私は過去に何回か、「これから高齢者向けのビジネスは可能性あるよねー」というエントリを書いています。
<関連過去エントリ>
・「高齢者ビジネスあれこれ」
・「“若者的なる者”が消費するという概念」
なんたって、今後、高齢者は増え続けます。
2050年の日本には、20才から 39才までの合計人数が 1658万人なのにたいして、75才以上が 2373万人も存在するのです。 65才以上でみたら 3763万人と人口の 4割です。
・衝撃のグラフ → 「日本の将来の年齢別人口」
先日発表された 2010年の国勢調査結果(速報)で、「単身世帯」の割合(約 3割)が世帯種別の中で初めて最大になったと報じられましたが、長生きしたら最後はみんな「高齢単身世帯」です。
相当の子だくさんでもないかぎり、今の中高年以下の人が 75才になった時に息子や娘夫婦と同居してる可能性は低いです。
おおざっぱにいって今 40才以下の人の大半は、(結婚しようがしまいが、子供がいようがいまいが)将来は単身高齢世帯になるでしょう。
ただし“早死”の人だけは「高齢者のみ世帯」は経験するけど、「高齢単身世帯」は経験しなくて済みます。「早く死んだモン勝ち」ともいえます。
そうなると、今まで「家族」が担っていた多くの作業が“外部化”されます。外部化とはすなわち「ビジネス化」ということです。
「今まで家族が担っていた多くの作業」とは、次のような作業ですね。
・介護(メインエリア)の他に、
・日常生活サポート(掃除、メンテ、洗濯、買い物、調理)と
・趣味活動サポート(シニア向けのサークル、旅行、エンタメ、コミュ作り)や
・判断サポート(資産管理、後見人その他)
・ウオッチ体制(日々の「生きてますか?」確認)
・最終処理(死後の家の片付け、葬儀等の手続きなど)
このうち、「高齢になって面倒になって全く掃除しなくなった。」とか、「面倒だからぜんぜん風呂に入らなくなった」みたいな人は増えるかもしれませんが、「高齢になって、面倒になって、全くご飯食べなくなった」という人はでてきません。
「食べる」ってのはとても優先順位が高いのです。
だけど外食も自炊(買い物、後片付け含む)も、75才以上になると相当めんどうになります。そしてそういう人が、上に書いたような人数、この国には現われるわけです。
というわけで、「高齢者向けのご飯のデリバリー」というビジネスは、めっちゃ可能性のあるビジネスだと思えます。
全国規模の会社でこれにガッツリやる気をみせているのがセブンイレブンとワタミです。
・セブンミール
・ワタミタクショク
例)ちきりん家のポストに入っていたワタミタクショクのパンフレット
その他にも
・宅配クック123
・まごころ弁当
など。これ以外でも、地域限定の業者はすでに相当数でてきています。
また、糖尿病、高血圧、腎臓病など様々な病気のある人向けの食事を宅配する
・ミールタイム
・ニチレイフーズ
・タイヘイ
なども充実してきました。病気食デリバリーもこれから人気がでるでしょうね。
たとえ夫婦で暮らしていても、夫には糖尿病食、妻には高血圧食を毎日3食作るなんて、70才を越えた夫婦にはまずできないです。(しかもこういう制限ができると外食も難しくなります。)
また、下ごしらえ済みの食材が配達され、味付けを含めた最終調理だけ家でやるタイプの食材宅配もいけるでしょう。
高齢者の体の弱り方は様々なので、ステージごとのニーズに対応した商品がどんどんでてくると思います。
さてこれらのサービス、申し込み方法が月極か週決めか毎日か、申し込むのは電話かネットか郵送か、受け取りも宅配かコンビニか、支払い方法が・・・などのバリエーションがあり、使い勝手はそれぞれですが、
高齢者が自分達のために申し込むケースのほか、遠くに住む子供世帯が単身で住む親のために依頼する場合もあると思います。
そういった場合は、単なる食事サービスというより「安否確認」も兼ねており、さらにワタミなんかは「宅配弁当を毎日とることで、高齢者が一日一回は外部の人と話をするようになる」的な効果も狙っているようです。(毎日誰とも口をきかない単身高齢者もたくさんいるのです。)
「安否確認という付加価値」については、将来は行政からの補助も見込めます。
たとえば、「弁当を届けにいったのに何の応答もなくなったら、弁当宅配業者が市役所に連絡する。その代り、弁当一個につき10円を行政が弁当宅配業者に払う」みたいな協力関係があり得るでしょう。
市役所職員が自ら「孤独死防止」のため定期的にお年寄りの家を見回るなんて方法より、圧倒的に安く地域の見守りが可能になります。
ついでにいえば、最近のセブンイレブンはあきらかに「料理が面倒になってしまった高齢者向け」の店頭商品も積極的に開発&導入しています。
私も試しに買ってみましたが、「まあまあいいんじゃないの?」って感じです。コンビニが近い都市部の高齢化も急速に進むので、これらも有望な市場なのでしょう。
関連ツイート
将来は高齢のみ世帯にはiPad的端末が市から配布され、毎朝、弁当の種類が3つ写真で映ってる。で、ひとつを指でぽんと押すと、それが夕食に届く、って感じになるんでしょう。で、3日続けて注文がないと、「安否確認隊」がやってくる、みたいなね。
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2011年8月19日
↑誤字)消化器→消火器 胃腸を売りにきてどうするよ。さらにその端末には定期的に「消化器を売りに来ても買わないように!」とか「息子さんからの電話だと思っても、一応確認を!」などの画面も定期的にポップアップ。
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2011年8月19日
↓
とか言ってたら、実現するみたい!(4ヶ月後の記事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120118-00000007-impress-sci