以前、地方出身の学生さんが
「自分は地方出身だからとても不利だ。東京出身の同級生は、高校時代から東京でいろんな経験を積み、遊び方もスマートだし、いろんなことをよく知っている。自分は地方出身だから、スタート時点からものすごく出遅れていると感じる」
って言うのを聞いて、びっくりしました。
「地方出身者だから損」だなんて(私も地方出身者ですが)考えたこともなかったし、有利不利でいえば、明らかに有利だと思っていたから。
会社で働いてた時期にも、あたしは進んで地方常駐の仕事を引き受けてました。だって見知らぬ土地に住むと、ほんとにいろんなコトに気付けるからね。まーじーかー、そーだったんだー! みたいなことがいっぱいある。
東京と関西に住んだことがある
イラクとニューヨークに住んだことがある
九州と北海道に住んだことがある
バンコクと仙台に住んだことがある
ソウルと京都に住んだことがある
どんな組み合わせであれ、複数の場所に住むことで複数の視点が手に入り、「どこか一つの場所にだけ住んでいた場合」とは比べものにならないレベルの体験、知見、洞察が手に入る。
でも、そう気が付くには、マーケット感覚が必要なんだよね。
「地方出身者は不利」と嘆く学生に足りないのは「いろんな経験」でも「豊富な知識」でもなく、「ふたつの異なる場所に住むことから得られる価値を理解する能力」なんです。
★★★
『マーケット感覚』とは何かという話。
下記の本の冒頭で、私はそれを「価値を認識する力」だと書いてます。自分の足下に金塊があっても、幼児も犬も、その価値に気づくことができません。食べられないし音も出ない。たんなるキレイな石としか思えない。
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でも大人の人間なら違います。足下に金塊があれば驚愕するし、大騒ぎするでしょう。だって私たちは、金塊の価値を理解できるから。
幼児や犬が理解できるのは、「食べたら美味しいモノの価値」や、「つっついたら面白い反応をするモノの価値」であって、金銭的な価値や希少性という価値などについては、その概念自体が理解できない。
これとまったく同じコトが、大人の人間でも起こっています。「自分には何の取り柄もない」という人の多くに足りないのは、取り柄ではなく、その取り柄に気がつく能力なんです。
昨日もツイッターに書いたけど、出産や子育てなんていう価値溢れる経験をして、それが「仕事のブランク」としか捉えられないとしたら、本当にもったいない。マーケット感覚さえあれば、その金塊の価値に気がつけるのに。
「地方には何もないから都会と戦えるはずがない」と考える人にも、地方がもつ価値を認識する力が足りないだけです。何もないのではなく、何もないとしか考えられない「価値の認知力」こそが問題なわけ。
中国西安の兵馬俑は、大々的に注目される前から地元ではその存在が知られていました。でも地元の農民にはその価値を認識する力が無く、たんに「妙な埴輪(はにわ)がある」ってかんじで放置されてました。
日本だって江戸から明治の頃、浮世絵やらなんやら、貴重な文化財を二束三文で海外に流出させてる。
日本橋の価値が分からなかった高度成長期の私たちは、橋の真上に首都高を走らせた。
価値あるものがごく身近にあっても、その「価値に気が付く能力」がなければ、「私には何も取り柄がない」「自分には and/or この地域には、何も売れるモノがない」と思えてしまう。
その力(=マーケット感覚)を身につけず、いくら英語の勉強して、専門性の学校に通って資格を取っても、いつまでも「自分には、まだ市場でやっていけるだけの価値は全くない。もっと勉強せねば!」と焦り続けることになってしまう。
本書には、これからの時代を生きるために必須となる「価値に気が付く力」=マーケット感覚を身につけるための5つのポイントも詳しく書きました。
みんなマーケット感覚を身につけて、もっと自由に楽しく生きましょう。
「市場でやっていけるのは、才能や環境に恵まれた生まれつきの強者だけだって?」
今回の本の“あとがき”を読んでみてね。そこに出てくる人達が、本当に生まれつきの強者に見えますか?
そんじゃーね
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