読み比べ

昨年の夏に書いたように↓、ちきりんは「雑誌好き」です。「特定セグメント」の理解のために最適なメディアが雑誌だからです。
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20060826



特に出張の時は、成田で雑誌をいくつか買って読み込みます。出張中は日本語で読めるものが限られるので、やたらと深く読み込めます。

今回は、“SAPIO”と“週刊金曜日”を読み比べ。これがなかなかおもしろかった。

サピオの方は“右翼な人の雑誌”で、週刊金曜日は“左翼な人の雑誌”です。ふたつともちゃんと大手取次ルートにのっているごく普通の雑誌ですから過激ではありません。でも、一般の人から見ると「超片寄ってる」感じではあります。

で、この二つを比べて読むのも楽しいかな、ということで今回はまとめて買ってみました。


どっちに共感できるか?

どっちにも共感なんかできません。やっぱりかなり片寄ってます。自分が右でも左でもないなあ、と再認識することができました。

沖縄での集団自決に日本軍の指令があったと歴史教科書に書いてあったのが削除されようとしているのですが、その記述の復活を求める沖縄県民の声を、サピオは「沖縄全体主義」と批判します。

批判するのはいーとして「全体主義」とは言わないだろ?と思います。自分の意見にあわない人をすぐに全体主義者とかファシズムとか決めつけるのは、右翼的単細胞思考の典型。


その他、北朝鮮批判、弱腰外交批判(北朝鮮に今すぐ宣戦布告しろ、ミャンマに軍を送れ!くらいの勢いです。)にも、驚きます。

また、サピオ右翼的には、「ニートなんて筋肉を鍛えたら直る病気だ」くらいの考えのようで、格差問題にはあまり社会的な意義付けをしていないようです。むしろ大前研一氏の自由主義的な記事が載っていたりします。

これはちょっと意外だったです。右翼って社会格差の中で見捨てられた若者を洗脳して仲間に入れてると思ってたんで「へえ、自由経済主義なんだ」と思って。労組に反対するからこういう主張になるのかな?このあたりはもう少し調べてみたいところです。

★★★

週刊金曜日の方は、ご存じ朝日ジャーナルの廃刊とともに「本多勝一」という亡霊のような人を担いでスタートした雑誌なんですけど・・・これもかなりおもろいです。

軍需産業の元締め「三菱重工の正体」とかね。三菱ビル爆破事件を思い出します。東アジアの牙かなんかだっけ?ってそんな事件リアルタイムで知ってるわけではないですが。

慰安婦問題とか朝鮮人強制連行事件とか、「よくぞここまで!」と感嘆させてくれるほどのワンパターンぶりです。これで毎週出してるって、いったい全体毎週何を書いてるんだ?(毎週この話か??)と思うとついつい興味深く、来週も買ってしまいそうな気にさえなります。(思うつぼ?)

あと、小沢ご乱心についてはかなり取り乱した様子の後、「ほらね、だから自民党と民主党だけじゃだめだと思うわけですよ」という主張=だから社民党と共産党が必要なのだあ!!論、が展開されていて、かなりかわいい。いい感じです。


また、週刊金曜日には来年の手帳の広告が載ってました。その名も“週刊金曜日手帳08”

日本国憲法が手帳の冒頭に掲載されてるらしいです。また各日付のところに「過去の事件」などが書いてあって自然に歴史が学べます。たとえば、「1928年のこの日に治安維持法が改正され、最高刑が死刑になった」とか書いてあるらしい。そんな日を覚えてどーするよ・・しかも治安維持法!

(興奮しちゃったよ)


雑学手帳というセクションもあって、東大阪に回転寿司店第一号店が開いたのはいつ?とかいう雑学クイズが載っています。これ、左翼の皆さんが“団塊の世代”というか、すでに“穏やかに過去を懐かしむ茶飲み話世代”になっていることを象徴的に示す企画だなあと思いました。

いやあ昔はよかった、とかいってヘルメットを撫でてたりしながら、お茶をすする。穏やかな秋の日ですよ、秋の日。ヘルメットには既にかすれた“中核”の文字。いやあ、泣かせる。うう。


というわけで、この手帳買ってみようかなと考えてます。千円だって。場所もとらないし、これくらいなら買ってもいいかな?

というか本屋で売ってたら買いたいが、申し込んで買うのは躊躇する。こんなとこに自分の名前とか住所とか知られたくないです、ちきりんは保守的なんで。もうちょっと悩んでから決めます。


まっとにかく、この二つの雑誌は「読み比べがお勧め」です。是非みなさんも。

ではでは〜



追記:そうそう、サピオの方が圧倒的にお金がありそうな作りです。ページ数もカラーページも多いし紙質もいいです。右翼の方がお金は集まりやすいってことなんだろうか。じゃね。