以前にも使った下記のデータ。日本の20代と30代の合計人数の推移です。
戦後すぐから1980年まで、20歳から39歳までという消費意欲が高い人の総数は、急速に伸びてきました。こんな時代なら、炊飯器を売るのも自動車を売るのも、さぞかし簡単だったことでしょう。
ところが1990年以降は、この数が伸びなくなりました。だから多くの企業は、頑張っても頑張っても売上げが伸びない・・・という状況に陥ったのです。
絶望的?
日本ではもう高齢者向け市場しか伸びない? 海外に出るしかない??
そうですね。だからどの企業もシニアシフトだし、中国だインドだブラジルだと言ってます。
でもね。実は日本で若者向けにビジネスやってて、売り上げが伸びている企業はいくらでもあります。それはどういう企業なのか。今日はその類型をまとめておきます。
<市場全体が縮んでも、売上げが伸ばせる企業とは?>
1.個人商店を淘汰して伸びるビジネス
個人経営の店がどんどん潰れ、それらの売り上げが大型店やチェーン店に移行することがよくあります。これにより縮小市場においても、特定企業は売り上げを伸ばし続けることが可能になるのです。
近所のおじさん、おばさんがやっていた小売店や雑貨屋が潰れれば、その分の売り上げがコンビニやスーパーに流れます。
都会ではコンビニもスーパーも飽和気味ですが、地方だとまだこのパターンで売上げをアップできるエリアもあるはずです。「そういえば、うちの田舎、最近やたらとセブンイレブンが増えている」って人いませんか?
全く同じことは多くの分野で起こりえて、個人経営の喫茶店が潰れてスタバやドトールが伸び、個人経営の定食屋が潰れてファミレスやファストフードチェーンが成長します。
そういえば個人商店の家具屋って、都会ではもうあんまり見ませんが、そのかわりにイケアやニトリが売り上げを上げていくわけです
2.ネットで代替して伸びるビジネス
今までリアル店舗で売れていたモノが、ネットで買われるようになり、ネット企業の売り上げが(市場全体では売上げが下がっていても)伸び続ける、ということも起こります。
旅行取り扱いもそうだし、書籍だって全体としては市場規模が縮小するでしょうが、当面アマゾンの売上げは伸び続けるでしょう。
生命保険だって全体の市場は伸びるはずもないですけど、ネット生保の売り上げは伸びないはずがありません。今後は、食料品の販売でも、ネットスーパーの売上げはどんどん伸びていくでしょう。
これだけ子供が減ると、塾や予備校の市場規模が伸びるとは思えませんが、e-learningのソフトやサービスで急成長する企業は、出てきても不思議ではありません。
3.嗜好変化によって伸びるビジネス
人の嗜好は時代によって急速に変化するので、エンタメやファッション、文化など嗜好性の強い分野では、人口が減っても、新たに売れ始める商品やサービスが出続ける可能性が高いです。
ソーシャルゲームやITガジェットが売り上げを伸ばしているのはその典型で、代わりに一昔前の若者がお金と時間をかけていた「車でデート」みたいな遊び方は消え、映画はもちろん、音楽や演劇、雑誌、そしてテレビなど、数多くのエンタメ市場から、どーんとお金が移動しています。
伊達めがねも含め、あれこれメガネを掛け替えるのは若者にとってはファッションの一環ですが、ブランドモノを持つ代わりに格安メガネでおしゃれを楽しまれては、ファッション市場全体は大きく縮小してしまいます。とはいっても、その中で、おしゃれメガネ屋自体の売り上げは急増するというわけです。
次世代の若者がエキサイトできるモノを提供できれば、若者の数が減っても、また、彼らがエンタメに使う総額(市場全体)が縮んでも、それを提供できる企業は、関係なく成長できるのです。
4.専業主婦ジョブの外部化で伸びるビジネス
人口が減るだけでなく、若い人はひとりあたりの収入も伸びません。ですけど、今までは夫だけが働いていたのに、これからは二人とも働き始めます。このことによって新たな市場がでてきます。
完全なビジネスとはいえませんが、保育サービスはまだいくらでも売上げが伸びそうだし、介護施設の売り上げも(専業主婦である妻が義理の親の面倒を見ることが不可能になり)まだまだ伸びるでしょう。
外食や中食は「家で調理する」代わりに伸びるし、そのうち子供の送り迎えなどを含め、家事手伝いサービス的なビジネスも増えるはずです。(今はルンバですが・・)
また単身者が増えることで、今までは家族の中で融通されていたものが外部ビジネス化するというパターンでも、いろんな可能性がありそうです。
5.市場化によって伸びるビジネス
婚活や就活、転職などが典型的なのですが、過去には相対取引だったものが市場取引に移行し、それに伴い、周辺に新たな産業が誕生することがあります。
就活、転職といっても一般的な人材紹介ではなく、たとえば「女性の社外取締役を捜す市場」などは、昔はなかったのに新しくでてきた人材ビジネスです。
有能なスポーツ選手を海外チームに移籍させるビジネスだって、昔はほとんど存在しなかったでしょう。
講演会の講師を探す“講師市場”も形成されつつあるし、口コミで評判を広めてくれる影響力のある人とスポンサー企業をつなぐ市場も、半分アングラ的ではありますが、出てき始めていると思われます。
負の側面ですが、貧困ビジネスもこのパターンです。
このように、日本の縮小し続ける若者市場においてさえ、まだいくらでも急成長するビジネスはあり得るし、そういう企業は興し得るってことなんです。
というわけで、(あたしが韓流ドラマ見ながらダラダラしてる間に)みんな頑張って働いてください。
そんじゃーね