新刊 『 マーケット感覚を身につけよう 』 の中で私は、「今はまだ売られていない=市場で取引されていない潜在的な“価値”に気が付くことができれば、新しいビジネスにつながる」と書きました。
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 作者:ちきりん
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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潜在的な価値の例としては、「部屋を一緒に片付けてくれる」(←勝手に掃除して、ゴミを捨ててくれるサービスではなく、不要品を捨てる決断を一緒にしてくれる)とか、
「うなずきながら話をきいてくれる」(←何かアドバイスをくれるわけではない)などを挙げたわけですが、
なんと、「まさにその価値を提供すべく、会社を立ち上げました!」というご連絡をいただいたので。取材に行ってきました。
その会社は、1年ちょっと前に神山晃男さん(左・代表取締役)が立ち上げた株式会社「こころみ」で、今回は同氏と、取締役の早川次郎さんにお話しを伺っています。
下記はあたしの本にも載せたグラフなんですけど、高齢ひとり暮らしの人って「何日も、誰とも話してない」みたいな人がたくさんいるんです。
こんなんじゃ心の健康を保つのも難しくなるし、離れて住む子供にとっても、ひとり暮らしの親が寂しく引きこもっていては気がかりですよね。
そこで「こころみ」では、毎週 2回、契約者の自宅に電話をし、毎回 10分程度、何気ない会話をする(というか、話を聞いてくれる)というサービスを提供しています。(「つながりプラス」 月額 8000円ほど)
電話をかけてくるのは決まった担当者(二人一組のどちらか)で、しかも、初回契約時には自宅(もしくは自宅近くの指定の場所)まで訪れて、本人とリアルな面識を作ってからのサービス提供となるので、人見知りな性格の方でも安心というわけ。
といっても多くの場合、契約者は離れて住む子供(夫婦)で、つまりこれ、一種の見守りサービスでもあるわけです。
すでに成人した子供にとって、自分の父親や母親に週 2回、電話をかけて、話をきいてあげるって、案外難しいんです。
共通の話題もないし、価値観も違う、相手の人生や生活のこともよくわからない。忙しい中、週 2回も電話して、前回と同じ話ばかり聞かされたりしたら、どう反応していいのか戸惑うばかり。
とはいえ、自分が親になればわかるけど、これまで自分をどれだけの愛情をもって育ててくれたかと考えれば、年に数度しか連絡しないまま放置するのも「ヒトとしてどーなのか?」とも思う・・・でしょ?
だからこそ、そんな気持ち につけ込んだ を深く理解する(=マーケット感覚に溢れる)人気ブロガーに勧められ、高級パジャマをプレゼントすることで、少しでも罪滅ぼしをしたいと考える人も多いわけです。
もちろん子供側だけではなく、週に 2回かかってくる電話は、高齢者側にも大きな価値を提供できます。
自分の言うことを熱心に聞いてくれる人がいるというのは、年齢に拘わらずとても嬉しいことのはず。(←ブログを誰かが読んでくれたら嬉しいのと同じ)
人間は、他者から関心を持たれることで存在意義を感じ、自信を得られるし、孤独からも解放される。月々 8000円ほど(ジムに通う経費くらい?)でそんな効果があるのなら、安いもんじゃない?
しかも、親って幾つになっても子供に心配を掛けたくないと考えるから、体調が悪くなっても案外、子供には何もいわないんだよね。それが、親身に話を聞いてくれるコミュニケーターにはポロッと本音を漏らす。
実はこの「こころみ」のサービスでは、週 2回の電話の会話内容はすべて書き起こされ、その日のうちに依頼主の子供がネットで確認できるんです。だから、
「最近、腰が痛い」 「食欲がなくて」 「目の前がかすれてる」 ・・・みたいな、病気の前兆かもと疑われるような話も、子供側で瞬時に把握できる。
押し売りや押し買い、オレオレ詐欺的なアプローチがあった場合も気がつきやすくなるだろうし、数回かけ直しても電話がつながらなかった場合は、子供側にその情報が知らされるから万一の時も早期に対応がとりやすい。
考えれば考えるほど、いろいろメリットがありそうなサービスですよね。
「アプリやウェブサービスと違って、メディアで取り上げられたからってスグに利用者の増えるサービスではないけれど、1回、利用が始まると、止めたいと言われるお客様がほとんどいらっしゃらないサービスでもあるんです」と神山さん。
なるほどそうかも。
始める前、高齢者側は「自分は元気だから、そんなの要らない」みたいに言う人も多いそうだけど、やってみると思った以上に嬉しいんだと思う。「今ではすっかり週に 2回の電話が楽しみになって!」みたいな人もいるんじゃないかな。
ちなみにこのサービス、高齢者向け専用サービスみたいに見えるけど、本質的には「孤独を無くす」というビジョンをもっての起業だから、必ずしも高齢者だけをターゲットにしてるわけでもないらしい。
確かにね。
孤独を無くす特効薬は「コミュニケーション」しかないんだよね。高齢者だろうと若者だろうと。
というわけで、他にもいろいろ面白いお話しが聞けたので、この会社とそのサービスについて、いろいろ書いてみたいと思います!
→ “こころみ”のサービスサイト 「つながりプラス」
(今ならキャンペーン価格=月 3000円で試してみられるらしい)