“言葉のセンス”のある人がうらやましい。
“ハンカチ王子”と名付けるだけでもすごいのに、次に見つけてきた若いゴルファーを“はにかみ王子”と呼ぶセンス。誰だか知らんけど(ふたつのネーミングをした人は異なる人だと思いますが)いずれもすごい。
あれ以来ちきりんも、電車の中でかわいい高校生とか中学生を見つけるたびに、“もしこの子を○○王子と呼ぶとしたら何?”とか、自分の頭の中でネーミングを考えたりするんだけど全然思いつきませんね。
あんまジロジロみてると痴漢みたいだし・・・
★★★
今日久しぶりに SPA! を読みました。スパは大好きな雑誌なのだけど、最近余りに手抜きなので二ヶ月に一冊くらいしか買わなくなってました。けど、今日久しぶりに読んだら、やっぱいいセンスしてるよね〜、と思いました。
今日感心したのは、「日雇い犯罪者」というワーディング。携帯やネットとかの掲示板に書きこまれた裏アルバイトの求人に応じる人のことです。
同じでも、表の、普通の“日雇い労働者”はよく知られてる。現代版日雇い労働者は半場ではなく、グッドウイルなどで一日7千円くらいの日雇いの仕事を探して、夜はネットカフェ難民になる。年収200万円くらいの仕事。
これの裏バージョン。仕事はちょっとした犯罪行為。たとえば、自分の名義で携帯電話を契約して売るとか、口座を開いて売るとか。ほかには、振込め詐欺で集まったお金をATMから引き出すアルバイトや、偽造クレジットカードで買い物する、盗んだ保険証を渡されて消費者金融でお金借りてくるなど。
こうみると、犯罪には大量の手先人材が必要なんだなーとわかります。メンの割れてない、かつ、万が一逮捕されても前科がない(=牢屋に入る必要はない)、また、組織の秘密を何もしらない、大量のアルバイトが必要なんです。で、こういうアルバイトを毎日ネットでさがして暮らしている人を「日雇い犯罪者」って呼んでる。
超センス良い言葉でしょ。
しかも記事中の分析もなかなか鋭い。
こういう日雇い犯罪者には「レベル」があると言う。最初は携帯電話を契約してくるとか口座を開設するとか、あんまり「犯罪っぽくない」行為からスタートする。(どちらも犯罪ですけど、あくまで「ぽくない」ことが大事)
次のレベルになると、怪しい口座から現金を引き出してくるとか、渡されたクレジットカードで買い物するとかになる。そして、いくつかの段階を経て、最後には指定された人と養子縁組したり、結婚したり離婚する。戸籍ロンダリングに利用されるわけです。
そういえば先日、ピンクのバンで血だらけの死体が運び出されたという事件があったでしょ。その死体があった部屋のマンションの契約者(男性)は、「何度も養子縁組を繰り返し、無数の会社の社長として登記してあった」と報道されました。そう。こういう人になっていくんです。最後は。
表にでられない人生ってやつ・・。
★★★
おもしろかったのは、こういうアルバイトをネットで募集すると、応募者は何十人もいるが、実際に採用されるのは十人にひとりもいないと。
なんで?
「多くがシャブ中やアル中で使い物になんないんですよ」って。
そりゃそうですね。こういう仕事をする人は、ほぼ全員が多重債務者だとは思っていたけど、ちきりんの想像以上に「もっとせっぱつまった意味で、お金が必要な人たち」ってことであり、「表では絶対に雇ってもらえない」人ってことなんですよね。なるほどです。
そして最後に記事はまとめてる。世界に冠たる一流企業の工場で、偽装請負や日雇い派遣の人が大量に必要であるように、すべての犯罪にも、こういう“いつでも切り捨て可能な人材”が大量に必要なのだ、と。表も裏も同じだと。
これはインサイトフルですね。
やっぱたまにはスパ読まなくちゃと思いました。
んじゃね。