リーマンショックであらゆる媒体の広告費が大激減しています。
ということで、年に一度、電通が発表してる媒体別の広告市場データを見てみました。
グラフにしたのが下記。単位は億円です。
2005年以降は集計定義の変更があり一部データは継続性に欠けます。(縦の短い黒線を入れたところね)。でもまあ、トレンドは非常によくわかる。
赤い線が携帯とインターネットの広告合計ですが、ご存じの通り急激に伸びており、2004年にラジオ広告を追い抜き、2006年に雑誌を抜いてます。
そして、2008年にはいよいよ新聞広告と肉薄。
今はリーマンショック直後の大不況なので、ネット広告でさえ伸び率は落ちてます。
が、それでも 2008年に 12.5%減った新聞広告にたいして、ネット広告は「伸び率が大幅に鈍化」してもまだ 16%の増加。
同じ率でもう一年変化すれば、既に来年にはこの二つの広告費は逆転します。
つまり数年以内に、ネットは「テレビに継ぐ広告メディア」となるのです。
いよいよ、って感じですかね。
「ラジオを抜いた」とか言われても「ふーん」って感じですが、「雑誌も新聞も抜いた」となると、ネットももう「伸び盛りの新しい分野」ではなく「広告業界の主要メディア」になるわけで、いろんなことが変わってくるんじゃないかな。
少なくとも“大新聞様”に「たかだがネットごときが」みたいな言われ方をする筋合いは、この観点からは全くなくなります。
★★★
で、向こう 10年だとどうなるんだろ?ってのを、超適当な前提でグラフにしてみたのが下記。
前提としておいた各媒体の伸び率は、ネット以外の媒体、つまりテレビ、新聞、雑誌、ラジオに関しては、「過去 3年の伸び率の平均」を使ってます。
実際にはこれらの既存媒体は過去 3年ずうっと下降トレンドにあるので「市場縮小率」と言った方がいいかも。
具体的には、
テレビ 2%減
新聞 7%減
雑誌 5%減
ラジオ 4%減 です。
みなさん大変ですね。。。過去 3年、上記ずつ売り上げが減ってたわけですね。
ネットは過去は年 24%増とか直近でも 16%の伸びで来ていますが、さすがにこれが続くと仮定するのはどうかと思ったので、つまり過去 3年の伸び率平均では高すぎになるので、とりあえず「年率 5%で伸びる」と仮定してみます。
で、グラフにしたのが下記。
縦に黒い線が入ってますが、そこが今いる 2009年時点。その線の右側は未来です。
一番右側が2018年で 10年後です。なお短い黒線は上記のトレンド計算をした過去 3年を示すためにいれてます。グラフの傾きがわかりやすいかなと思って。
このグラフを見る限り、伸び率 5%の仮定なら、向こう10年、ネットがテレビを抜くことはありません。
が、5%の伸びでも1兆円を軽く超えてきます。伸び率がより高くなれば、テレビに肉薄ももありえる。
ちなみに、もし 8%成長を 10年間続けられれば 10年後にはテレビと同じ 1兆 5千億円くらいに達します。
テレビの方が本当にこういう比率で下がるのかどうかはよくわかりません。今年はリーマンショックという特別な出来事があったし、
テレビの広告費はオリンピックやワールドカップなど、4年周期で変わるものも多いから。
とはいえ、いわゆる「テレビ離れ」が起こってるという共通認識はあると思うので、まあこんなもんかなと。
これでいけば、10年後の広告メディアの市場というのは、
「テレビとネットが 2大広告メディアなんですよ。まあ一応新聞とか雑誌とかラジオとかもあるけどね」
みたいな感じになるってことですね。
で、下の方に、ごちゃっと新聞や雑誌やラジオが“その他”的にある世界。
テレビ、新聞、ラジオ、雑誌はよく“マス 4媒体”と括られるのですが、いつまでこの括りで数字を追うのか。
寧ろテレビとネットの“ 2大メディア時代”って呼び方のほうがふさわしくなるんじゃないかな。
一方、新聞の存在感ってのは、今のラジオと同じくらいになっていくものと思われます。
北朝鮮キム王朝の崩壊も、日本の構造改革も、ちきりんが待ち望むことは何一つとして現実化しないけど、この分野だけは、向こう 10年でもそれなりに大きな変化がおこりそう。
楽しみです。
<合わせて読みたい>(てか、宣伝)
新聞業界 崩壊の理由5つ、いや6つ
追記)2009年のデータが発表されました。インターネットは7069億円、新聞は6739億円(18.6%減)と逆転が実現しました。しかも新聞の広告費の下がり方が半端じゃないですね・・
追記)2012年のデータでは、テレビが 1兆 7757億円、ネットが 8680億円。だいたい上のグラフ通りの推移かな? (電通によるデータ)
2013年はテレビが 1兆 7913億円、ネットが 9381億円 (同資料)
アメリカは2013年でこんな感じ→ネット広告が初めて地上波テレビの広告額を抜いた!