バックラッシュ 〜すべてをチャラに〜

インドやタイで起こっていることをみると、円が高くなるのはよくわかる。いくら麻生総理の支持率がさがっても彼が外遊中に成田がデモ隊に占拠されちゃうとか考えにくいし、ホテルオークラと帝国ホテルが同時に武装勢力に占拠されるってのも想像しにくい。世界中の人がそう思うから円が高くなるのだ。


それにしてもインドとはまた絶妙なロケーションでのテロだと思う。

過去10年続いてきた“新自由経済体制”の最も大事なキーワードが“グローバリゼーション”だった。そしてそのグローバリゼーションを象徴する国がまさにインドだった。その動きから最も大きな恩恵を受け、姿を変えた国がインドだったのだ。テロはその“アメリカ的価値観”の象徴の都市を狙った。あまりにもよく考えられた、インパクトの大きな事件だと思う。


同様にタイの混乱の源となっているタクシン元首相も自由経済的な政策を強力に進めてきた実力者だ。そしてウオールストリート企業のトップと同様に、市民には考えられない額の報酬を自分と家族だけで受け取った。そのことにタイの市民は激しく怒っている。これもまた、今まさに崩壊しようとしている新自由経済といわれる体制へのバックラッシュと言えるだろう。

そう考えると、GMというイチ民間自動車会社をアメリカの政府が国営化するかもしれない(さもなくば破綻か)という動きが起こっていることも、過去10年という時代の大原則であった“市場原理”へのチャレンジとして捉えられる。



すべてがチャラになろうとしている。



って感じがするよね、こうして考えてみると。世界中で過去10年の間に積み上げられてきたことの“すべてをチャラにする”という誰かの強い意志さえ感じてしまうほどだ。



もしも本当に誰かが(いったい誰だというのか)、この10年に世界が謳歌してきた身勝手な原則と、それによって積み重ねられたすべての成果物をチャラにするというのなら、他に何が狙われ、毀損される可能性があるのだろう?

たとえばWeb2.0と言われる新しい形のネットコミュニティやオープンソースと言われるような新しいIT技術のあり方だって過去10年の世界の成果物の一つだろう。遺伝子工学やバイオ技術による人体と生命への関与度の深まりや、植物の種子に広く遺伝子技術が施されるようになったことも過去10年のひとつの“達成”だったはずだ。食料を車の動力にしようなどという傲慢な思想や、“監視社会”とも言えるような滑稽なセキュリティシステムの広がりもこの時代を象徴している。

もしもその“誰か”が、単なるどこかの過激派などではなく、“神”と呼ばれる範疇の存在であるならば、そういったものが次の挑戦を受けることにならないと誰が断言できようか。



世界はどこに向かうのか。次の世界はどんな様子なのか。




かなり楽しみ。


そんじゃーね。