若い女性の貧困

NHKスペシャルの若い女性達の貧困に関する番組を見ました。前にクローズアップ現代で同じテーマが取り上げられた時も大反響だったらしいし、今回のも話題になるんじゃないでしょうか。

見逃された方、4 月 30日の深夜 24時 40分(日付的には 5月 1日)から再放送があるようです。

以下、ふたつの番組を見ての雑感です。


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番組の中では、40代の母親、19歳と中学生の娘ふたりが、3人でネットカフェ暮らしをしている様子が取り上げられていました。

3人は同じネットカフェでそれぞれ個室を借り、2年とか住んでいるのですが、月契約だと一泊 1900円と紹介されていたので、1900円×30日×3人= 17万 1000円 を払っているみたいです。

ネットカフェの個室は一畳ほどなので、経営者側から見れば、3畳の部屋を貸して 17万円の売り上げなら、アパート経営より何倍も効率がいいですね。

母娘3人の世帯月収は明らかにはされてませんでしたが、この家賃(てかネットカフェ代)が払えていて、かつ最低限の食費を加えると収入総額は 20万円を超えるんでしょうから、そうなると生活保護も受けられなさそうです。


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前のクローズアップ現代では、風俗店で働くシングルマザーが取り上げられていました。

風俗店は、給与(仕事)のほか、託児所、アパート、スタッフや仲間からの励ましなど、貧困に陥ったシングルマザーに必要なものをワンストップで、しかも迅速に提供しているので、生活保護など公的な福祉より選ばれている(頼られている?)という話でした。

これを見て思い出したのが、この本に書いてあった「刑務所が貧困高齢者や、高齢障碍者の福祉施設になってしまっている」という話です。そういえば、あたしもずうっと前に、こういう裁判を見た記憶があります。


シングルマザーの場合は、公的な福祉ではなく風俗業界が、最後に頼るべきセーフティネットとなっており、高齢者や障碍者の場合は、公的な機関(刑務所)がその役目を果たしているとしたら、その差は、「若い女性の方は、彼女らを必要とする産業が存在する」という点にあるんだなと思いました。

番組の内容とは離れますが、最近は認知症が進んでおむつが必要になったり、徘徊問題のある高齢者でも、最後の看取りまで世話をしてくれる高齢者施設は(料金が高かったり、待ち人数が膨大だったりはしますが)それなりに存在しています。

ですが、そういう施設が決して受け入れないのが、「暴れる人・他人に暴力をふるう人」です。他のお年寄りとの共同生活なわけですから、そういう人を入居させられないというルールは理解できます。

ただそういう人たちも、もともとの性格が乱暴なわけではありません。認知症などが進んだ結果、他者との共同生活ができず、興奮してしまったりして、結果として暴力行為におよんでいるということです。

しかし結果として、高齢者施設で受け入れてもらえないそういう人たちが最後に行きつく場所は、精神病院なんだそうです。


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若い女性の貧困問題を取り上げたNHKの番組に話を戻しましょう。

前のクローズアップ現代では、子供を育てながら苦労して高校の卒業認定試験を受けようとしている母親が、その教科書を広げて「すごいね。わからん」と呟く場面もありました。

画面には数学の教科書の内容が映ってましたが、そこに載ってる数式は、私が見ても「すごいね。わからん」って感じの数式でした。 → こちらで 10分くらいのところです。皆さんも見てみてくださいな

これ見て、こんなものを全員に教える必要があるのか、改めて疑問に感じました。ホント、もうちょっと役に立つことを教えてあげればいいのにと思います。


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番組では「じゃあどうすればいいの?」という点はさらっと触れられただけでしたが、その中で、「公的な住宅を増やす」という案が出てきていました。

この低所得者向けの公営住宅、今でも家賃が安いため入居希望者が殺到していて、場所によっては何十倍もの倍率になっています。


とすると、低所得の希望者全員が入居できる数の公営住宅を確保するには、現在の何十倍もの数が必要となるので、復興需要やオリンピック需要と並ぶ、大きな建築需要が生まれそうです。

その一方、今は建築作業員が足りなくて、復興関連やオリンピックの工事だけでも人手不足で工事が進まないとのこと。

そこでこの記事によると、これからは建設現場でも、女性と外国労働者の活用が喫緊の課題だとか。


あれ?

仕事が足りないのか、働き手が足りないのか、よくわからなくなりました。


そんじゃーね