還暦を迎えて

さて今月半ばには、ちきりんもいよいよ還暦を迎えることになります。

といっても、そこの若い人、還暦って何か知ってます?

還暦(かんれき)とは、干支が一巡し、起算点となった年の干支に戻ることで、簡単に言えば「60年生きてきましたよ!」ということです。昔は長生きの象徴で、赤いちゃんちゃんこを贈ってお祝いしていたらしいです。


「干支って12個じゃないの?」って? 
違います。組み合わせは60個あるんです。→ 「十干十二支 参考サイト


今や人生80年時代、還暦なんて関係ない!という元気な人も多いのですが、私はどちらかというと脱力系というか、生きるエネルギーが乏しい人なので、そんな自分が還暦を迎えるなんて、正直言って感慨深いものがあります。「ああ、よくここまで生きてきたなあ」という感じです。

私もここ10年くらいは、「年を取る」「老いる」ということが、どういうことか、身を以て体験してきました。

ブログの読者には若い人も多いので、あまり書いてきませんでしたが、老眼でパソコンの画面もよく見えないわ、講演の前には白髪染めが欠かせないわ、目が乾くのでコンタクトレンズも使えなくなるわと、ほんとに大変です。

その上、やたらとよく転けるようになります。

自分では気がつかないけど、足が上がりにくくなり、バランス感覚が悪くなるみたいです。それ以外にもあれこれ不具合がでてきて、病院通いが欠かせません。

プーの身には医療費の負担もバカにできないレベルで、つくづく健康は大事だと思います。

たった一人の老い支度 実践篇 (新潮文庫)
岡田 信子
新潮社
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(老い支度関係では、この本が実践的でよかった。お勧めです)


しかし何よりも衰えるのは集中力や創造力で、昔は30分くらいでサクッと書き上げていたエントリも、今や1時間弱もかかるようになり、パンチの効いたオチもなかなかでてきません。年を取るということは、如実に「知力の衰え」を伴います。

一方で、年をとれば「経験」は増えてきます。

知力が衰え経験値があがれば、誰だって考えるより知識に頼りたくなります。過去の成功体験を振り回し、ワンパターンのオチで乗り切ろうとするようになるのはそのせいです。思考主体としての老化は、人としての老化以上に残酷なのです。


けれど一方で、60歳までこうやって元気で楽しくやってこられたことに、私は心から感謝もしています。

18歳で東京に出て来て以来、42年間、やりたいことはすべてやり、これ以上できないというくらい楽しんで生きてきました。恵まれた環境にいたと思うし、幸運でもあったと思います。

これからいつまでこのブログを書き続けられるのかわかりませんが、そもそもこれは「Chikirinの日記」、つまり、私の生きている経過を記す場所です。

年齢を重ね、変わって行くこと、変わらざるを得ないことを含めて楽しみながら、これからもボチボチ更新していければと思っています。


最後に若い人へのメッセージを書いておきましょうか。
1)年寄りにはやさしくしてあげてください
2)国民年金はちゃんと払うように



ほんならね。

追記)
去年の4月1日のブログはこちら
一昨年の4月1日のブログはこちら


新聞にしろ雑誌にしろウエブにしろ、何か読む時はちゃんと日付を確認したほうがいいですよ。