季節のある国

先日の連休はすばらしかった。


初日は友達と神戸北野坂の和食店へ。友達が予約してくれていた“お任せコース料理”をいただいたのだが、秋の月見シーズンとあって器からお料理までたっぷりと秋の情緒。

ちきりんは器好きなのだが、こういう小料理屋さんで嬉しいのはその器の楽しさ。今回のお店でも、個人の家ではちょっと買えないような個性的な器がたくさん使われていた。(自宅だと使い易さを考えるのでどうしても無難な器が多くなる。だから小料理屋さんや料亭ではできるだけ個性の際だった器を使ってくださるところが好きです。)

食べ物のおいしさももちろんですが、とにかく演出が素敵。最初のお皿は立体的なまん丸の器で“まさにお月様”という感じ。その後も本物のススキが、大地を示す岩のような大皿に立ててあったり、兎型のおまんじゅうがちょこんと乗せてあったり。全部で10品以上かな、どれも見た目も素敵、カウンターのみのお店なので食べているスピードに合わせてテンポよくでてくるし(←これは品数の多い和食ではかなり大事なこと)、もちろんお味もすばらしく、大満足でした。



その翌日からは一泊で京都旅行。初日は嵐山、二日目は大原。いずれも久しぶり。京都では柊屋さんという老舗旅館の本館(旧館)に泊まったのですが、これがもうそりゃあ当然なのかもしれませんが、本当によいお宿でした。

何がすばらしいって?
(1)食事
(2)おふとん
(3)サービス
(4)たたずまい

いずれもすばらしかったです。


一番感心したのは夕食。どの品もどの品も上品ながら気合いのはいったまったく手抜きのないお料理ばかり。これくらいの老舗になると、材料が一流です、器が一流です、料理長が、ということで、お料理自体は「よくある感じ」に収まっちゃってるところもある。

でもこちらでは一品一品に“きちんと勝負してる”って感じがあり緊張感があった。お皿にのせているものにはたったのひとつにも手抜きがない。

これはとても大事なことなんです。なんでもそうですが人気が定着してくると“保守的”になる。“だいたいこんな感じでええやろ?”みたいな仕事をし始める。芸術家、芸能人、サラリーマンも(ブロガーも?)なんだけど、そういう人って実はすごく多いよね。人間ってのは“慣れるという罠”にすぐはまる。

それが180年続く老舗旅館がいまだに“勝負”してる感じを伝えてくる、というのは、本当にすばらしいと思いました。心意気が。


お布団も羽布団とかではなく綿の和布団なんだけど、旅館であんなに気持ちのよいお布団は初めて。
お風呂も檜で広くて朝まで冷めない。部屋の朝風呂に入ったんだけど、とろりとさめたお湯がみたされた檜風呂の気持ちよいこと。サービスももちろん言うまでもない。80歳を超えた大女将の京言葉での挨拶は心に独特のリズムを残す音楽のよう。川端康成氏が定宿にした気持ちもわかるし「帰るように訪ねる」というコンセプトも心より堪能できる。夕食の炊き込みご飯も朝の白いご飯も涙がでるくらい美味しかった。。。


価値あるお宿でした。ちなみにお値段は一泊2食付きで一人5万円程度から(部屋による)ですが、“洋風の一流ホテル+一流レストラン”よりよほどお“得”感があります。ぜひまた行きたいっす。


というわけで、日本食、日本旅館、風情ある場所の散策と、日本の早秋を(紅葉にはまだ早すぎなのですが)十分に楽しませていただきました。

★★★

長く読んでくださっている方はご存じのように、ちきりんはこの後、海外出張が多くなり、日本で秋、特に紅葉を楽しむことができません。だから一足早めに早秋を楽しんでまいりました。これで心置きなく?

いやいや、あとまだ秋刀魚と栗ご飯は食べておかないと。



ちなみにシリコンバレーに住み続けられなかった(住み続けたいと思わなかった)最大の理由も、ここにあると思う。ちきりんは「四季のない国」には住めないです。“アジアの多湿なべとべと感”も含め、日本が大好き。ご飯もめっちゃおいしいし。


以下、すばらしい“日本の緑”をお楽しみください。









お庭ってのはこういうものなのよね。
ほんとに美しい国だよね。


じゃね!