ロシア再び

冬のオリンピックの開催地にロシアの都市が選ばれたらしい。これ、すごい象徴的なニュースでした。

まず驚いたのは「冬のオリンピックがロシアで開催されるのは初めて」だとニュースが伝えていたこと。これはたまげた。あんな「国土のほとんど冬」みたいな国ですよ。凍土っていうイメージに(北朝鮮の次に)近い国だったりするのに、冬のオリンピックが“初めて”だって。


なんでさ?


明らかだよね。冷戦時代、彼らが立候補したって西側諸国が牛耳るIOCは絶対にロシアを開催地には選ばなかっただろう。彼らもそんなのわかってるから立候補してない。ということ。

つまり、この国が国際社会に復帰してから、まだそんなに時間がたったわけではないのだということを再認識させてくれたニュースだった。冷戦時代ってのが、すぐこの前まで、あったのよね、地球上に、と。

まあ、とにかくニュース聞いて「そうなんだ、初めてだったんだあ」って感慨深かった。

★★★

もうひとつ、このニュースでブルッたのは、「ロシア再登場」って感じがしたからです。すごいな、現れたよ、新たな登場人物が、って感じ。冷戦時代は共産国、東側体制が崩壊して終わりを迎え、アメリカだけが唯一のパワーとして現れた。これが、20世紀の終盤に起こったことだ。

ところが、やってきた21世紀はそれよりも余程におもしろい、楽しそうな世界だった。

まずは「中国がやってきた」のだ。


この前会った人が言っていた。「20世紀には中国は存在しなかった。」と。そうなのよ。経済系の人に言わせれば、20世紀と21世紀の違いは、「21世紀は中国の在る時代」だと。

言い得て妙だと思いました。納得したです。世界のデフレも、エネルギー不足も食糧不足も、世界の公害も、全部「中国がもってきた」のだ。21世紀に。

★★★

ところが、もうひとつ、明らかになりつつ動きがある。それが「ロシア」だ。

この国、「終わった」はずだった。「終わった」と皆が思っていた。ベルリンの壁が倒れ、スターリン像が倒され、レニングラードがサントペテルスブルクに名を戻した後、この国は筆舌に尽くせない混乱に陥った。ものすごい借金を抱え、マフィアが闊歩し、アル中の大統領が専横を極めた。そんな国に、未来はないと、誰もが思った。


ところが、です。


石油の価格が20ドルから70ドルになった。彼らは産油国だ。20兆円の価値の石油は70兆円の価値になったのだ。彼らはすべての借金を返済し、国際社会に「パワー」として戻ってきた。

ロシアは欧州への天然ガスパイプを閉じたり開いたりして西欧を脅し、日本等が数千億の投資をした後の開発案件を無理矢理に国家権力でとりあげ、そして、全く何の設備もない小さな都市へのオリンピック招致を、ものすごい豪腕で実現した。

先日発表された調査で、今、世界で一番物価が高い都市はモスクワだと言っていた。昔日のある日、バブル期の東京もこの調査で最も物価が高いとランクされていた。

今、世界でもっともタカピーなプライシングが通用する都市、それはモスクワ、なのよ。



アメリカはどーする?

ポーランドにミサイルを再配備することにした。



冷戦アゲインだ。


英語とフランス語を流暢に話す大統領。いつそんなに語学堪能になったかって?KGBのスパイだった頃、必要だったから学んだんでしょ、きっと。

この眼光鋭い男性が、21世紀初頭の主役のひとりであることは間違いない。今、最も魅力的でセクシーな男性だよね、彼は。


そしてもうひとつのパワーは、ご存じのとおり、見えない敵、テロ集団たちだ。ミサイルも核も化学兵器もいらない。彼らは飛行機を高層ビルにぶっつけた。その跡地に、アメリカは再度、最高層のビルを建設する。イギリスだって、ストの他にテロも「当たり前」の国になりつつある。



21世紀は、おもしろい。


いや、20世紀もすごい面白かったけどね。



何がおもしろいってさ、21世紀に現れたものが、上の順に並べると、
(1)中国
(2)ロシア
(3)イスラム過激派
ってことです。



あれっ?って感じしません?

これらって全部、20世紀の「一方の主役」だったのではないの?特に(1)と(2)は。なのになぜ、21世紀の登場人物として彼らは注目されるのか?この辺が、深いところと言うか、おもしろいところなわけだわね。

なるほどね。



ロシアアゲイン。


んじゃね。