でも今、社保庁に押しかけて同じ経験をした人は、こう言うはず。
「やっぱり間違えてた!」
しかも3時間も4時間も待たされているから怒りも一段大きくなる。
「ひどすぎる。民間ではこんなのあり得ないっ!!」
で、その声をマスコミが拾って何度も何度もテレビで報道する。
「保険料を払ったのだから、社保庁側で把握していて当然である」と思う人がいることは“理解”はできます。
払うときは勝手に持って行くくせに、もらう時にはなんの連絡もしてこずに平気で「申請主義です」と開き直るのは、いかにもお役所仕事に思える。
ただね、こういう巨大な数のデータが入っていて、しかもパソコンのない時代からの制度で、その捕捉率を100%とするのは、システム運営者側だけの努力では不可能でしょ。
そんなこと、ある程度の規模のデータベースを運営したことのある人なら感覚的にわかるはず。
だからお互いに申告し合って間違いを直していく必要があるし、そうやってうちの母のデータみたいに15分ほどで見つかったら何の問題もない。
理屈ではお金を払った方=客側が、なんで言いにいかないといけないのか?と思うけど、でも、そうでないと全体を正しくするのは不可能です。
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というわけで、政権交代のためとはいえみんな騒ぎすぎだし、みんな自分達で自分達を不幸にしていると思う。
ただ、役所側に悪い点がないとは言わない。
証明書類がない時に、社保庁は「領収書はありますか?それがないとだめです。」という。
「もしくは、基礎年金番号導入時に、不明な点は問い合わせろと法律に書いてあったでしょ。そこから時間がたってもう時効になったからだめです。」という。
これには「おいおい」と思う人は沢山いるだろう。
公的部門ってのは「法律を作れば世の中は動く」と思っている。それがどれだけ大きな間違いか全く気がついていない。きっと誰も教えてくれないのだ。
何回も学ぶ機会はある。
東京都だってゴミ袋を変更する時「法律を作りました」とかいって1年後に施行しようとしたら直前に都民が「聞いてねえよ」という話になり、実施を遅らせた。
経済産業省が中古家電の品質管理問題で法律を作るときも、家電メーカーにしかそれを事前説明しなかった。
彼らは世の中に中古市場があることに全く気がついていなかったから。
で、施行直前に中古家電(特に、高価な古い楽器や特殊機器を扱う業界が)大騒ぎになった。
このため最終的には、法律を骨抜きにするという解決方法を採らざるを得なかった。
こういう「同じ種類の、失敗の歴史」が山ほどあるにもかかわらず役所は全く学ばない。「法律を作れば世の中は動くのだ。仕事は終わりだ」と思ってる。
民間企業で「戦略を作って取締役会の議事録に載せれば、会社は動くのだ。仕事は終わりだ」といっている経営者はいないでしょ。
もうひとつ。これは役所というより政治家が悪いと思うけど、こんなふうに国民全員の不安を煽ってみんなを社保庁に駆けつけさせてなんの意味がある??
年金なんて25年払わないともらえないし、60歳にならないともらえない。つまり、40代の人が今騒ぐ必要はまったくない。
「まずは55歳以上の方の記録を確認しますので、55歳以上で不安な方はお問い合わせを」とか言えばいいじゃん。
で、順次調べていけばいい。なんで年金もらうまでにまだ何十年もある若い人まで国民全員の不安を煽り、3時間だの4時間だのの待ち時間をわざわざ作り出すかな。
意味不明ですよ。
国民も社保庁の人も振り回されて本当に不幸。
んじゃね。