“no more もの運動”を主宰してます。

ここ数年「捨てるモード入り」している私。

きっかけは、2年前に「実家を片づけた」こと。

ちきりんの実家は築 50年くらいの田舎の一戸建て。高校卒業までの私も含め、これまで家族 3代が住んできた家ですが、2年前にリフォームのために家を片づけた時、大きな衝撃を受けました。

なんたってまあ、とにかくモノの量の多いこと多いこと。

身内 2名にバイトを 2名動員し、大人 4人で一日がかりで片づけたゴミの量は、家庭ゴミの範囲を遙かに超えており、有料で産廃業者を呼んで引き取ってもらったほどです。

しかもリフォームしたのは家の一部だけ。なので、片付けたのもその部分だけです。

それなのに不要品がこの量? と本当に驚きました。そしてそれをきっかけに、自分の家のモノも大幅に減らしたいと思い始めたわけです。


テレビで「片付け屋」というビジネスが特集されていました。

自宅で暮らせなくなり、施設などに移ることになった高齢者が家の片づけを頼むケースとか、
親御さんが亡くなって、遠くに住む子ども家族が実家の片づけを頼むケースなどの他、
比較的若い人でもモノが増えすぎて収拾がつかなくなって片づけを頼む人もいるようです。


なんだけど、その人達の家をテレビで見て、私はまたもや大衝撃を受けました。

だって大半の家が、“ゴミ溜”以外の何ものでもない、って感じに見えたから。

ところが、本人達はそこで普通に暮らしてるんです。

ものを払いのけてソファや座布団に座ったり、机の上のゴミの中からリモコンを探し出してテレビをつけたり。

きっと毎日少しずつ「徐々に汚くなってる」から気がついてないのでしょうけど・・・他人が初めて見ると、「あり得ない」って感じの部屋ばかり。

いったい何がそんなにひどいのかといえば、結局のところ、汚いわけでも壊れてるわけでもなく、「モノが溢れてる」んです。

どう考えても使ってないと思われる大量のモノが家中に溢れて収拾がつかなくなっている。


私個人の家だって、9年前に住み始めた頃は本当にすっきりしてました。

ところが最近はモノが溢れてる。でもその間、危機感をもったことはありません。なぜなら、毎日、毎月、毎年、少しずつ、モノが増えているから、自分では気がつかないんです。

このままではいつか、私の家もテレビで見たような家になる!!

と思うと、ホントに背筋がぞっとしました。そしてそれ以来、「モノに囲まれて暮らすのは、こんなに醜いことなんだ」と思うようになったのです。

★★★

そもそも「モノが増えてもなんとか納めてしまう」のがダメなんですよね。

「モノが増えて、モノを増やして、で、片づけて収納する」というアプローチ自体が、必ず破綻するプロセスなんです。

このアプローチでは、結局モノは増え続けます。

一生、収納家具を買いたしたり、保管倉庫を借りたり、広い部屋に引っ越したりして、“きれいに片づけて”ると、結局モノは増え続けてしまいます。

そして、人間どこかで限界が出る。片づけることができなくなる日が来るんです。

なぜなら片づけってのは、かなりの体力と気力、そして判断力を必要とするから。


2時間買い物してモノ増やすのは簡単なことです。でもごちゃごちゃの部屋を 2時間くらい片づけても全然きれいにならないでしょ。

ということは解はひとつしかありません。つまり、「モノを減らす」ということ。


大学に入って、初めて一人暮らしを始めた時は、ほとんど荷物はありませんでした。それでも生活には十分だったはず。

高齢者施設の大半は、トイレ付きでも 25平米くらい、かなり広くても 40平米程度でしょ。

人間、最後はその範囲に収まるものしか維持できなくなるんです。

そして生来の「旅人気質」も思い出しました。ごくごくシンプルな家で住みたい。いつでもどこでも鞄一つで旅にでられるような生活を実現したい、と。

本当に好きなもの、必要なものだけを厳選した、超シンプルでモノの少ない家にすることができたら、どんなに格好いいでしょう。。。憧れですよね。


もちろん一足飛びには無理なので、とりあえず「モノを 3割減らす」という目標を立ててみた。

長期目標は「次の 5〜7年くらいで、6畳一間で暮らせる量まで持っていくこと」です。

★★★

ちなみに、昔の人って、そもそもモノをそんなに持ってませんでした。

戦前までは、資産家ではない普通の家の人なんて、一人の持ち物は洋服 10枚、靴 2つ、布団一組、食器一組、その他、小さな箱に一箱分、ってな感じだったんじゃないでしょうか。

モノが増え始めてるのは、戦後の高度成長期からです。

それでも核家族化が始まる前は、親が死んでもその家に子どもがそのまま住み続けるため、代替わりしても「実家の片付け」という作業が発生しませんでした。

しかし 80年代以降は、結婚後、親の家に同居する人が急速に減りました。

すると親の家には親しか住んでおらず、彼らが死んだ後は、「この家にはもう誰も住まない」=「誰かが片付けないといけない」という状況に陥ります。

それでここんとこ日本史上初めて、「実家の片付け」という問題が起こってるわけです。

これは今後、ほんとに大変なことになると思います。



というわけで、そんじゃね〜

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