先日おこなった、“未来の働き方”アンケート、第一回 の後半部分の結果です。
おそらく最も関心が高かったであろう質問、
Q5) 自分は何歳までフルタイムで働くことになる(であろう)と思いますか?
についての回答を、年齢別・経験社数別(自営業も1社とカウント)に集計してみました。
「いつまでフルタイムで働きたいか?」という質問ではありませんので、みなそれぞれに現実的に考え、回答してくださった結果だと思います。
下記の(最初の)グラフでは、現在フルタイムで働いている人のみについて集計しています。(まだ働き始めていない学生さんらの回答は含まれていません)
非常に興味深い結果となりました。個人的に発見だったのは、「できるだけ長くフルタイムで働く」と考えてる人(グラフの一番右側)は、年代に関わらず人口の 2割ほど存在するんだなってことです。
新著の「はじめに」に書いてますが、“森光子さん”であり、“キングカズ”であり“工藤公康氏”的な人は、だいたい 2割くらい存在しており、世代が変わっても減ってないってことです。(このブログの読者の中で、ですが)
反対に「早期引退派」とまではいえませんが、「フルタイムワークは、せいぜい50代まで。もっと早くてもいい」と考えている人(グラフの右側寄り)は、それよりは相当多いとわかりました。
想定年齢を訊ねた結果がこれですから、「希望年齢」を聞いたら、もっと多くの人が「早めにフルタイムワークを切り上げたい」と思っているのではないでしょうか。
そして、その比率を年代別に比べて見れば、若いほど「フルタイムワークは、せいぜい50代まで」と考えているとわかります。20代の人なんて、半分の人が50代までで・・・と回答しています。
まじですか。さすが、ちきりん読者! ですね・・。
とはいえ、年を取るごとに「フルタイムワーク終了の想定年齢」は上がってきます。
・現実的に考えて早期引退なんて無理だろ? という状況が見えてくる、のか、もしくは
・実際にその年齢になってみたら、やっぱりあと10年くらいはフルタイムワークで働きたい! と思い始めた、
ということなのかな?
さらにこの分析で私が一番おもしろかったのは、各年代とも「経験社数が多い人と、1社のみで働いている人の回答に顕著な違いがある!」ってことでした。
グラフの一番右側の「できるだけ長くフルタイムワーク!」という回答の数字をみてください。20代で、1社のみの経験の人でこの回答を選んだ人は15%ですが、4社以上の経験がある人では35%と、ダブルスコア以上の差なんです。
これは他の年代でも同じで、50歳以上の人でも、1社だけを経験(ほぼ終身雇用的)の人では13%ですが、4社以上の経験がある人では、29%弱となります。
転職経験の多い人には「できるだけ長くフルタイムで働く」と考えている人が非常に多く、転職経験のない人では、そう考えている人は一気に少なくなります。
これ、50代だけに差があるなら、「何度も転職を繰り返している人は貯蓄ができてなくて、長くフルタイムで働かないといけない状況なのでは?」とも考えられます。でも20代でも大きな差があるんだよね。
20代で「できるだけ長くフルタイムで」と考えている人は、経済的な状況云々というより、意思としてそういう傾向が強いのだと思うのです。なので、やはり「1社でずっと派」と「数回の転職もあり」って人には、なんらか働くことに関する意識の差があるんでしょう。
それと、終身雇用的な環境で長く働いてきた「50歳以上・1社のみ経験」という人の回答はかなりユニークで、「フルタイムワークは60歳まで」という回答が非常に多く、「できるだけ長く」という回答が少ないんです。自身がすでに50歳以上なので、その多くが「フルタイムワークはもうそろそろ終わり」と考えてるってことです。
これ、長く同じ会社で(それなりに我慢して働いてきた結果、)「もういい加減、フルタイムで働くのは嫌だ!!!」と思っているのか、
「かなりの貯蓄もできたし退職金もそこそこ出るので、もうそんなに長く働く必要はない」という余裕の表れなのか、どっちなのか興味深いです。
いずれにせよ上記のグラフを上から下にざっと見ると、この「50代・1社のみ経験」の人だけ、回答傾向が他と違うのは、ちょっとおもしろかったです。(上から下に視線を流すと、ここで目がとまりますよね)
★★★
最後に、「現在フルタイムで働いていない」人の回答結果が下記です。
一番上のデータが、学生さん(19歳を含む20代で、一度もフルタイムワークをしたことがなく、将来はフルタイムで働く予定)、
下のふたつが、「一度フルタイムで働いているけど、今はフルタイムではない、そして将来はフルタイムに戻ると思う」という人のデータです。育児など何らかの理由のために、一時的にフルタイムワークを中断している人でしょうか。
やはり若い世代は「そんな長くフルタイムで働くとか、考えられない・・」と思っている人が多いようですね。学生さんの4割以上が「フルタイムワークは50代まで」と回答しています。
ただ、まだ働いたことのない学生さんより、(最初の図で示した)すでに働き始めた20代の人のほうが、「早めにフルタイムワークを脱出!」と考えている人の割合は多いんです。
学生のほうが「早期引退したい!」と思ってるならともかく、働き始めた人のほうに「早めに・・」と考える人が多いってのは、ちょっとおもしろいですね。やっぱり実際に働き始めてみると、「こんな調子で長く働くのはヤダ」的になるのかもしれません。
まっ、いすれにせよこの年代は70歳定年がほぼ確定の世代です。早めにフルタイムワークをやめたければ、それなりの準備が必要なんだろうな。
というわけで、まとめとしては、
・「できるだけ長くフルタイムで!」と考える人は、どの年代にも一定割合( 2割前後)存在する
・1社でずっと働く人と、何社かの転職を経験する人は、働くことに関する意識がかなり違う。転職経験のある人ほど「生涯現役思考」が強い
・「フルタイムワークは50代か、せいぜい60歳まで」と考える人は(全体の半分くらいと)非常に多い
・特に20代など若い世代で、「早めにフルタイムワークは終わりに・・」という傾向が強い
というあたりでしょうか。
あと、補足で計算してみましたが、
・40代以上で、
・10年以上フルタイムで働いた経験があり、
・今はフルタイムでなく、もうフルタイムには戻らないという
・世帯主
つまり、すでに第二の人生を始めたと思われる人は、270人いました。これは同世代の全回答者数の 4.7%にあたります。
ちきりんブログの読者に限って言えば、21人にひとりは(ちきりん同様、)すでにそういう生活に入っているんですね。感慨深いです。
ご協力くださったかた、どうもありがとうございました!
そんじゃーね
- 作者: ちきりん
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