首相を支える「家庭内同志」

今までの首相だったらとっくに辞めていると思えるすごい辞任圧力の中で、菅首相がいまだ頑張れている理由のひとつが“内助の功”だと思います。

菅さんの奥さん、伸子さんは「夫より政治家向き」とよく言われます。若い頃から菅氏とともに市民活動や選挙活動に関わっていて彼女自身が活動家。菅氏と政治信条&政治心情も似ている。ふたりは「政治活動上の同志」なんだよね。

外で菅氏がめちゃめちゃに叩かれても、家に帰ってくればそこには最強の同志がいる。いつだって自分の味方をしてくれる強力なサポーターで、かつ、「日本は脱原発よ!」「金権政治は元から断たなきゃダメ!」「あなたは首相よ。誰もあなたを辞めさせられない。自分で決めればいいのよ!」と政策や政局についてまで助言(断言)してくれるブレーン。

そういう人がいなかったら、彼だってここまではもたなかったんじゃないかな。


★★★


トラディショナルな「政治家の妻」というのは、表にでず、選挙区をしっかり守る、という人。麻生さんや福田さんの奥さんがそのタイプだよね。誰も奥さんの顔を覚えてないでしょ。なぜなら彼女らは「表にでない」のが基本だから。東京やテレビに露出する必要はなく、地元の後援者、支援者をきっちり抑えておけばいい。今までの自民党の首相の奥さんは大半がこんな感じだったと思う。


一方、鳩山さんや安倍さんの奥さんは新世代タイプ。女性誌が特集するようなおしゃれな「奥様ライフ」を送っていたり、韓国ドラマ好きを隠さなかったりと自分個人の話も開示する。「表にでるタイプ」で、外遊に行くとカメラの前で夫と手をつなぐ。

だけど彼女らは夫の政治的な同志じゃない。夫もそんなことは求めてない。妻には“華のある女性”として選挙は手伝って欲しいけど、家庭内では政治とは無関係の空気を作ってほしいと望んでる。


そして菅さん夫婦の関係が3番目のタイプ。「同志としての妻」であり、新しいタイプの内助の功を発揮する。それが最初に書いたような関係です。そして、ちきりんは気が付いた。このタイプの妻を持つ首相って「叩かれ強いよね」と。

それって自宅に同志がいるからだよね。どんなに叩かれて「ぐへへ」となって「もういやだ!」と思っても、家に戻ったら完璧な同志がいる。政治家仲間と違って裏切ったりしないし、本音で話せて弱音もはけるし、駆け引きをする必要もない。心情的に癒してもらったり支えてもらったりできて、かつ(政策判断など)実質的にも助けてもらえる。それってすごく心強い。

菅氏自身が首相という座に強い執着があることはもちろんなんだけど、それを強力に支えているのが伸子さんという「家庭内同志」なんだと思う。



ところで、かの大首相、小泉氏は首相の頃には既に離婚していた。だけど、彼にも実は「同志」がいました。それは小泉氏の実姉。彼女は政策秘書として選挙マネジメントから政策アドバイス、スーツやネクタイの選択まで全面的に弟純一郎氏を支えていたといわれます。彼女のことを「クレオパトラ」と称する人もいて、相当の人物らしく、まさに「同志」だったようです。

小泉氏の元奥さんだって政治家一家に嫁いだんだからそれなりの覚悟はあっただろうし、男の子を3人も生んでいて、世襲政治家の妻としては十分に務めを果たしたけれど、なんと3男の妊娠中に離婚し(され?)、子供の親権を争って以来、関係を断たれたといわれてます。

出て行った妻のかわりに「同志」としての弟を支えたのが実の姉で、結果として戦後3番目に長い首相としてその任期を勤め上げさせた。



というわけで、360度から叩かれまくる首相という重責を、ある程度長く務めようと思ったら、家庭内にそれなりの「同志」が必要なんじゃないかな、と感じたので書いてみた。



ところで菅さんの奥さんの名前は伸子さんで・・・小泉氏のお姉さんの名前は信子さん。


・・・いや、もちろん単なる偶然だけど。


そんじゃーね。