高税金でもチョイス必要

昨日の2パラ目の続き。

今までは「高い税金→高レベルの福祉」か、「低い税金→限られた福祉」という選択肢が“亡霊のように”存在していた。前者を欧州型、後者を米国型と呼んだり、前者を社会主義的、後者を資本主義的と呼んだり。もしくは、前者が「格差解消派」で後者が「市場原理派」ね。

なんだけど、ここにきて、この選択肢自体が幻想であったとわかってきたと思う。つまり、今や日本の財政状況と少子高齢化状況、経済成長率から考えれば、基本的に選択肢はひとつしかない。すなわち「高い税金→限られた福祉」ってことです。

もう、高い税金は当然。それでさえ福祉は限定的ですよ、ってことだ。

★★★

すると、選択肢として残っているのは「高い税金で集めたお金を、どの限られた分野に配分するか?」という種々の選択肢だと思う。



たとえば、

(1)介護施設を新設するか、保育園を新設するか?
(2)地方の道路やダムを建設するか、都会の環状線、通勤電車系を整備するか。
(3)職業訓練にお金をつぎ込むか、失業保険を充実させるか
(4)東大など一部の大学に研究予算を集中させるか、全小学校の少人数学級や荒れる学級対策に投資するか。

★★★

これはそれぞれ、何を意味するか?

(1)は、「老か幼か?」であり「死か生か?」でもあります。人生の最後こそ安らかでいられる国でありたいか、いや、これからの命にこそ投資をすべきか?という問いでもあります。

どっちも!というつっこみは想定内。上記に書いたように、たとえ高税金にしても「すべての分野で高福祉」は不可能となることを前提として議論をふっかけてます。あなたが市長で、めいっぱい増税しても10億円の予算しかなくて、介護施設も保育園も危機的にたりなくて、どっちもひとつ作るのに最低10億円かかるなら、どっち作りますか?という質問です。


(2)これは「地方か都会か」です。地方を人が住めない、暮らせない場所にしてはいけない(不便で、という意味ではなくて、仕事が無くて、という意味です。)、という意見と、都会の非人間的な、在る意味奴隷のような環境に、日本の主労働力たる若者や中高年を放置してはいけない、という意見と、どっちやねん?と。

ところでこの問題について聞かれた福田さんが、「東京には高層ビルが林立してる。ぼくの選挙区は100キロ離れているだけだが山ばっかりだ。この格差は放っておけない。」と言っていた。

驚いた。

が、いいアイデアかもね。「是非、東京にも山を作って欲しい。」

★★★

(3)は自助努力支援かセーフティネットか、ですね。前者だと結局“強者”だけが救われる、という意見もある。後者だと、“結果としての弱者”を救うことになる。

同じ考えで、年金の制度も決まる。きちんと年金を払ってきた人を優遇するのか、年金なんてやめてしまって本当に困っている人だけに生活保護費をきちんと払うのか、ね。


(4)これは、先端か平均か、という選択肢です。

世界のトップを走る国であることを優先し、意図し、頑張るのか、底上げ、最低限のレベルアップを大事と考えるか。

後者を突き詰めれば、医療なんかでも、「難病だが患者数は極めて少ない疾病」についての治療や研究はもうやめてしまう。かわりに多くの人が羅漢する疾病に集中投資する、という話になる。

スポーツの分野でも、オリンピック強化予算とか全部辞めちゃえと。代わりに、メタボリック防止、寝たきり防止のための国民体育制度を作りましょう、みたいなね。

自前のロケットだの衛星だのも辞める。代わりに消費電力の低い冷暖房機を開発しよう!みたいな感じです。

いろんな分野で、戦後以降の昔はまず平均アップを目指した。高度成長を通して平均がある程度あがったので、最近は先端アップにも投資している分野がたくさんある。それを再度「どっちか」にするとしたら、どっち?という話。

★★★

他にもあるかもしれませんが、こういう「どこを優先しますか?」ということを、国民が選択していくことになると思う。


ちなみにちきりんは、
(1)老
(2)都会
(3)セーフティネット
(4)平均

というチョイスです。一番迷うのは(4)。ここは先端もありかな〜と思う。難しい。他の3つはあんまし迷いないです。


一応理由も書いとくと、
(1)子供はぐちゃぐちゃでも育つだろ?って思うから。なんとかなるでしょ、と。乳児死亡率ゼロにする必要はないださ。
(2)田舎に投資しても無駄に終わると思います。
(3)頑張れる人は自分で頑張ればいーじゃん、ということで。
(4)難しい。先端投資はヒット率が低いので、平均の方が全体の成果価値が大きいかなと。でも、先端をあげれば平均は引きずられてあがる、という話もあるんで、ここは迷います。


んな感じ。ほかにも比較軸はありそーに思うが、継続的に考えることとして、とりあえず今日はここまで。

んじゃね!