存在価値を問われ、そして生き残ろう

先日ツイッターで、「本屋で欲しい本のバーコードをiPhoneで写メすると、そこからアマゾンの販売ページに飛んで、その場で本が買える」というアマゾンのアプリ発表の話を教えてもらった。

日本だと持ち帰る手間の話だけど、再販制のないアメリカでは本の価格が店によって違うから、その本屋とアマゾンの価格を比べて安い方で買えばいい、という話になる。

本以外の商品でも同じようなソフトウエアはあり、日本でもこの無料ソフトを使えば、ワインや家電など商品のバーコードをiPhoneに写すことにより、楽天、ヤフー、アマゾンなどから最安値で売っている店を探せる。

どこかのパーティに参加したり、レストランや友達の家で飲んだ時に出されたワインや焼酎が気に入って「これ、家に買って飲みたい!」と思った場合、その場でバーコードをiPhoneに読ませれば注文できる。けっこう便利だ。


これ、商品を製造している企業にとっては必ずしも悪い話じゃない。売上が増える商品もありそうだ。でも小売店は影響を受けるでしょう。

本にしろワインにしろ家電にしろ、欲しいと思った商品の名前や品番を控えておき、他店で価格をチェックしたり、後からネット検索することは昔からできる。

大型家電を買う人が、駅前にあるふたつの家電量販店で商品価格を比較するため、メモを片手に二店を往復して交渉するのは昔からよくあることだ。

でもそんな手間のかかることをしたくない人はたくさんいる。

反対に言えば、手間をかけずに最安値が探せるなら最安値で買いたい、という人もたくさんいる。

価格.comを利用する人は、リアル店舗をメモ片手に行き来する人よりは圧倒的に多くなる。


★★★


昨年、店頭販売からネット販売への流れが本格化しつつあり、今後ネット販売がより大きくなれば「街の風景が変わる」というエントリを書いた。

また、そうなれば「リアル店舗は別の付加価値を探すことになるだろう」という趣旨のエントリも続けて書いている。

実際ちきりんは比較的楽観的で、リアル店舗は追い詰められ、その後、別の存在価値を見いだすだろうと思ってる。

ずっと前、メーカーが自社グループ内で配送の機能を持ち始めたり、販売管理システムを構築しはじめた時、卸売り業者はその存在価値を根底から問われた。

メーカーが自ら海外支社をもつようになった時には商社がその意義を問われた。それぞれ、時代から不要論を突きつけられたのも記憶に新しい。

でも、というか、だからこそ、彼らは新しい存在価値を見いだそうと必至になり、実際、生き残ってきた。

小売りだって同じだと思う。

もはや「棚に並べて売っています」という「陳列・販売」という価値では付加価値料金を払ってもらえなくなる。

だからこそ彼らは新しいステージに踏み出すだろう。踏み出さないと死んでしまう、という危機感を燃料として。


ちきりんは全くもって楽観的だ。

そういう「価値」は必ず見つけられる。

家電にしてもワインにしても説明を聞きたいという人は必ずいる。

説明だけ店舗で聞いてネットで最安値で買う、という人が一定以上になるなら、説明やサンプル展示自体に課金する方法を考えようという次のステージに進むだけだ。メンテと絡ませる方法もあるだろう。

本屋だって、一覧性が欲しくて本屋をうろうろするのが好きな人はいる。

そういう人が販売だけはネットで買う、というのなら、入場料をとる本屋が現れたってかまわない。


大事なことは、「常に存在意義が問われる環境に身をおく」ということだ。

そうすれば、おしりに火が付き、否応なく必至で考えたり、変わって行かなければならなくなる。それが進歩を呼び、成長につながる。

厳しい環境にさらされるほど成長するというのは、そういうことなんじゃないの?



そんじゃーね!


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