ちきりんが感じた“今世界で起こっていること”(適当編)

このことについてなぜ何も書かないのだと、それでも社会派なのかと責められそうなので一応書いておく。でも感じることが多すぎてどうエントリにしていいのかわかんないよって感じ。

でもまあ、余りにもなんも書いてないので、一応書いとくことにする。


ちきりんが感じていること。
今、世界で起っていること、について。



(1)“日本以外全部沈没”みたいでしたね・・
かばさん*1に教えていただいた映画です。筒井康隆氏原作のパロディ映画なんだけど、もう余りにおもしろくて抱腹絶倒です。

で、ここ数日起ったことはまさにこれだと思いました。「世界が全部沈没して日本しか残らないかも」ということで世界中の人が円を買った。で一ドル100円になったりした。

これはびっくりしたよ。日本だけをちゃんと見ればこの国のどこに将来性がある?って感じなんだが、相対論において、また瞬間的な状況において「日本以外は全部だめ」な状況になってたわけで(今でも結構そうです)、世界で頼れるのは日本円だけなのだって。まじですか?って感じでした。あーびっくりした。



(2)やっぱ規模が大事
アイスランドという氷の国が破綻しそうになっているわけだが、ここって名目一人あたりGDPが日本より高いんだよ。

国家財政も健全だし、既にキャッシュレス社会を実現するなどIT化も進んでいる。漁業と林業の国ではなく今や金融の国。非常に競争力の高い労働力をもつ国なのだ。

なのに、破綻の危機です。


なんでって?

規模が小さすぎるのですよ。人口30万人だよ。世田谷より小さいのだ。やっぱり安定性には規模が大事、ということ。吹けば飛ぶようなものはどんなに高品質でもだめ。パニックの時には“でかさ”が大事なの、ってことだと思う。一人当たりは貧乏でも中国の方が圧倒的に強い。

よく、IT政府化や年金制度、教育や労働福祉制度などで北欧の国をモデルにして語る政治家がいるけど、あれってちきりんは“お話にならない”と思ってる。だって30万人の国でできることと1億人の国でできることは違う。スウェーデンでさえ900万人しかいません。

ちなみにwikiに全体のGDPと一人当たりのGDPが出てます。一人当たりが高い国は北欧ばっかり。でもこんなの意味ないってことです。



(3)世界に関心がないのよね、アラブって

これもね〜痛感した。アラブってのはある意味すごいエリアだと思った。

アラブってさ、今なんも傷んでないし、ここんとこの原油高で異常にお金持ってるんだよ。なのにこうやって世界が大混乱になってるってのに「どこにいるの?」みたいな感じで全く表に出てこないでしょ。

この存在感のなさはいったいなんなのさ???って感じです。

大金持ちになると普通は、人でも会社でも国でもそれなりの発言権を持つわけで、自然と“委員長”みたいな役をやりたいと思うものなんです。“リーダーシップとっちゃおうかな”とか“他人のことに口出し”し始めるわけ。日本だって経済大国になったら今度は政治リーダー国になりたい!とか思い始めるでしょ。

それなのにアラブって、今回も全くそういうのないんだよね。あのエリアはどんなにお金を稼いでも基本的に「アラブ以外の世界」に口を出してくるってのは全然ない。「西欧ともアジアともかかわる気はありません。」って感じ。

不思議なエリアだなあ、と思いました。



(4)つながってるってすごいことだね
ある評論家がテレビで「欧州は横で連携しつつ対策を打っているが、アジアではそういう動きはまだでていない。日中韓はもっと連携すべき」と言っていた。

そんな状況の違うふたつを一緒に語られても困るよね、と思った。

世界がつながる、という感覚を、日本はまだ全く知らない、と思う。


欧州って今回対策も一番積極的ですが、これは周辺国との競争があるからですよね。通貨も統一されているし最近は法律や税制も統一。英語での読み書きに困らない人も多い。自国の銀行がやばいと思えばネットバンキングでちょちょっとクリックして貯金を“他国の銀行”にうつすのは本当に簡単なことだ。

だからある国が「うちは全額預金保護」と言い出すと隣の国も追随せざるを得ない。その国の銀行からすごい勢いで貯金が隣国に流出するんだもん。日本人的にいえば、「大阪府が倒産!大阪の銀行やばいかも!」となった時に府民が自分の預金を京都や兵庫の銀行に移すとか、そういう感じなんだよね、欧州で他の国にお金動かすって。

アジアで韓国の人が「韓国経済やばい!」といって三菱銀行の円預金にお金を一日で大量にうつすとか、日本人がすぐさま貯金を香港に移すとか、そういうのできる人多くはないでしょ。


“市場統一の意味”をこれから欧州はひしひしと感じることになると思う。「自分の国だけで独立した対策をうつ」ということが一切不可能になったのだ、ということを初めて痛感する数年間になるんだろうな。イギリスとアイスランドの喧嘩なんてかわいいもんだとそのうち気がつくだよ。



(5)“西欧”から“アジア”にヘゲモニーが移るよね。
ちきりんは今回の件でアメリカがトップ経済国から脱落するとも思わないが、彼らが次の“勝ちモデル”を見つけるまでに少し時間はかかるだろう。その間、中国はぐうっと距離を縮めると思う。

なんといっても彼らは“実需”を持っている。日本の高度成長期と同じです。ロシアもだよね。まだまだいくらでも投資できる。エネルギー価格が下がったと言っても20ドルに戻ったわけではない。

というわけで、少なくとも今回の混乱は「アメリカ一人勝ち」の終焉を10年くらい早めたと思う。一年前には“中国だけが(バブルがハジケて)こける”というシナリオがあったのから見ると、今回の事件は相当にこの2国のバランスには影響を与えた、と思います。



(6)今後のポイントは実体経済
これはもうたくさんの人が言っていますが、正直言って“金融市場”なんてどーでもいいのよね。問題は実体経済がどうなるか、です。アメリカで、欧州で、日本で、その他の人口増加国で、ね。

ここは一番おもしろいところなのですが、長くなるのでまた次にします。



最後に昨日から今日のリバウンドに関して。
(7)国家と市場の真剣勝負
マーケットが戻り始めたのは“政府が本気になった”と“市場が判断した”ということ。

まだ幾度か波乱はあると思うけど(国家のやる気が本気でないと思えば、市場はすぐに反応するだろう)、当面の間は国家と市場の真剣勝負が続くと思う。


国家は市場を制御できるのか?
市場は国家を超えられるのか?


めっちゃおもしろい。



というわけで、本当は上の(1)から(7)について一日ひとつずつ独立したエントリがかけるくらいいろいろあるのだけど、橋田壽賀子じゃあるまいし、そんな大河ドラマみたいな壮大なエントリは書けないだろ、と気がついたので、こういう書き方でお茶を濁すことにした。(6)はまた書きます。その他も気が向いたら書きます。

でも一応、仕事も忙しくなってきたしね。と先に言い訳を書いて期待値を下げておく。


どーなることやら。
そんじゃーね!