JALが 19日に再生法を申請しました。
日本航空の扱いについては、
1.破綻処理
2.更生法申請
3.私的整理
という3つの選択肢があったのですが、このうち 2番目の方法をとったことは、「よくやった」ともいえますし、「やっぱ破綻処理は無理なのね」とも思えます。
3の私的整理に持ち込もうとした“大株主かつ大口債権者”のメガバンクや既得権益者の粘り腰に屈せず“法的整理”としての 2の選択肢を選んだことには大きな意義があります。
この点についてはあるべき論と道理にこだわり続けた再生機構や公的金融機関(=元財務省筋)の英断に敬意を表します。
また、政権交代がなければこれは実現していなかったとも思われ、この点についても一定の評価をしたいと思います。
一方で破綻処理ができないのは「大きすぎて潰せない」問題が繰り返されるという意味で「これでいいのか?」感が残りますよね。
たとえば ANAの立場から見れば、ライバル会社がいきなり債務をチャラしてもらい、税金という補助金まで得てライバルとして甦るなど、受け入れがたい事態でしょう。これでは民業圧迫以外の何者でもありません。
ANAの経営陣のオフレコ発言として「JALの人材も機材も要らない。欲しいのは発着枠だけ」という本音が聞こえるのは、飛行機会社の競争力の源が結局はそこにあることを端的に表しています。
企業の再生にはふたつの改善が必要です。
ひとつがトップラインの改善、もうひとつがボトムラインの改善です。トップラインとは売上、ボトムラインとは利益を意味します。企業再生にはこのふたつが不可欠で、どちらかひとつでは成功しません。
ボトムラインの改善にはコスト削減が行われます。このコスト削減は 3の私的整理ではなく 2の法的整理を選んだことで圧倒的にやりやすくなりました。
とはいえ売上の上がらない中でのコスト削減では、企業は縮小しゆっくりと“消滅”に向かうだけです。
再生後の JALの目標絵図にはどのようなものがあるのでしょう?
JALが LCCみたいになろうとするとも思えないので、結局は今までと同じような= ANA とも同じような日本のフラッグシップ・エアラインとして再興することを目指すのでしょうか?
だとしたら ANA にとってはホントに災難だなと。急に需要が増える、燃料コストが大幅に下がる(円高も含め)など、神風でも吹かない限り、またどっちかが赤字になりそうな気もしますけどね。
果たして次に破綻するのは(またもや) JALなのか、それとも ANAなのか?
そんではね