民主主義は死んでるけど、資本主義は超元気

そろそろ正直に認めたほうがいいと思う。民主主義という制度は終わってる。まったく機能しないことが明らかになってる。

イタリアやギリシャみたいに、国が破綻しそうな段階でさえ(だからこそ?)民主主義は全く機能しないし、以前にも書いたけど、アメリカだってアホ丸出し(→ 「どの国もホントあほ」)


日本がダメダメだという日本人は多いけど、借金するのに何の問題も起こっていないこの段階で消費増税を決められるこの国はすごい。

あたしが外人だったら、「日本すげえ!」ってびっくりする。

ほかの国は、国債が発行不可能になっても、税金上げるのに大反対でデモとか暴動とか起こるのに、日本てホントまじめ。

(話はそれるけど)欧州を見てると、消費税って 25%くらいのところに天井があって、それ以上は無理なのかなという気がするんだけど、日本は今、予定されてる増税が終わっても、まだあと 15%の増税余地がある。しかもベースとなる消費額も大きい。

すごい国だな、ホントに。


ただし、あれだけ裁判所が嫌味を言っても、選挙の区割りひとつ変えられないんだから、日本だって民主主義が機能していないという点では同じ。

その一方、前回、「企業は国家を超える仕組みになる」と書いたように、資本主義はものすごい元気。

社会の在り方を変えるのは、もはや民主主義ではなくて、資本主義のほうだよね。


国家=民主主義→ 機能しなくなってる
企業=資本主義→ めっちゃ元気


と書けばわかりやすい。これから企業はどんどん国家を超えていく。(そして国に頼ってる企業は、国と心中することになる)



911とか SARSとかリーマンショックとか、世界を揺るがす大問題が起こっても、着々とそれを乗り越えて新しい地平を切り開く企業社会、というか資本主義。この逞しさにはホレボレする。

しかも、民主主義が欧州でもアメリカでも日本でもロシアでも中国でも機能していないのに対して、資本主義は、すべての国で機能してる。

建前さえ民主主義じゃなくても(たとえば中国とかね)、資本主義は機能することも証明されてる。このふたつは決してセットじゃない。


ちきりんだって、「資本主義 + 独裁」のセットがベストだとも思わないし、「資本主義+アナーキズム」がいいとも思わない。なんだけど、少なくも「今の民主主義システム」は死んでる。

何度も関連エントリを書いているように、一票の格差は即刻解消してほしいし(てか、選挙無効でしょ!? 最高裁の腰抜けおじさんたちには死んでも言えないでしょうけど)、ネット選挙も速やかに準備すべき。

だけど、そのふたつで民主主義が生き返る(機能し始める)とも思えない。それらは必要条件に過ぎない。


民主主義っていうのは、市場型の意思決定システムなわけだけど、市場が機能するにはものすごくいろんな条件が必要になる。

資本主義も市場システムなんだけど、民主主義より対象とする分野が圧倒的に狭い。そこでは、貨幣価値と生産性最大化という最大公約数的な全体の意思がある。

でも、民主主義にはそれがない。みんなが目指してる方向自体に「だいたいこっち」という目途が(目処さえ)ない。


それに、資本主義には弱者を切り捨ててもいいという原則がある。たとえば、入社する人を選べるし解雇もできる。だから機能する。

国は誰も首にできない。どんなアホな国民も 1票を持っている。

民主主義は資本主義より圧倒的に複雑で条件が多く、機能させるのがとても難しい制度なのだわ。


たぶんもっと分野を絞った局地的な運営システムに分岐させて、新しい運営システム(OS的なもの)を複数作っていく必要があるんでしょう。

このまま「全体を統括する仕組み」として期待しても、もう復活不可能な気がします。


まあ、シンガポールみたいな都市国家なら、資本主義国によって国を運営するみたいなことも可能だとわかったわけだから、分野なのか規模なのかわからないけど、「細かく刻む」という方法論はヒントになる。

(あたしはシンガポールが民主主義だとは思ってないけどね)


いずれにせよ最近は、自分の目の黒いうちに民主主義が機能する時代がくるとは思わなくなった。

代わりにこれからは、資本主義が唯一の(社会を変えていく)ルールとなる世界を見ることになるのかも。


おぉ怖っ!


なのでとりあえず、毎日おいしいものを食べ、楽しく生きていくのがいいと思う。



そんじゃーね。


http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+personal/  http://d.hatena.ne.jp/Chikirin+shop/