テレビを見ない人がいるなんてびっくり

ネット上には「我が家にはテレビはありません」とか「もう何年も見てない」って人がいますが、今でもよくテレビを見るあたしとしては、「まじ?」って感じです。

しかもそう言ってる人の中には、「テレビ見ない俺って知的。へへへ」ビームを出してる人もいて、一粒で二度びっくり。


私は大学時代に一度、テレビがない生活を体験してみようと 2年間、ハコとしてのテレビを持たなかった時期はあるんだけど、それ以外は昔も今も、よくテレビを見てます。

てか、今でも情報収集ソースの多くはテレビです。

だから「テレビ見ない」って人が、いったい何で情報収集してるのか、すごい不思議。


もしかしてネットから??

そんなもんで、よく情報収集ができますね。

★★★


メディアについて語るときは、最低でもコンテンツとフォーマットは分けて語った方がいいと思うんです。

コンテンツに関して言えば、まだまだテレビは圧倒的。

でも、
・見たい番組を事前に探して、
・それがいつ放送されるか覚えてて、
・その時間が来たらテレビの前に来て、
・スイッチを入れてチャンネルを合わせて見る
っていうフォーマットが余りに時代遅れなだけ。


もしくは、
・見たい番組を事前に探して、
・録画機器を操作して予約する
ってのも、フォーマットとしてダメダメすぎ。そんな面倒なことやる気になれません。


あと、むやみに番組を中断するコマーシャルや、おもしろくないコンテンツの一部を自由にカットできないフォーマットも、もはや受け入れがたい。

だからスポーツ中継とテロや災害など大事件のニュースを除けば、もはや「放送されている番組を、放送されている時間に見る」なんていう形では見る気にもなれません。


でも最近は、テレビコンテンツの大量録画が可能になってるし、キーワード検索や自動録画もできるので、フォーマット問題は実はかなり解決できるんです。

私の場合、NHKのニュース9や“ WBS ”(ワールドビジネスサテライト、テレビ東京)など時事・ニュース番組でさえ、放送時間中にそのまま見ることはまずないです。

また、時論公論っていう 10分だけの時事問題の解説番組も、ものすごく勉強になるんだけど、とはいえ 2回に 1回は「この件はどーでもいい」みたいなトピックが選ばれてるので、

私の場合はすべてを録画しておいて、一週間に一度くらい“まとめ見”します。その際、関心のないテーマだと最初の 1分も見ずに削除します。


WBS もいい番組なんだけど、後半のコマーシャルが多すぎて、とても放送時に生視聴なんてできません。

それに、解説者が「当たり」の日はいいんですが、「はずれ」の日は、解説者が話し始めた瞬間に 30秒スキップボタンを押します。

加えて私は血を見るのが嫌いなんで、治療の最前線!とかいって、手術映像が映ったりする部分もスキップ。

というように、「見たいときに見たい番組の、見たい部分だけみる」がが簡単にできると、今でもテレビはめちゃくちゃおもしろい。


その他、私がよく見るのは、
・韓国ドラマと K-POP 番組
・国内外のニュース番組
・国内外のドキュメンタリー番組
・旅番組(秘湯紹介とか鉄道番組)
・歌番組( BGM 用)
カンブリア宮殿ガイアの夜明け
Managing Asia

などですが、ほぼすべて録画して見てます。
なお録画すると 1.3倍速で見られるんで、(時々ソレを忘れて)「みんな早口だなー」と思ってたりもします。


こうやって「見たいモノだけを選んで見る」ようにすれば、テレビコンテンツにはすごいいい物が多く、「一切見ない」なんてスゴクもったいない。

良質なテレビ番組から得られる情報の質と量は、メジャーなキュレーションアプリ数個がピックアップしてくれるサイト 100個分の合計より、圧倒的に高品質です。

てか、そんなの比べる必要も無い。どこのサイトやアプリがこんだけの質の情報をコンスタントに提供できてる?? 


テレビつまんないって言ってる人は、「大量に貯めて、見たい番組の見たい箇所だけ見る」っていう方法を知らないだけなんです。

「とりあえずスイッチオンにして、映ってるものを見た」結果、「テレビおもしろくない」と言い切る若者は、

スマホを買って「とりあえずスイッチオンし、最初から入ってるアプリをタップして」見て、「スマホ、おもしろくない」と結論づけてる高齢者と同じ。

自分でカスタマイズしないと、おもしろくないのは何のメディアでも同じだってことがわかってない。


ネットだろうがテレビだろうが、コンテンツの 90%はくだらないんです。だから、(10%の)おもしろいコンテンツを探す能力の無い人には、「全くおもしろくないメディア」に見えてしまう。

若者=「そんなこと言うけど、おもしろいテレビ番組を探すのが難しい」、「くだらない番組が多くて、いい番組を探そうという気にもなれない」→「テレビなんて要らない」


高齢者=「そんなこと言うけど、ネットは広すぎておもしろい情報を探すのが難しい」、「くだらないサイトが多くて、良質なサイトを探そうという気になれない」→「スマホなんて要らない」


完全に同じでしょ。

両者とも「今、自分がもってるもので十分楽しいから、それ以外のことに関心ないっす」とう態度。

若者はテレビ録画機が使いこなせず、高齢者はスマホが使いこなせない。だから両者とも、そのおもしろさが理解できない。

知的好奇心も検索能力も弱すぎます。

★★★


先日、某ジャーナリストの方が「雑誌と新聞は終わりが見えてきた」と言われてました。

その通りだけど、「終わりが見えてしまった」理由は、コンテンツの質の低下ではなく、フォーマットが完全に時代遅れだからです。

新聞なんて、夜中の 12時までに起こったことしか朝刊に載せられない。。。それいつの時代の話よって感じです。


雑誌だって、わざわざ買いに行かないと読めないし、やたらと高いし、持ち歩くのも邪魔だし、捨てるのも面倒。

なにより、面白くないコンテンツ 8割に面白いコンテンツ 2割みたいなヒドイ抱き合わせ販売。こんなフォーマットでは、手を出す気になれません。


ラジオにしろテレビにしろ雑誌にしろ新聞にしろ、バックナンバーのすべてが
・すべて検索でき、かつ、
・いつでも手に入る
・自分がフォローしてる人が見てる番組を知ることができ、
・これ!と思ったコンテンツは、その場で SNS にシェアできる
というフォーマットで提供されたら、

ネットなんて、まだ全く太刀打ちできないくらいリッチなコンテンツがあるわけです。なんだけど、フォーマットが死んでるからどうしようもない。

反対にいえば、ネットが勝ってるのはフォーマットの部分だけとも言えます。

パソコンはもちろんスマホで“どこでも”見られるし、検索もできるし、共有もできればコメントも入れられる。過去のデータも消えずに残せる。

情報をキュレーションしてくれるアプリもたくさんあるし、使ううちに、どんどん自分好みにカスタマイズされる。

アマゾンでも、何かひとつ買えば、「他の人はこれも買ってますよ」と次のお勧めを示してくれる。


ところがテレビだと、どんだけ同じような番組を見てても「この番組を見てる人は、(別のチャンネルのこの)番組も見てます!」とは教えてもらえない。

自分がフォローしてる情報通のあの人が、どんな番組を見てるのかも知る術がない。ググることもできないから、見るべき番組を見つけるのが、ネットに比べてめっちゃ難しい。

もし自分が信頼している誰かが「この番組、いいよ!」と言った番組とか、自分がいつも見ている番組から類推してサジェストされた番組など、気に入る可能性の高い番組ばかりが流れる「マイチャンネル」っていうのがテレビにあったら、今はネットしか見てない多くの人が、テレビに戻るはず。

なのにその何一つ、テレビは実現できてない。


ネットは、コンテンツはたいしたことないけど、フォーマットが圧倒的に使いやすい。

だから、みんなニュースからエッセイから映像まで、ネットで見られるものしか見なくなってしまった。


ということは普通に考えれば、
「既存メディアのコンテンツを、最新のフォーマットで見られるようにしたら、めっちゃええやん!」っていう話になる(だから、ネットの優れたフォーマットを理解してる人で、テレビ局を買収しようとする人が定期的に出てくる)んだけど、


当のテレビ側の人達が、
「いえ。私どもは現在のフォーマットと、心中する覚悟でございます」って言うんだったら、

どうぞご自由に。


そんじゃーね!

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